【復興地探訪 第12回】宮城県東松島市
海と空に多彩な魅力がぎっしり詰まったまち
東松島市は、日本三景の「松島」の東端「奥松島」を抱えた風光明媚なまち。豊かな自然を楽しむトレッキングコースがあり、海洋体験プログラムも充実。一方で航空自衛隊松島基地に所属するアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行訓練が見られる場所としても有名だ。陸・海・空とグルメも楽しめる東松島の魅力を紹介しよう。
夏の最大のイベント、東松島夏まつりと松島基地航空祭で、ブルーインパルスの航空ショーが楽しめる。
8月24・25日に開催予定。また、平日の訓練飛行時は、基地の東側にある無料市営駐車場から、格納庫前に駐機する機体が見られる。
東松島市震災復興伝承館のある東松島市東日本大震災復興祈念公園には、被災した旧野蒜駅と線路跡が震災遺構として残されている。
震災後、2015年に高台に移設された新野蒜駅舎。
被災したJR仙石線旧野蒜駅を活用してつくった「東松島市災害復興伝承館」。
東西約3キロにわたって砂浜が続く野蒜海岸。
KIBOTCHAのグランピングエリア。バーベキューも楽しめる。URの東松島市支援
東矢本駅北地区に広がる市営あおい住宅。
URは東松島市と2012年3月に協力協定を締結し、復興市街地整備と災害公営住宅の整備を支援。JR仙石線の移設を含め、津波被害を受けた区域からの集団移転先の野蒜(のびる)丘陵整備と、東矢本駅北地区の整備を行った。2016年11月までに、あおい災害公営住宅307戸、野蒜ケ丘災害公営住宅170戸の引き渡しを終えた。
1.名産品の「海苔」をアピール
ちゃんこ萩乃井
元力士の店主が営む創業55年のちゃんこ鍋店。この店の名物「のりうどん」は、皇室献上海苔の実績を誇る大曲浜の漁師と開発。粉末にした海苔を小麦粉に加えてつくった自家製麺で、海苔の風味があり、コシがあってのどごしもいい。
TEL:0225-82-2478
2010年に誕生した、東松島市の名物のりうどん。写真は、冷たい天ざるのりうどん1,470円。2.近海の新鮮な魚にこだわる
旬魚酒房 吹き寄せ寿司
長年、地元の人たちに愛され、観光で訪れる人たちの舌も満足させる寿司店。マグロやヒラメ、アワビなど地元の港に揚がる近海の魚にこだわる。とくに穴子は、身が厚く、ふっくらとしていて絶品。
TEL:0225-83-9556
ちらし寿司(梅)3,300円(写真上)、にぎり寿司(桜)3,480円(下)。新鮮で大きなネタに大満足!3.奥松島を味わうとっておきの空間
そば処 奥松庵
2021年、「地域に明かりを灯す」をテーマにオープンした奥松島クラブハウス内にあるそば処。新名物・海苔そばや木桶寿司がいただける。飲食店のほか、ギャラリーや日本庭園も。今年、グランピング施設もオープンする予定だ。
TEL:0225-98-8123
名産の海苔を使った新名物、海苔そばと、特製醤油タレに漬け込んだ新鮮な魚が乗る木桶寿司セット1,850円。4.石窯で焼く本格ナポリピッツァ
ディタフ
食材にこだわり、地元で採掘される野蒜石(凝灰岩)で造った石窯で焼くピッツァは、香ばしくてふっくら。石窯焼きステーキも人気だ。ログハウスの店舗も石窯も店主の手作り。
TEL:0225-90-3023
試作を重ねてできたオリジナルメニュー海苔のピッツァ、アルガマリーナ1,700円。5.航空グッズ専門店
大きな栗
今年1月にオープンした「大きな栗」は、ブルーインパルスグッズをはじめ、航空グッズを販売する専門店だ。店主は元自衛官。マニアたちの情報交換の場にもなっている。
TEL:090-4552-1606
ブルーインパルスグッズが勢揃い。(写真上)ブルーインパルスサイダーとコーラ、オリジナルタンブラー。(写真下)6.震災の教訓を子どもたちに伝える
KIBOTCHA(キボッチャ)
被災した旧野蒜小学校をリノベーションした、命の大切さが学べる防災体験型宿泊施設。レストランや大浴場、会議室やフィットネスルームも完備。
TEL:0225-25-7319
敷地内にはバーベキュースペースやグランピング施設が整う。東松島のおみやげ
A.矢本銘菓ブルーインパルス(大勇堂)

松島基地航空祭の定番みやげ、マロン餡の焼き菓子。
B.塩のり オリーブ、黒こしょう、めんたい(のり工房 矢本)

バリエーションが豊富な大曲浜の塩のり。
C.のびるバウム(のびる村直販店)

自家栽培・自家製粉した小麦粉、米粉を使って手作りするバウムクーヘン。

持続可能な観光地として世界にアピール
東松島市は、年間100万人以上の観光客が訪れていましたが、東日本大震災の津波で観光資源のほとんどが失われました。そこで、観光復興と地域経済の活性化を目指し、自然の景観と文化・歴史を体感できるトレイルコース「宮城オルレ※1奥松島コース」を整備しました。これは奥松島の観光拠点あおみなを出発し、さとはま縄文の里史跡公園で貝塚を見学、さらに松島四大観の一つ大高森の展望台から大パノラマの風景を楽しむなどの約10kmのコースです。縄文の歴史と、海と大地の恵みを満喫できます。
この「宮城オルレ奥松島コース」などの取り組みが高く評価され、東松島市は2022年「世界の持続可能な観光地TOP100選※2」に選出されました。さらに2023年には奥松島地区が「ベストツーリズムビレッジ2023※3」に選ばれました。
ほかにも震災の被害が大きかった野蒜地区には、賑わいを取り戻そうと多彩な観光施設が誕生。また、現役漁師が教えてくれるかご漁体験や刺し網漁体験など、海洋体験プログラムも人気です。11月末には三陸自動車道の矢本PA上り線に隣接して「道の駅 東松島」がオープン予定。この秋は、ぜひ東松島市にお越しください。
※1「オルレ」とは韓国済州島から始まった自然を楽しみながら歩くトレッキングコースのこと。
※2持続可能な観光地の国際認証機関「グリーン・デスティネーションズ」が認定。
※3「国連世界観光機関(UN Tourism。旧UNWTO)」が認定。※2と3の両方の認証を受けているのは、宮城県東松島市と北海道ニセコ町、岐阜県白川村だけ。
●東松島市産業部商工観光課観光振興係
TEL:0225-82-1111
東松島市産業部商工観光課観光振興係の武田光由さん(左)と野村康太さん(右)。
おすすめトレッキングコース、宮城オルレ奥松島コース。
奥松島の自然環境を生かした体験メニューのひとつ、かご漁体験。【石井克美=文、菅野健児=撮影】
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