グリーンインフラ
UR都市機構は、これまで培ってきたみどりの整備・活用の知見を基盤に、2025年4月に公表した「環境基本方針」に基づくグリーンインフラの実装を進めています。自然環境が有する多様な機能を最大限に活かしながら、防災・減災や環境負荷の低減、地域の魅力向上につながるまち・住まいづくりを展開していきます。
推進メッセージ
私たちのまちと住まいは、現在、気候変動や生物多様性の損失など環境関連リスクへの対応、また、人口減少・少子高齢化の進行や災害の激甚化・頻発化等、多岐にわたる社会課題に直面しています。これら課題に対し、自然の持つ多様な機能を賢く利用する、グリーンインフラの活用が当たり前である社会を実現することが、解決の一助になると考えます。
URは、前身となる日本住宅公団の設立以来70年以上にわたり、まちの魅力を高める緑地の整備や団地にひろがる緑豊かな屋外空間の提供など、地域特性に応じた自然環境の保全・再生・創出を行い、みどりを活かしたまち・住まいづくりを展開してきました。
長年継続してきたみどりの取組みを、グリーンインフラの活用という視点から捉え直し、さらに充実させていきます。これまでの実績を基盤に、新しい知見を柔軟に取込み、幅広いステークホルダーの皆さまとともにグリーンインフラの実装を進め、持続可能で美しく安全で快適なまち・住まいを実現していきます。
「URのグリーンインフラは、時代ごとの社会課題やニーズの変化に対応しながら、みどりや自然を「つくる」とともに、 その価値を「活用する」ことで発展してきました。 以下では、その変遷を支えてきた特徴や考え方を、4つのテーマに分けてご紹介します」
地域の自然を読み解き未来へつなぐ
地形や水系、既存樹林といったその土地が本来持つ自然特性を読み解き、計画や整備に活かすまちづくりを行ってきました。樹木の保全・移植や地形を尊重した設計を通じて、地域の環境資源を活かしながら、時間を重ねて育まれてきた自然を未来へ継承する取組みを進めています。
▲ 多摩平の森(東京都日野市)団地建設前から続く、宮内省の御料林であった頃からの歴史ある樹木を内包した団地です。建替え事業の際には「緑の継承と育成」をテーマに掲げました。敷地内の樹木を一本一本丁寧に調査し、お住まいの皆さまや専門家と議論を重ねた結果、グリーンバンクシステムの実践によって多くの樹木が保存・移植された他、広場や通路等が一体的に整備され、豊かな環境が連なる「緑の回廊」が生まれました。
▲ グリーンバンクシステム工事を行う際、生長した樹木を残したり、移植をすることで、地域や団地の景観・環境を形成したり、伐採した樹木をチップ化する等、リサイクルを通して環境負荷の低減を目指す、UR独自の取組みです。
自然の力を活かしてしなやかな基盤をつくる
みどりをまちや住まいを支える基盤として捉え、様々な整備を行ってきました。これらのみどりは、日常の暮らしを支え、まちを豊かにするとともに、災害時等の非常時には減災・防災に貢献する等、都市の骨格を成す要素として活かされています。
▲ グリーンマトリックス(神奈川県横浜市)谷戸や屋敷林、公園、民有地等の多様な緑地を、歩行者空間によって連結する独自のシステムを「グリーンマトリックス」と呼びます。この考え方に基づき、緑地を保全しながら地域の歴史を継承するとともに、通勤・通学・買い物といった日常の動線を整備しています。これにより、都市の中に特徴的な緑の骨格を形成しています。
▲ IKE・SUNPARK(東京都豊島区)本公園の計画策定にあたっては、「文化・賑わい・環境」の観点から区民ワークショップを開催し、その意見を民間事業者の公募条件に反映しました。その結果、サクラやヤマモモの保存・移植、地域で野菜づくりを行う空間の整備、ランニングコースや健康遊具の設置等が実現しました。さらに、防災倉庫の屋上緑化や隣接大学の公募におけるCO2削減・緑化対策の実施等、環境への配慮も図っています。
地域でみどりを育て広げる
