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命と暮らしを守る防災の基本(5)

URPRESS 2022 vol.70 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


「水」と「水の機能」を準備する在宅避難の断水対策

人が生きていくために欠かせない「水」。「断水」への備えは重要です。
断水は大地震や台風などの自然災害だけでなく、施設の老朽化や事故などによっても発生します。水の備えを見直しましょう。

断水の理由はさまざまある

断水が発生するのは、自然災害時だけではありません。「下水道」が使えなくなった場合も、排水ができなくなるので水が使えなくなります。次のような状況への備えが必要です。

水道・下水道に影響が生じる状況

大地震が発生した場合、建物の排水設備が破損すると水を流せなくなるため、「飲料・食事」以外の水が使えなくなります。特にマンションなどの場合は、大地震発生後に排水設備点検が終わるまで、排水が禁止されている場合もあります。

断水対策の考え方

断水対策は「水そのもの」を用意する方法と、「水の機能」を代替する方法に分けられます。例えば飲料水や食事に使う水は「水そのもの」が必須ですので、ペットボトルの水などを活用します。目安として「1日3リットル×家族の人数分」の水を、最低3日分、できれば7日分用意してください。

一方、洗濯・風呂・トイレなどに使う水は量が大変多いため、水そのものではなく「機能」を用意します。衛生管理のためにウェットティッシュを用意する、歯みがきのためにペーパー歯ブラシを準備する、トイレは非常用トイレを調達しておくといった具合です。

さまざまな断水対策用品

断水対策用品の写真

左上:飲料水。防災専用のものは高価なため、安価なボトル水を日頃から消費して入れ替える日常備蓄がおすすめ。

右上:非常用トイレ。最重要アイテムのひとつで、このような箱入りのものがコンパクトでおすすめ。自宅の便器にセットの袋を被せて使用する。

中央:ウェットティッシュや除菌グッズ。夏の食中毒対策・冬のインフルエンザ対策などで重要。食事の前には必ず手指消毒を。

下段:ペーパー歯みがき・ドライシャンプー。水のいらないペーパー型の歯みがきシートや、拭うだけで頭髪をきれいにできるシャンプー手袋なども便利。

非常用トイレの準備と活用

食事とトイレはセットで準備します。飲料水や非常食を1週間分用意する場合は、非常用トイレも1週間分の用意が不可欠です。「1日5回分×家族の人数分」のトイレを、できれば1週間分以上確保してください。

非常用トイレは「袋」と「凝固剤」がセットになっていて、これを自宅の便器に被せて使います。使用後はオムツなどと同じ区分でゴミ回収に出しますが、非常時にゴミ回収が止まっている場合は、しばらく自宅に置いておけるよう、ゴミ袋を平時から多めにストックしておくといいでしょう。

プロフィール

たかにともや

備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。

たかにともやさんの画像

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】

from UR 草加松原D街区における雨水流出抑制対策

1964年の完成当初、「東洋一のマンモス団地」とうたわれた草加松原団地再生事業において、埼玉県草加市とURの共同事業として、大規模な雨水貯留施設(約10,000t)の整備を行いました。草加松原団地は地盤高が低く、周辺を流れる伝右川(でんうがわ)・綾瀬川の大雨時の増水や内水氾濫による道路冠水・団地内への浸水が発生しており、これまでも行政による放水路の整備やポンプ場の整備等が行われてきました。今回、草加松原D街区において草加市とURが連携することで、「大規模雨水貯留施設を1箇所に集約して整備することによる、大街区全体の有効的な将来土地利用計画」「URによる基盤整備工事と一体的に施工することによる、スケジュール・事業費両面での効率的な整備」「草加市が周辺の市管理ポンプ場等と一体で管理を行うことによる、効果的な浸水対策の運用」が実現することとなりました。URでは、今後の団地再生事業においても、地域のニーズに合わせて、防災性・利便性を向上させる基盤整備の実現を図っていきます。

建て替え後のコンフォール松原。
雨水貯留槽の躯体を施工中。
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