【復興地探訪 第8回】福島県浪江町
道の駅を中心に、まちに活気が戻ってきた
2017(平成29)年に避難指示が一部解除され、町民の帰還が始まった浪江町。震災以前の町には飲食店が多く、駅前を中心に夜遅くまでにぎわっていたそうだ。いま、戻ってきた人たちと、新しくやってきた人たちが、ともに浪江町の再生に汗をかき、よりよいまちをつくろうと頑張っている。
URの浪江町支援
URは2017年に「浪江町の復興まちづくりの推進に関する協定」を締結し、棚塩地区産業団地整備事業を受託、2020年に地区内に「福島水素エネルギー研究フィールド」「福島ロボット・テストフィールド浪江滑走路」が完成した。同時に浪江駅周辺で復興再生拠点市街地形成施設事業を進めている。
1.復興するまちのシンボル 道の駅なみえ
浪江町の復興のシンボルとして2020年8月にオープンした「道の駅なみえ」。買い物に食事、情報収集や休憩にと、観光客だけでなく地元の人たちにも利用され、にぎわっている。
本館には産直コーナーやパン屋さん、フードコートのほか、観光情報発信コーナー、会議室や調理室などもあり、全国で初めて道の駅に出店した無印良品は、地元の人たちに好評だ。
TEL:0240-23-7121
なみえ焼そば
B1グランプリに輝いた「なみえ焼そば」(770円)は「フードテラスかなで」で。太めの麺にオリジナルソースがからんで、食べ応えあり。請戸漁港に揚がった海の幸がたっぷりのった「海鮮丼」や「釜揚げシラス丼」も人気。
中華そば
「麺処ひろ田製粉所」には写真の中華そば(750円)のほか、日本蕎麦、うどんもそろい、地元の人のランチタイムにも利用されている。
スイーツ
「ふくしまフルーツラボ」のいちごミルク(500円)。マグロにこだわった丼もある。
2.畳スペースに癒やされる
やすらぎの宿 双葉の杜
道の駅のすぐ近くに2020年に開業した。入り口で靴を脱ぐのは、「自分の家に帰ったようにリラックスしてほしいから」と代表の志賀崇さん。客室には座椅子が置かれた畳スペースがあり、心からくつろげる。大浴場、レストラン、バーやフィットネスジムまでそろえ、復興を宿泊の面から支えている。
TEL:0240-23-7099
3.地魚がおいしい居酒屋
海鮮和食処 くろさか
浪江町出身で、東京で寿司と和食の店を営んでいた黒坂千潮さんが地元に戻り、始めたお店。カウンターとテーブル席、外にはテラス席があり、手軽な定食のランチから、夜は地魚を中心にした料理を楽しむ気軽な居酒屋として大人気。夜は予約必須。
TEL:0240-34-7250
4.地元に愛されてきた老舗
うなぎ 大坊
大正時代にこの地で飲食店を始め、うなぎ専門店になってから40年以上。店主の大坊雅一さんは、避難先の東京から戻って店を再開させた。この地で長く愛されてきた味を求めて、昔からの客だけでなく、新たな客も駆けつける。
TEL:0240-34-2054
5.本格コーヒーとバーガーをどうぞ
N+CAFE
仮設商業施設「まち・なみ・まるしぇ」にあるカフェ。東京のNANAN TOKYOが焙煎したコーヒー豆を使用。自家製ソースの隠し味にコーヒーを入れたハンバーガー各種や、パンケーキ、牛丼など、今の浪江にないものを提供。夏にはビアガーデンも予定している。
地域密着の道の駅で新たな交流を生む
復興拠点としての道の駅づくりに奔走し、町民の理解を得るために避難先にも足を運んで説明しました。そうして2020年、コロナ禍での開業でしたが、計画通りお客さんが来てくれて、郷土料理の調理室や会議室は町民によく利用されています。「まちのパン屋さん ほのか」は、町民のリクエストから出店を依頼、フードコートの畳のスペースも町民の希望でつくりました。
ここは町民と他の地域の人たちとの交流拠点。地元に戻った人たち、帰還を考えている人たち、よそから来た人たちがここに集い、情報を交換し、復興を進めるハブになるよう、地域密着で頑張っていきます。
浪江町出身の菅家さん。手にしているのは、自身のイラストが描かれた「なみえ焼そばソース煎餅」。
【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】
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