命と暮らしを守る防災の基本(16)
いろいろある!「備蓄ごはん」の選び方
近年の価格高騰には悩まされますが、それでも日本はお米の国です。
だからこそ、備蓄食にも「ごはんもの」がバリエーション豊富にそろっています。
今回は備蓄ごはんの種類と選び方を解説します。
備蓄ごはんは大きく4種類
備蓄ごはんは大きく分けると、そのまま食べられる「調理済みごはん」と、加水や加熱が必要な「パックごはん」「アルファ化米ごはん」「フリーズドライごはん」の4種類に分けられます。それぞれの特徴は次の通りです。
調理済みごはん

加熱・調理不要で、そのまま食べられる便利な備蓄食です。レトルトのおかゆやリゾット、丼飯の缶詰、ベビーフードや介護食などがあります。災害時に備えた備蓄品として準備すると同時に、平時の食事にも利用できます。
そのままでも食べられますが、温めるとよりおいしくなります。自宅で過ごす在宅避難のときはカセットコンロを使って湯煎、避難先では食品加熱剤などを使って加熱してください。
️▶︎乳幼児向け・介護食・看病など、使用する目的が決まっている場合におすすめ。
アルファ化米ごはん

水やお湯で戻して食べるごはんです。防災備蓄食の代表格で、白いごはん、調理ごはん、携帯おにぎりやレトルトおかずとのセットなど、バリエーションも豊富です。パックごはんに次いで食感や食味が良く、便利に活用できます。
アルファ化米は物理的にはそのままでも食べられますが、とても硬いためおすすめしません。多くの製品は水なら60分、お湯なら15分程度、戻してから食べます。味や食味が良く、比較的安価で賞味期限も長いため、備蓄食としても大変優れています。
▶︎在宅避難や車中泊などに向けた備蓄食に。災害時に「ごはん」を食べたい場合におすすめ。
パックごはん

電子レンジや湯煎で温めて食べるごはんです。備蓄ごはんの中で、最も「炊きたてごはん」に近い食味があり、おいしいことが特徴ですが、加熱が必須で、そのままでは「食べられない」ことに注意してください。
テレビCMなどでもおなじみの「レンチンごはん」や、発熱剤とおかずがセットになっている「レスキューフーズ」、各種の調理ごはんなどが発売されています。加熱道具が必須なので、カセットコンロなどが使える在宅避難に向いています。
▶︎毎日食べる白いごはんの代わりとして使える。日常備蓄で準備する場合におすすめ。
フリーズドライごはん

水分を極限まで取り除き、軽量かつ長期保存できるようにしたごはんです。ラインアップも豊富で、手軽に食べられるカップごはんから、25年備蓄できる「サバイバルフーズ」まで、平時にも備蓄用にも活用できます。
アルファ化米と似ていますが、水またはお湯で戻す時間が数分と短く、すぐに食べられることが特徴です。その反面、食感は柔らかめで、白飯よりもリゾットや雑炊風にして食べるとおいしくなります。価格がやや高いため、長期備蓄に向いています。
▶︎高価だが軽量なので、アウトドア目的や、防災リュックに入れておくのにおすすめ。

災害時に温かい「ごはん」を食べることは、栄養面でも気持ちの面でも大切です。ぜひ自分好みのごはんを見つけて、備蓄ラインアップに加えてください。
プロフィール
たかにともや
備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。最新刊は『食料備蓄はじめてBOOK備蓄ノウハウ55』(徳間書店)。

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】
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