【楽しい団地】千代が丘団地(名古屋市千種区)
「地域で面白いことを!」アンバサダーが活躍中
名古屋市内を見渡す高台に広がる千代が丘団地。
この団地で開かれる「ちよがおかフェスタ」は、地域の人が楽しみにしているイベントだ。
中心となって運営しているのは、アンバサダーと呼ばれる人たち。
自らも楽しみながら、コミュニティー活動を担う十数名のメンバーだ。

「ちよがおかフェスタ」に延べ1500人が参加
春にはお花見を、秋には紅葉を、団地に居ながらにして楽しめると住民が口を揃える、自然豊かな環境にある千代が丘団地。その敷地内の広場を活用して開催される「ちよがおかフェスタ」は、地域の人たちの出し物や出店で彩られるイベントだ。ブラスバンドやギター、打楽器などの演奏をはじめ、紙芝居や紙ひこうき作り、フリーマーケットに肩もみ体操……とプログラムは多種多様。これまでに6回開催され、子どもから年配の方まで、延べ1500人以上が集い、にぎわった。
このような人気イベントに発展したフェスタにスタート当初から関わっているのは、団地自治会役員であり、アンバサダーでもある鈴村敬子さんだ。
「以前はお餅つきなど自治会でイベントを行っていましたが、運営メンバーが高齢化し、参加者が固定されていました。自治会で新たな取り組みを立ち上げるのも難しくて」
このままでいいのか、もっと地域全体で交流を深めるにはどうしたらいいかと悩んでいたと振り返る。
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団地居住推進のため協定を結んでいる南山大学の留学生もワークショップでフェスタに参加。
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集会所をキッズスペースとして開放し、子育て世代にも楽しんでもらった。
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子どもたちに人気の紙芝居。
アンバサダーを中心に地域で自走する仕組みに
第1回「ちよがおかフェスタ」が開かれたのは、2018(平成30)年3月。団地自治会とURの共催で、URの職員有志によるDIY部が作った窯で焼いたピザの試食が中心のイベントだった。住民からは「続けてほしい」という声があがったが、ちょうど団地自治会と社会福祉協議会の共催による集い「宮根わいわい倶楽部」がスタートし、自治会が両方を進めるのは難しい状態だった。
「続けるためには、地域の方々が主体となり、楽しみながら活動できる取り組みに成長させることが必要だとご説明しました。そして徐々に千代が丘団地に関わる方の趣味や特技、人脈を生かした活躍の場にすること、その活動の中心となる人をアンバサダーと呼び、仲間意識を醸成することを提案しました」とURの藤井遥香は話す。役職などはなく、共通の思いをもった主体的な担い手集団、それがアンバサダーだ。
第2回のフェスタでは、アンバサダーによる紙芝居を実施。回数を重ねるごとにアンバサダーが増え、多様なプログラムを用意できるようになった。
UR職員に声をかけられアンバサダーになった髙須英子さんは、第4回フェスタで趣味のアクセサリーづくりのワークショップを開き、大盛況で驚いたという。
「定年後に地域のことに関わるようになって、やるべきことがたくさんあると知りました。長年支えていただいた方への恩返しにと考え、アンバサダーになりました」
そう語る髙須さんは、持ち前の人脈と行動力を生かして、「喫茶がほしいよね」という声を受けてコーヒーの提供を企画したり、パン屋さんに出店交渉をしたり、中学校のブラスバンド部に演奏に来てもらったりと大活躍。フェスタを支える重要な存在となっている。
フェスタをきっかけに顔見知りになり、声をかけやすくなったり、挨拶する人が増えたと喜ぶ人は多い。今年予定していたフェスタは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となったが、アンバサダーはオンライン上で話し合いを継続。「フェスタのマスコットキャラクター募集」を行い、秋からはフェスタのユーチューブ配信にも挑戦する。「気軽に会えない今、形を変えて活動を続けたい。自分たちで、地域でもっと面白いことができたら、もっと輪が広がったら」と期待を膨らませている。10月には、高齢者が安心できるよう暮らしを支える生活支援アドバイザーが着任。地域の方々との交流をベースに活気づき、地域医療福祉拠点化への期待も高まる千代が丘団地だ。
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左からアンバサダーの髙須さんと鈴村さん、URの藤井。「思いを共有できる人たちが集まることで動き出せた」と話す仲良しメンバー。
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会場を飾るガーランド作りのワークショップ。
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昭和53年に入居スタートした千代が丘団地。賃貸と分譲あわせて約1,000戸。生活環境がよくて暮らしやすいと、長年住み続けている人が多い。
- ※「ちよがおかフェスタ」の写真は2019年8月25日および11月7日開催時のものです。
【妹尾和子=文】
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