【特集】まちづくりの拠点施設が今秋、沼津駅前に誕生 沼津市中心市街地(静岡県沼津市)
静岡県東部の拠点都市、沼津。
中心市街地で長期にわたるまちづくりが続くなか、今年、拠点となる施設が沼津駅前に誕生予定。
注目を集めている。
南北の分断を解消し歩いて楽しいまちに
NUMAZU JAMS(ヌマヅ ジャムズ)の建設が始まる前は、駅前の土地でたびたび公共空間の社会実験が行われていた。写真は昨年11月の社会実験「ぬまづ駅前 湊マルシェ」の様子。キッチンカーの出店のほか、移動図書館や古着マーケットなども開催した。豊富な水揚げ量を誇る港町・沼津。その中心市街地、沼津駅周辺で、数十年にわたる息の長いまちづくりが進められている。
沼津市都市計画部まちづくり政策課係長の臼井久人さんによれば、まちの構造上、沼津駅周辺は鉄道の線路がまちの中心部を横断していて、南北の市街地が分断されていること、車の渋滞の慢性化などが昔から課題だったとのこと。
「鉄道を高架化して、人も車も南北を行き来しやすくするための事業が近年動き出しました。とはいえ昭和の時代とは状況が異なりますから、目指しているのは『ヒト中心の歩いて楽しいまちづくり』です」と臼井さん。
沼津市のまちづくりを2018(平成30)年からサポートしているURは、「沼津市中心市街地まちづくり戦略」の計画策定支援をはじめ、まちづくりのさまざまな取り組みを支援している。沼津駅南口前の百貨店跡地も取得し、その土地を活用して、地域の方々と社会実験を行いながら、まちづくりの方策を探ってきた。
「URさんに駅前の土地を取得していただいたのは、沼津市がまちの将来を考えるうえで、非常にありがたいことです。鉄道高架化は長期にわたる大事業。市として先んじて動けない段階で、URさんが助け船を出してくださいました」と臼井さんは言う。貨物駅、車両基地の移転も含めた事業の完了予定は2041年!URの土地の取得は、それ以前に駅前で市の望まない開発が行われるのを避けるという目的がある。
左が沼津駅南口。その正面に位置するのが、URが取得した西武百貨店跡地(831.42m2)。今年の秋にヌマヅ ジャムズがオープン予定。沼津駅までは東京駅から東海道新幹線と在来線で約1時間。にぎわい溢れるまち創出のための社会実験
沼津市とURは、取得した土地を活用し、これまでに「OPENNUMAZU」「ぬまづ駅前 湊マルシェ」など社会実験を兼ねたイベントやプロジェクトを行ってきた。いずれも、ヒト中心のにぎわいに溢れるまちなかの日常風景を創出していくためのもので、毎回テーマを変えて実施した。
このプロジェクトにともに取り組み、さまざまな可能性を探ってきた地元の中心人物が、公共空間の場づくりを得意とする設計事務所REIVER代表の鈴木智博さんだ。駿河湾、富士山、狩野川が近くにあり、自然と都市が一体化したところにひかれ、2019年に沼津に移住したという鈴木さん。昼と夜の顔が違うのも沼津の面白さだと話す。
「昼間はシャッターが閉まっている店舗が多い商店街でも、夜になるとそれらの店舗が営業を始めます。社会実験では、夜営業のミュージックバーに声をかけて、昼間に演奏してもらったりしました」
沼津にはオーセンティックバー、クラフトビールの醸造所やクラフトジンの蒸留所などがあり、市外の人にはあまり知られていない魅力が他にもいろいろあるらしい。
11月の「ぬまづ駅前 湊マルシェ」での映画上映会。
「ぬまづ駅前 湊マルシェ」では、沼津市長、UR中部支社長、事業パートナー各社代表によるトークイベントも行われた。注目が集まるにぎわい拠点の誕生
そして今秋、いよいよURが取得した土地に、にぎわいの拠点となる施設「NUMAZU JAMS(以降ヌマヅ ジャムズ)」が誕生する。沼津市のまちづくりの拠点となる空間を含め、広場や店舗空間など、誰もが訪れやすく、くつろぎやすい、居心地のよい場を目指している。
沼津市、URとともにヌマヅ ジャムズに関わるパートナーが、株式会社フィル・カンパニーを代表者とするグループ。「まちのスキマを、『創造』で満たす。」という「高難易度の土地を有効活用し、まちに賑わいを創る」ことを目的に掲げる同代表企業は、企画から設計、建築、テナント誘致まで一貫して手がけ、都内を中心とした全国各地に、地域に根ざした魅力的な空間をつくり出している。
「我々が誘致するテナントは、ほとんどが中小企業や個人事業主です。そのため、入居するだけで宣伝になるようなデザイン設計・建築を手掛けてきました。今回は、沼津市さんやURさん、民間プレイヤーさんとのコラボレーションがとても楽しみです。互いの得意分野を活かしながら、自分たちだけではできないことを生み出し、他の地域の方にも注目される施設になれば」とフィル・カンパニーの村川裕一郎さんは話す。一方、沼津市の臼井さんは「訪れる人たちの声を聞きながら、どんなふうに楽しめるのか、これからどんなことをしていきたいのかなどを、ここで一緒に考えていきたい」と。
そしてURの酒井泰斉(やすなり)も夢を膨らませている。
「ヌマヅ ジャムズは、沼津駅南口や近隣商店街からも見えて、周辺と調和した景観になる予定です。ここを拠点にまちなかに人が回遊することが大事で、将来の駅前広場を考えるうえでのパイロット的な存在となれば。ゆくゆくは商店街さんや地元企業などとも一緒にこの土地を使ってさまざまな取り組みができたらと思っています」
たくさんの期待や夢が込められたヌマヅ ジャムズ。そこに人々が集い、くつろぐ様子を想像していたら、楽しい気分になってきた。
沼津駅前のまちづくりに取り組むメンバー。後列左から、REIVER鈴木さん、URの酒井、前列左から沼津市の臼井さん、フィル・カンパニーの村川さん。
新たに誕生するにぎわい拠点、NUMAZU JAMS(ヌマヅ ジャムズ)のイメージ図。2階建てで、飲食物販などの「店舗エリア」、まちづくり活動の拠点となる「地域貢献エリア」、複数の機能を持つ「広場エリア」で構成される予定。【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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