【楽しい団地】江南団地(愛知県江南市)
団地の森を育てる「どんぐり教室」
名古屋のベッドタウンとして栄えてきた愛知県北部の江南市。
市内で今や希少な自然林が残る江南団地を舞台に、小中学生向けの環境学習会が開かれた。
どんぐりを集めて植えペイントにも挑戦
昨年10月23日、秋晴れの土曜日に江南団地で開かれていたのは「どんぐり教室」。子どもたちに、身近な自然環境について学んでもらうことを目的に江南市が主催し、URが協働している環境学習会だ。学習会といってもかたくるしい雰囲気はなく、参加した団地や近隣にお住まいの小学生と保護者15名ほどは楽しそうだ。50年以上前に建てられた江南団地には自然林が3カ所残されていて、今回の舞台は、そのひとつ、通称「南の森」と呼ばれるエリアだ。
さっそくどんぐり拾いからスタート。1人100個を目標にと言われて、「え~?」っと声を発していた子どもたちも、森を埋め尽くすように落ちているどんぐりを見てやる気スイッチが入ったようで、あっという間に目標クリア。
「ここは住民にとって大切な場所なんですよ」と教えてくれたのは、会の様子を見ていた自治会長の森ケイ子さんだ。
「先見の明といいますか、団地が建つときに自然林を残そうと働きかけてくれた先人たちに感謝していますし、木が弱っても、自然林を残し再生するようURが進めてくれるのがありがたいですね」と森さんは話す。
拾ったどんぐりを、みんなで苗床に植え付けて藁をかけた。そして前年のどんぐり教室で植え付けて元気に育っている苗を確認し、移植する苗の選定もした。
集会所に移動後は、講師から、どんぐりの種類や生育環境などについて聞き、また江南団地の里山らしい落葉広葉樹の森は、市内で大変貴重であるとの説明を受け、その後はどんぐりのペイントタイム。
親子で参加し、ペイントに夢中になっていた女の子は「どんぐりがたくさんあって集めるのが楽しかったし、ペイントできるのもうれしい」と。お母さんは「どんぐりの生え方や、ここが貴重な森であることなど初めて知ることが多く勉強になりました」と喜んでいた。
地域の森を育て守っていく
森が成熟し、大きくなり過ぎたり弱ったりした樹木が増え更新が必要になってきたことから、URは2019(令和元)年にワークショップを開催。自治体の方々と意見交換しながら「団地の森 健全化計画」を作成した。
「江南市さんから団地の森で環境学習会をしてみたいとのお声もあり、森の更新のためにも一緒にやっていきましょうと、2020年からかぶとむし幼虫教室と、どんぐり教室を始めました」
とURの武田奈緒が経緯を説明する。江南市環境課の相亰(あいきょう)かほりさんは、
「江南団地の森は、自然が残っていながら人が入れるように整備されている貴重な場所で、苗の植え付けもさせていただけるなど、URさんには大変ご協力をいただき、感謝しています」と話す。
その言葉を受けるように、武田は、
「森が地域の方に使われているのがうれしいですし、環境学習会によって、守っていく価値のある大事な森であることを再認識していただけると感じています」
地域の人とともに手をかけ見守りながら、団地の森の再生が進められている。
【妹尾和子=文、青木 登=撮影】
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