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命と暮らしを守る防災の基本(3)

URPRESS 2022 vol.68 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


地震大国日本 大地震発生で何が起こるのか?

地球で生じる大地震のおよそ15%が集中する日本列島周辺では、
平均すると毎月1.4回どこかでマグニチュード6以上の大きな地震が発生しています。※1
地震対策の第一歩は、まず「地震で何が起きるのか」を知ること。
今回は地震で生じる「災害」をご紹介します。
※1:気象庁震度データベース・1921年~2021年の値より

日本で生じる地震

右の図は、今後30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率を表した分布図※2で、色が濃い場所ほど確率が高くなっています。

太平洋側の確率が高いのは、定期的に生じることが分かっている、南海トラフ地震をはじめとする海溝型の地震による影響です。

確率はあくまでも参考値であり、日本の場合は北海道から沖縄まで、どこにでも最大級の地震が起きる恐れがあります。現代科学で地震予知はできません。「いつ地震がきてもいいように対策を行い、冷静に構える」ことが重要になります。

※2:NIED 防災科研 地震ハザードステーション「確率論的地震動予測地図・2020年版」をもとに筆者が加工

地震による災害

次のような被害に備えた対策が必要です。

地震の揺れ

強い揺れへの警戒は日本中どこでも必要です。震度6強の揺れを想定し、家具の固定などを日頃から行うことが重要です。

地震火災

道路が狭く、木造住宅が密集した地域では、「地震火災」への備えが必要です。大地震で多くの建物が倒壊して出火すると、道路が狭いため消火や避難に支障が生じ、大規模な延焼火災へと発展します。東京都などは「東京危険度マップ」という火災ハザードマップを作成し、地域別の地震火災危険度を地図で公開しています。

津波

マンションなどの建物が津波で破壊される恐れは小さいですが、低い階の部屋に住んでいる場合は水没の恐れがあります。自分の部屋が、津波ハザードマップで水没する深さの想定になっている場合は、安全な高台または建物の上層階への避難が必要です。国土交通省の「重ねるハザードマップ」などで確認してください。

土砂災害・雪崩

土砂災害ハザードマップで「土砂災害警戒区域・特別警戒区域」になっている場合は、がけ崩れ・地すべり・土石流、また冬の場合は大規模な雪崩への備えが必要です。土砂災害の生じない避難場所へ移動をするか、土砂災害の影響が生じない方向の部屋などで生活をする必要があります。

インフラ被害

電気・ガス・水道・通信・流通などに影響が生じる恐れもあります。津波や地震火災などの恐れがない場合も、インフラの停止に備えた防災備蓄品の準備などが必要です。

外出先からむやみに帰らない

外出先で大きな地震に見舞われ、公共交通機関が止まってしまった。そんなときは、現在地の安全が確認できるなら、むやみに帰宅せず、その場に留まってください。無理に帰宅しようとすると地震による落下物、火災、パニックなどに巻きこまれ、命にかかわる恐れがあるためです。都市部ではこうした事態を想定し、企業や商業施設に防災備蓄品を用意することを求めています。

プロフィール

たかにともや

備え・防災アドバイザー。地震対策からパンデミックへの備えまで、各種防災情報を講演会やメディアを通じて解説するアドバイザー。防災系YouTuberとしても活躍中。

たかにともやさんの画像

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文・写真】

from UR 団地の防災力をダンチガイに!~団地住民による地区防災計画の策定~

昭和42年入居開始、1,759戸の大規模団地である尾山台団地(埼玉県上尾市)では、40年以上にわたって居住者の皆さまによる防災の取り組みが行われています。令和元年度には団地自治会及び団地の自主防災会を中心として、「在宅避難を前提にした発災時に対応できる体制づくり」と「コミュニティーの活性化」を柱とした地区防災計画が策定されました。

地区防災計画とは、自発的な防災活動の推進を目的として地域住民等が作成する防災計画です。同団地では「みんなの防災カフェ」と題したワークショップを計6回開催し、間取り図を用いて家具転倒防止対策の確認を行うなど在宅避難に重要なことを洗い出し、対応策を話し合うことで、同計画の策定が進められました。

こうして策定された同計画には、震度6弱以上の地震を前提に、発災時の役割分担や安否確認の方法、発災後30日間の対応及び普段からの取り組みなどが記されています。また令和2年2月には同計画が上尾市地域防災計画に組み込まれるなど、さらなる防災体制の確立に向けた活動が続けられています。

団地住民による地区防災計画の写真
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