命と暮らしを守る防災の基本(4)
起きてからでは間に合わない
今、見直す室内の地震対策の基本
大地震は恐ろしい災害ですが、逃げるしか手段のない津波や噴火と異なり、
事前対策をきちんと講じることで、被害を大きく減らすことができます。
発生後では間に合わない地震対策、改めて見直しましょう。
家具の固定と落下防止
地震対策で特に重要なことは、「揺れによる被害」を避けること。大地震は予知ができないため、事前準備の有無がそのまま生死につながる場合があり、とりわけ家具などに押しつぶされることは避けなければなりません。
「家具の転倒防止」は最重要対策です。最も効果の高い方法は「金具のネジ固定」ですが、部屋によってはネジ打ち用の木材などが壁に設置されている場合があるので、活用してください。壁へのネジ打ちが難しい場合は、「粘着マット」タイプの器具や、「突っ張り棒」で固定します。
ただし、突っ張り棒は天井が弱いと外れてしまうこともありますが、マンション室内のコンクリートの梁など、建物の構造部に突っ張ることができると、かなり頑丈になります。
全ての対策を同時に進めることが難しい場合は、優先順位をつけて。布団やベッドを直撃する場所にあるもの、ガラスを割ったり避難経路をふさぐ恐れのあるものを優先。赤ちゃん・要介護者・ペットなどに影響をもたらす場所にあるものも、優先的に対策をとりましょう。
火災と停電への備え
次に重要なのが、揺れの後に身を守ること。まずは初期消火の準備です。地震の揺れには比較的強いマンションですが、火災が発生すると大きな被害に発展します。自宅に住宅用の「消火器」を1本は備えておきたいところです。最近はオシャレな外見の住宅用消火器も増えています。
また、停電対策も忘れてはなりません。普段使いできる「停電時自動点灯ライト」を、寝室・キッチン・脱衣所・玄関などのコンセントに挿しておくと、大変役立ちます。
ホウキとチリトリが重要に?
大地震による停電で落とし穴となるのが、「掃除機」が使えなくなること。食器や窓ガラスが破損してガラスが飛散した場合、ホウキやチリトリ、スティック型のワイパーなどを準備しておくと役立ちます。
プロフィール
たかにともや
備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。
【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】
from UR 「全員無事」の団地を目指して
昭和45年入居開始、3,020戸(106棟)の大規模団地である米本団地(千葉県八千代市)では、令和元年春から団地自治会を中心に「地区防災計画」の策定に取り組んできました。
地区防災計画とは、自発的な防災活動の推進を目的として地域住民が作成する防災計画です。同団地では内閣府のアドバイザー派遣制度を活用したワークショップを計4回開催し、現状と課題を把握。全戸を対象とした防災アンケートや地道な話し合い、訓練を積み重ねた結果、震度5強以上の地震発生時の災害対応シナリオや、安否確認と情報伝達の流れを記載した地区防災計画素案を令和2年8月にとりまとめました。「みんなで目指そう、『全員無事』の米本団地」を合言葉に作成された地区防災計画素案は、令和4年2月に八千代市地域防災計画【資料編】に位置付けられました。
団地自治会では、幅広い居住者の方に関心を持ってもらうために「自治会だより」や「みんなの防災ニュース」などの広報を全戸に配布し、家具固定の重要性や備蓄の必要性について発信するなど、地道な取り組みを継続しています。
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