【復興地探訪 第4回】宮城県石巻市
多様な文化が混ざり合い新たな風が吹く港町
古くは北上川を利用した水運業で栄えた歴史をもつ石巻。金華山沖漁場に近く、漁港は全国有数の水揚げ量を誇ります。
JR石巻駅から旧北上川の中州(中瀬地区)に広がる中心市街地には、東日本大震災を乗り越えた趣のある建物が点在し、この地に縁(ゆかり)のある石ノ森章太郎氏のマンガのキャラクター像もあちこちに。川や海と共存するまちづくりを進め、新しい施設やお店が誕生している石巻の中心街を訪ねました。
URの石巻市復興支援
新門脇(かどのわき)の復興市街地整備(24ha)と災害公営住宅の建設を中心に、工事発注者支援、市街地再開発事業の検討支援なども行ってきた。建設した災害公営住宅は10カ所、トータルで436戸。新門脇地区では、区画道路や公園のほか、高盛土道路、避難路、下水道、災害公営住宅などを一体的に整備し、住宅再建を促進した。
1. 何度も通って楽しみたい! 石ノ森萬画館
仮面ライダーやサイボーグ009などの生みの親、石ノ森章太郎氏のミュージアム。貴重な原画や立体展示をはじめ、アトラクションやワークショップも充実、見どころ満載だ。マンガは万物を表現できる「萬画」だと提唱した石ノ森氏の思いを受け継ぎ、「萬画文化」の発信とともに、「萬画的」な発想を活かしたまちづくりの拠点にもなっている。
TEL:0225-96-5055
2. 東日本大震災の伝承施設が集まる 南浜地区
石巻市内で東日本大震災の被害が特に大きかったのが、海に近い門脇、南浜地区。津波が家々を押し流し、津波火災がこの地を焼き尽くした。南浜地区は整備され、2021年3月に「石巻南浜津波復興祈念公園」が開園。周辺には震災の伝承施設が集まり、学びの場となっている。
伝えていくことの大切さを感じています
東日本大震災後、ボランティア団体の事務局としてスタートした「3.11みらいサポート」の活動は、震災支援の連携から、徐々に震災の伝承へシフトしてきました。震災後、ボランティアをはじめ多くの人に支えていただいたこと、石巻出身者として大変感謝しています。
復興していくまちの様子に喜びを感じるとともに、震災を知らない子どもたちに伝えていくことの大切さを強く感じています。私どもが運営する「MEET門脇」は、「石巻市震災遺構 門脇小学校」の目の前にあります。歩いて見てまわれるエリアに、東日本大震災の伝承と交流の施設が集まっています。石巻観光の際にはぜひ南浜へ足をお運びください。
3. 石巻の食材の魅力新発見 四季彩食いまむら
地元の山海の恵みを中心とした料理が堪能できる割烹。店主の今村正輝さんは震災後のボランティアが縁で石巻に店をオープン。自ら船に乗って魚の神経締めを行い、山菜や湧き水を求めて山に行く。そんな今村さんが素材を生かして織りなす料理は、清らかでやさしく、静かに燃えるパワーを秘めている。新たな食材や味と出会える唯一無二のお店だ。
TEL:0225-90-3739
4. 話題の人気イタリア料理店 アル・ケッチァーノ石巻
地産地消のレストランの先駆け、山形に本店をおく「アル・ケッチァーノ」が、震災から10年の節目を迎えた昨年、「食でまちを元気にしたい」と石巻店をオープンした。人気店の味を求めて、地元はもちろん、仙台から足を運ぶお客さんも多い。店名は「あったじゃないか」を意味する山形弁から。
TEL:0225-25-6603
5. お土産はこちらで! いしのまき元気いちば
鮮魚から野菜、水産加工品やスイーツまで、石巻のおいしいものが集結する市場。2階には約140席のフードコートがあり、海鮮の丼物から金華サバ焼定食、石巻やきそばまで豊富なメニューが並ぶ。
TEL:0225-98-5539
その他のスポット
石巻駅
旧観慶丸商店
1930(昭和5)年に建てられ、石巻初の百貨店として栄え、その後も街中のシンボル的な存在だった「旧観慶丸商店」。東日本大震災でも倒壊せず、現在は石巻の文化の発信拠点に。
旧石巻ハリストス正教会教会堂
1880(明治13)年建築の「旧石巻ハリストス正教会教会堂」。津波で周辺の中州の建物がほとんど流されたなか、石ノ森萬画館と共に流されずに残った。
牛たん・焼肉の自販機
飲料の自動販売機に並ぶ「牛たん・焼肉の自販機」を発見! 牛ハラミにんにく醤油味500円(220g)など10種類から選べる。
工房かざみどり
日和山公園の近くにある「工房かざみどり」は自家製のシュークリームが人気のお店。売れ筋1位はレアチーズ、2位は黒豆。
TEL:0225-94-5714
まねきショップ
門脇東復興住宅の斜め向かいにある「まねきショップ」は食料品やお惣菜を販売する、地域の人にとって大事なショップ。イートインコーナーもある。
TEL:080-1655-5456
*新型コロナウイルスの感染拡大防止等により、店舗や施設の休業日や営業時間などが変更になる場合があります。お出かけ前にご確認ください。
【妹尾和子=文、青木 登=撮影】
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