命を守る防災新常識(3)
不確かな災害情報に惑わされないために
しばしば現れては消える大地震の予知や予言。
しかし、現代の科学において大地震の予知は不可能です。
こうした情報に惑わされないために必要なことを考えます。
災害の「予言」や「噂(うわさ)」
2025年7月5日、日本に「大災難」が生じるという噂が流れました。SNSをはじめテレビなどでもこの話題が多く取り上げられ、一時的なブームを呼び起こしました。類似したものには、1999年7月の「ノストラダムスの大予言」などもあります。
このような予言や噂は、内容を変化させながら繰り返し登場し、流行しては消えていきます。しかしこれまでのところ、人類の滅亡や大災難が生じたかといえば、もちろんそんなことはありません。こうした話は個人で楽しむのみとして、他人へ押しつけることは避けましょう。
大地震は「予知」できない
では、根拠のない予言や噂ではなく、科学的な「地震予知」についてはどうでしょうか。
気象庁が定義する地震予知とは、「地震の起こる時・場所・大きさの3つの要素を精度よく限定して予測すること」とされています。そして現在のところ、高精度な地震予知は科学的に実現しておらず、日時と場所を特定した大地震の予知は、すべてデマといえます。
科学は進歩しており、将来的に地震予知が実用化される可能性はあります。現時点では地震予知・予測・お知らせサービスなどが存在していますが、大地震の発生を事前に的中させるものはありません。予知情報を他人へ押しつけることは避けましょう。
「大地震のお知らせ」について
2024年8月8日に発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」や、2025年12月9日に発表された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、地震予知とは異なるのでしょうか。これらの情報は、巨大地震発生の注意を促し、日頃の地震対策を見直すきっかけとするための「お知らせ」であり、予知ではありません。
これらの情報は今後も繰り返し発表されることが想定されます。あわてることのないよう、日頃から地震の揺れに対する対策、津波などからの避難準備などを行い、大地震に対する備えを「特別なもの」にするのではなく、平時のライフスタイルにすることが重要です。
SNSなどで広がる「デマ情報」について
インターネットサービスのX(旧・Twitter)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)などのSNSでは、しばしば大地震や災害に関するデマ情報が流れます。これらのSNSでは、配信した情報の閲覧数が多いほど収益が得られる仕組みとなっており、さまざまな動機でデマ情報が流されています。
SNSで情報を得た際には、その場ですぐSNSやインターネットを使い、情報の真偽を自分で検索してください。するとそれが真実の情報なのか、デマ情報かを知ることができます。NHKなどのニュースサイトで検索することも有効です。平時・災害時問わず、自分が直接見聞きした情報以外を、そのまま他人へ共有することは避けましょう。
大地震には常に備えるのみ
2024年8月8日の「南海トラフ地震臨時情報」発表直後に、飲料水などが買い占められてしまった店舗の様子。日頃からの備えを行うことで、突発的な情報に対処できます。
大地震発生時、SNSなどで「この地震は人工地震である」といったデマ情報が流れることがあります。人工地震そのものは、地盤調査や土木工事などで頻繁に生じており、ありふれた技術です。
では人工地震にはどのように向き合えばよいのか、それは「常に備える」ことです。極論をいえば、発生した大地震が「自然」か「人工」かに関わりなく、私たちが行える備えは日頃から地震対策をすることのみです。「予言」「予知」「デマ」情報などに対しても、結局は日頃からの備えが必要だという事実に変わりはありません。
大地震には常に備えるのみ。あらためてわが家の防災を見直してください。
プロフィール
たかにともや
備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。最新刊は『防災リュック はじめてBOOK』(徳間書店)。
【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】
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