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命と暮らしを守る防災の基本(15)

  • URPRESS 2025 vol.80 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

賃貸物件で「家具・家電」を固定する具体的なポイント!

地震対策で最も大切なのは「揺れで即死しない」こと。
そのためには室内の安全対策が重要です。
今回は、賃貸住宅でも使える家具・家電の固定器具をご紹介します。

家具や家電の転倒・移動防止

家具や家電は、まず固定以外の手段を検討し、他に方法がない場合の最後の手段で固定を行います。具体的には次の順番で対策を考えてください。

1.置く場所を工夫する

究極的には、室内に家具や家電を置かなければ、転倒も移動も生じません。不要な家具、不要な家電を室内に置かない、普段人のいない部屋に置く、押入やクローゼットに収納する方法が有効です。不要な物を置いていないか、まず見直してください。

2.置く方向を工夫する

家具や家電は、転倒や移動が生じても被害が最小限になる置き方をします。正方形の家具でなければ、大地震の揺れで動きそうな方向が分かります。その方向に、ベッドや布団、普段座っているイスなどがないようにすること。またドアや通路をふさいだり、窓ガラスにぶつかったりしない方向に設置することが重要です。

3.最後の手段として固定をする

物が多い場合は、場所や方向の工夫にも限界があるため、最後の手段として「固定」が必要になります。家具や家電の固定器具は種類が多いので、パッケージをよく見て、固定したいものに適した器具を購入すること。代表的な器具に「金具」「粘着器具」「突っ張り棒」があります。

家具・家電の固定器具

最も頑丈に固定ができ、かつメンテナンスフリーになるのが「金具」を使った固定方法です。「L字金具」や「プレートとベルト」など、各種の器具が販売されています。

L字金具

L字金具の設置イメージ写真

よく使われる器具がL字金具です。木製家具と壁を直接ネジで固定することで、強い耐震効果を得られます。写真は設置途中の状況です。設置は大変ですが、写真のように「逆L字」で取り付けると、より頑丈に固定されます。

L字粘着固定器具

L字粘着固定器具の設置イメージ写真

賃貸物件の場合は、壁に穴を開けられない・開けたくない場合もあります。この場合は粘着タイプのL字固定器具を使います。写真は粘着シートを壁と家具に貼り付けて固定する器具で、頑丈なスポンジ素材が揺れを吸収して、外れにくくなっています。

プレートとベルト

プレートとベルトの設置イメージ写真

家電や、ネジを打てない家具に使用する器具です。壁に設置したプレートと、家電や家具をベルト・ワイヤー・チェーンなどで固定します。写真はネジ止めしたプレートと冷蔵庫の背面フックをベルトで固定している様子です。このプレートも、ネジ打ちタイプや粘着シート固定のものなどがあり、賃貸住宅でも使えるタイプがあります。

突っ張り棒

突っ張り棒の設置イメージ写真

後付けしやすい手軽な耐震固定器具としてよく使われるのが「突っ張り棒」です。写真はタンスを固定している突っ張り棒です。必ず2本セットで、家具の「壁側」に設置します。このとき、突っ張りすぎると天井板が歪むこともあるため注意が必要です。コンクリートのはりなどは歪まないため、こうした場所への固定には突っ張り棒が向いています。

メタルラック一体型の突っ張り棒の設置イメージ写真

こちらは、よく使われるメタルラック一体型の突っ張り棒です。ラックの柱と一体化しているため外れることがなく、4点で突っ張ることで強固な転倒防止効果を得られます。メタルラックを使う場合には、ぜひ突っ張りパーツを取り付けてください。

家具や家電の固定は重要ですが、いきなり全てを対策しようとすると大変で、初めの一歩が進まないこともあります。転倒・移動が生じた際、特に危険な場所のものから順番に固定し、少しずつ危険をなくすようにしましょう。

プロフィール

たかにともや

備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。最新刊は『食料備蓄はじめてBOOK備蓄ノウハウ55』(徳間書店)。

たかにともやさんの写真

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文】

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