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命と暮らしを守る防災の基本(13)

URPRESS 2024 vol.78 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


台風情報使いこなしガイド情報を活用し被害を軽減

予知できない大地震と異なり、台風は「いつ・どこに・どのくらいの大きさで」という情報が入手できます。
台風情報を正しく理解して、被害を軽減しましょう。

台風経路図の見方

台風経路図 画像:気象庁

台風が発生すると、気象庁から台風の位置と進路予報を示す「台風経路図」が公開されます。この円は「予報円」と呼ばれ、台風の中心が70%の確率で入る範囲を示しています。先になるほど進路がずれる可能性が高まるため、先に進むほど予報円は大きくなります。予報円の外側を囲む赤色の実線は「暴風警戒域」を示し、台風の中心が予報円の中に入った場合に、風速25m以上の暴風が吹く「暴風域」に入る恐れのある範囲を示しています。このエリアに含まれる場合は、特別な警戒が必要です。

台風の気圧はどう見る?

台風の強風にあおられるサトウキビ。

台風情報で注目すべき数字には、「ヘクトパスカル(hPa)」で示される「中心気圧」があります。中心気圧が低くなるほど、「強烈な台風」になりますが、風の強さと範囲は中心気圧だけで決まるものではないため、台風の大きさと強さを表す際には、「風速」が使われています。もちろん中心気圧が低い台風は大きく・強くなりがちですので注意する必要があります。その上で、台風の大きさと強さに「階級」がつく場合には、特に厳重な警戒をしてください。

台風の大きさと強さについて

台風情報には、台風の「大きさ」と「強さ」が登場します。

大きさの階級分け

階級 風速15m/秒以上の半径 大型(大きい) 500km~800km未満 超大型(非常に大きい)800km以上

台風の「大きさ」は2段階あり、風速15m/秒以上の強風域が半径500kmから800km未満になると「大型」に、強風域が半径800km以上になると「超大型」の台風になります。

大型の台風の中心が東京に存在した場合、西は大阪から、北は青森あたりまでが強風域に含まれる、ものすごく大きな台風になります。超大型の台風ともなれば、台風の中心が東京に存在すると本州・四国・北海道の南までが強風域に含まれる、とんでもない規模の台風になるのです。台風の大きさに「大型」や「超大型」という言葉がついた場合は、広い範囲で警戒が必要となります。

強さの階級分け

階級 最大風速 強い 33m/秒以上~44m/秒未満 非常に強い 44m/秒以上~54m/秒未満 猛烈な 54m/秒以上

台風の強さは最大風速で3つに分類され、最大風速が33m/秒~44m/秒未満で「強い」、最大風速が44m/秒~54m/秒未満で「非常に強い」、そして最大風速が54m/秒以上になると「猛烈な」台風と呼ばれます。

強い台風の風速33m以上とは、その辺の小石が勝手に飛び始め、細い木が折れ、看板が吹き飛ばされたりする風速で、災害をもたらします。最も低い階級ですが「強い」台風という時点で十分に危険なのです。オリンピックの銅メダル選手と考えれば良いでしょうか。表彰台に上がっている時点ですごいということです。

非常に強い台風の風速44m以上とは、トラックが横転し、電柱や街灯が倒れ、木造住宅が倒壊しはじめる強さの暴風で、教科書に載るレベルの台風です。外出を控え、屋外のものを片付け、雨戸を閉め、停電や断水に備えるレベルになります。

猛烈な台風の風速54m以上というのは、木造住宅がバラバラになり、樹木が根こそぎ吹き飛ばされ、鉄塔が曲がることもある強さの暴風です。最大級の警戒をし、命を守る直前対策が必要になり、場合によっては広域避難をすべきレベルの台風になります。

図は近年最悪の被害をもたらした「令和元年東日本台風」の上陸直前の経路図です。この段階で「大型で強い台風」でした。台風の大きさと強さに階級がつく場合は、厳重な警戒をしてください。

画像:気象庁(令和元年東日本台風・進路予想図)

プロフィール

たかにともや

備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。最新刊は『今日から始める 家庭の防災計画』(徳間書店)。

たかにともやさんの写真

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】

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