街に、ルネッサンス UR都市機構

楽しい団地 中登美第3団地(奈良県奈良市)

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

中登美第3(NAKATOMI-DAISAN)団地 奈良県奈良市
ゆるゆると仲間が集まり、夏祭り復活!

「中登美団地夏祭りの始まりです!」

8月25日午後4時。中登美(なかとみ)第3団地集会所前の広場に高らかな開会宣言が響き、今年も夏祭りが始まった。連れだって歩くゆかた姿の子どもたち。輪投げやダーツに夢中の小学生。大人たちもビール片手にあちこちの店をひやかしている。バンドのライブも始まった。

この「中登美団地夏祭り」、毎年恒例の催しだと思ったら、じつは昨年復活したのだという。復活の立役者は、団地に住む中登美団地アンバサダーの加来(かく)慎太郎さん・真紀さん兄妹だ。

それまで自治会主催で開かれてきた夏祭りが、メンバーの高齢化などの理由で中止になったのは3年前。高校卒業まで約7年間この団地に住んでいた加来さん兄妹は、「来年も祭りは行わない」と聞き、それなら自分たちでやってみようかと軽い気持ちで考えた。

「僕たちが住んでいた頃の団地は、子どもが多くてにぎやかで、夏祭りもそれは楽しみでした。祭りの日は、好きな子に会えると胸がキュンとなった思い出もあります」と慎太郎さん。

「昔は自分たちが祭りを楽しませてもらいました。今、自分が親になり、子どもたちに夏祭りがない寂しさを味わわせてはいけないなと思ったんです」と真紀さんも言う。

ふたりは中登美団地の一角で「アンティーム」というカフェを営んでいる。そこに来るお客さんや仲間たちに「夏祭り、やらない?」と声をかけ、昨年、夏祭り復活に取り組んだ。

「祭りのわずか1カ月半前のスタートだったのですが、みんな“祭り復活”を望んでいたんですね。声をかけると協力者の輪がどんどん広がり、『子どもたちが喜ぶよ。兄ちゃん頑張ってな』と声をかけてくれる人もいました」と慎太郎さんは振り返る。

こうして昨年の夏祭りは、自治会を離れ、加来兄妹と仲間たちが中心になって無事に開催。団地内外から予想を上回る人出があり、「各店が用意した飲食物が、夜の8時にはほぼ完売」になるほどの大盛況。「お祭りに来る人はもちろん、出店者も、設営や運営にかかわる私たちも、みんなが楽しみました」と真紀さんが教えてくれた。

大いににぎわった今年の夏祭り。
景品と交換できる射的やダーツ、輪投げは子どもたちに大人気。
手作りのお店から地元で人気の飲食店までバラエティ豊かな出店があり、祭りの最後には盆踊りも行われた。

団地活性化の旗を振るアンバサダーたち

この夏祭り復活と前後して、URでは昨年、団地活性化に取り組む仲間「中登美アンバサダー」を団地内外から募った。現在メンバーは30~40代を中心に9人。

「アンバサダーの自主性を尊重しながら、URがサポートする体制です。アンバサダーの活動から、新しい人の輪も生まれつつあります」とURの担当・加藤 啓は期待を寄せる。

夫婦でアンバサダーになった森川 孝さん、薫さんはこの団地に住んで4年。活動を通して、「1人暮らしの高齢者が、少しでも外に出てきて、コミュニケーションが取れたらいいな」という思いを抱いている。

アンバサダーたちの活動は、昨年の夏祭りを手始めに、新年のもちつき大会、春のフリーマーケット、そして今夏の祭り開催と続いている。

「私たちは、ここに来たら何かあると皆さんに思ってもらえる『場』を、みんなでつくっているんです。高齢の方も若い人も、ここで出会い、コミュニケーションが広がる場をつくりたい」

ゆるゆると楽しく、ときに真剣に。加来さん兄妹を中心に、中登美団地の新しい輪は確実に広がっている。

夏祭り会場に集まった中登美アンバサダーメンバーとUR担当者。前列右からアンバサダーの加来真紀さん、慎太郎さん、古財侑季さん、URの元担当者・大内将樹。後列右からアンバサダーの森川 孝さん、薫さん、徳永祐巳子さん、URの宮村嘉人、加藤 啓。
兄の慎太郎さんは東京でデザインの仕事、妹の真紀さんは神戸のホテルで飲食の仕事をしていた。現在、2人とも「アンティーム」をベースに、団地で暮らしている。

PICK UP みんなの拠りどころ
カフェと雑貨の店「アンティーム」

真ん丸にごはんを結ぶ「お結び」と、地元の人気店の豆腐、体にやさしいおかずが並ぶ「お結びランチ」は1,230円。

加来兄妹が営む「アンティーム」は、中登美団地の入り口にある。東日本大震災をきっかけに東京からこの団地に戻ってきた慎太郎さん。前後して真紀さんも団地に戻り、2011年9月にこの店を始めた。

「本当にいろんなお客さんが来てくれて」と話す2人。ここに来ると自然とお客さん同士も仲良くなり、いつの間にか団地内外から人が集まり、人の輪が生まれる店になっていた。

そんなお客さんとの出会いから、食の大切さに気付いた真紀さんがつくるのは、真ん丸い形の「お結びランチ」。「たくさんの人の拠りどころになる店に」との思いで、人の縁を結んでいる。

洋服やアクセサリー、陶器などかわいい雑貨が並ぶ店内。
2階はお客さんが主催するイベント会場に。

住所 : 奈良県奈良市中登美ケ丘1-793-17 A17-101
TEL : 0742-41-5541
営業時間 : 10時~18時
休日 : 日曜

【武田 ちよこ=文、菅野 健児=撮影】

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