みどりを地域とともに育て、活用しながら、将来へ引き継ぐ地域資源として位置付けています。多様な主体が関わることで、学びや交流の機会を創出し、持続的なコミュニティ形成を支える基盤となっています。
▲ うめきた公園(大阪府大阪市)令和6年9月に2期区域の先行まちびらきを行いました。2期区域はまちづくりのコンセプトを『「みどり」と「イノベーション」の融合拠点』とし、緑豊かな都市公園と、そこに集う市民との接点を活かした空間として整備しました。大阪の里山植生(在来種)を用いた、生きものの棲息に配慮した環境づくりや、雨水再利用貯留槽の設置をはじめとした雨水流出抑制の他、官民学の連携の結節点として機能することが期待されています。
▲ 江南団地の環境教育(愛知県江南市)建設当初から残されてきた江南団地の森は、お住まいの皆さまだけでなく、地域にとっても貴重な緑です。このような資源を活かし、令和2年から江南市とURが協働して環境学習会を実施しています。どんぐりや昆虫の観察等の体験を通じて、身近な自然や生きものとの関わりやその重要性をこどもたちに伝えています。
くらしとみどりが調和する環境をつくる
水やみどりなどの環境資源を活かし、緑地や水辺空間、多様な生きものが共生できる環境を整備しています。
また、継続的な維持管理にも取り組むことで、くらしと自然環境が調和する快適な空間を育んでいます。
▲ 常盤平団地(千葉県松戸市)緑豊かな環境を活かし、環境学習の場としても活用されている団地です。多様な樹木や草地が広がる敷地内では、生きものの姿や季節の変化を身近に感じることができ、暮らしの中で自然への理解や関心を育む環境が整えられています。こうした取組みが評価され、SEGES※「そだてる緑」部門で「Excellent Stage3」の認定も受けています。
※民間企業や団体が管理する緑地の社会・環境貢献度を評価・認定する制度
▲ サンヴァリエ桜堤(東京都武蔵野市)建替え事業をきっかけに団地内を流れる河川を活かし、川辺の環境整備やビオトープ池の整備が行われました。
その後の生きもの調査により多様な動植物の生息が確認され、その生物多様性への貢献が評価されて、令和7年に環境省の「自然共生サイト」に認定されました。
受賞歴
グリーンインフラ大賞
第2回グリーンインフラ大賞
生活空間部門 国土交通大臣賞
令和3年度受賞
コンフォール松原■□受賞のポイント□■
様々な主体と育て楽しむみどり等
第2回グリーンインフラ大賞
防災・減災部門および都市空間部門優秀賞
令和3年度受賞
としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)■□受賞のポイント□■
緑空間の多機能性の活用と面的な取組みの推進等
自然共生サイト
SEGES
要素技術
長年継続してきた緑の要素技術はこちら
(技術アーカイブのページへ)
◆環境にやさしいまちづくり
CO2を削減したり、雨水を利用したり、限りある資源を有効に利用することで、環境にやさしいまちづくりに取り組んでいます。
◆暑さをやわらげるまちづくり
地域の自然や公園だけではなく、建物の屋上や壁面の緑化推進や、雨水などの水分を蓄えることのできる道路舗装などを通じて、ヒートアイランド現象をやわらげるまちづくりに取り組んでいます。
◆災害に強いまちづくり
災害時の避難場所・救護活動拠点となる防災公園や火災の延焼を防止する樹林帯の整備、集中豪雨による浸水防止対策を行い、災害に強いまちづくりに取り組んでいます。
◆新たなコミュニティの醸成
クラインガルテンや共同花壇、緑をテーマにしたワークショップで、一緒に作業を行うことにより居住者同士がコミュニケーションを図るきっかけを提供し、さまざまな世代がいきいきと暮らし続けられるまちづくりを進めています。
◆多様な生きものと共に生きるまちづくり
生きものの生育空間となるビオトープの整備、長い年月を経て成長した樹木や土壌の有効活用を通じて、多様な生きものと共に生きるまちづくりに取り組んでいます。



















