街に、ルネッサンス UR都市機構

未来を照らす(18)女優 とよた 真帆

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


女優として、また京友禅の絵師やDIY……と多方面で活躍中のとよた真帆さん。
気さくでオープンな人柄もあって、交友関係は多岐にわたります。
「DIY」も「人とのつながり」も、組み合わせによって
どのような反応、変化が起こるのかが楽しみだと語ります。

とよた・まほ
1967年、東京都生まれ。
学習院女子高等科在学中にモデルデビューし、86年にアニエスb.のモデルとしてパリコレクション等に出演。
その後、女優に転向し、ドラマや映画、舞台等に出演。
DIYをはじめ料理や石集めなど多彩な趣味をもち、インテリアや料理関連の著書もある。
2018年秋公開の映画『覚悟はいいかそこの女子。』のほか、Eテレ「趣味どきっ!おとなの歩き旅 秋」、テレビ朝日「相棒season17」などに出演。

母親の影響でDIY好きに

家にいるのが好きで、時間が許せば家で絵を描いたり、お料理やお洗濯、DIYをしたりして過ごしています。自分の好きな空間にいたいという思いが強く、インテリアに関心があるのもそのためです。

DIY歴は10代の頃からで、母の影響が大きいと思います。母は昭和ひと桁生まれで、東京大空襲により焼け出され、まったくものがない生活を経験しています。それだけに、もったいない精神がベースにあって、ひとつのものを大切に使い、リメイクするのがすごく上手なのです。段ボール箱に千代紙を貼ってかわいい小物入れにするような母の様子を幼い頃から見て育ったので、私も家にあるものを工夫して、いろいろなパターンに作り変えて楽しんでいます。

たとえば李朝時代の観音開きの家具をもっていますが、最初はタオル入れにして、次はCDラックに。そして最近は、扉を外して今年家族に迎えた保護犬のケージにしています。私のDIYは、古いもののリメイクが中心。何通りにも変化させて使い続けることに魅力を感じるのです。古くなった洋服のボタンや片方なくしたピアスなども大切にとってあり、先日はためたボタンをアクリル樹脂でかためてテーブルを作りました。

ペンキ塗りも大好きです。母が昔、オランダのアートペイントに凝って、家中の家具を全部花柄に塗り替えたことがあり、私もそれを真似て自分の部屋の家具を塗り替えました。10代の後半でしたが、いま思うと、それがDIYの本格的な入口だったのかもしれません。

モデルをしていた10代の頃からロケであちこちに行く機会があり、国内外の古い町並みやアンティークの美しさに触れた経験が、DIYのアイデアに影響しているかもしれません。ロケの前後にプライベートで宿泊して、近隣の神社仏閣を見てまわることも多いです。私は京友禅の絵師もしていますが、習ったことはないのに着物の絵が自然に描けるのは、京都でよく仏像や襖絵などを見ていたことが生きているのかもと思います。

ブログでDIYの作品を紹介していた縁で、インテリア雑誌の取材や、最近はテレビのお仕事も増えてきました。今年は「JAPAN Handmade of THE YEAR 2018」という賞までいただいて。自分のなかでは何かを作ることが特別なことではないので、ちょっとびっくりしています。

京友禅の技法で描いたガラス皿。
時間があれば手を動かしていたいという真帆さん。
使わなくなったボタンを生かして作ったコーヒーテーブル。

趣味の時間が仕事の大切な息抜きに

22歳のときから女優を続けていますが、改めて、すごく難しいなと思いました。若い頃は経験も知識もないので、あまり考えないで演じられました。でも、経験を積むと同時にいろんな引き出しや技術が増え、また演技が幾通りもあると思えて、悩むようになりました。ドラマ『相棒』(テレビ朝日)の撮影でも、台本に書かれていない部分をどうやって埋めるのかを悩みました。その役を奥行きあるものにするために、演じる人物の苦悩や背景を考えて、見る人に納得していただけるように役を作っていくのが難しくて。

舞台も大好きですが、いざお仕事が決まって台本をもらった瞬間に、すごいプレッシャーを感じるのです。なぜ引き受けたのだろう、またあのつらい日々が始まるって(笑)。台本を全部頭に叩き込んで稽古初日から本番のつもりで取り組みますが、体調もお芝居もコントロールが必要です。

苦しみながらも、演じることはやっぱり楽しい。そのバランスが役者という仕事の醍醐味なのかもしれません。役者の仕事は点数がつくわけではないし、正解がない。それが面白い部分でもあります。いまだに「がむしゃら感」が抜けなくて、毎回オーディションみたいな気持ちですが、その緊張感がなくなったらダメなのかなとも思いますし、私はこれしかできないので、お芝居をしている瞬間の楽しさを糧に演じ続けています。

仕事でプレッシャーが大きい分、DIYなどの趣味は大切な息抜きになっています。台本に集中していると煮詰まってしまうので、帽子のリボンを変えてみようとか、シャツのボタンをつけ変えてみようとか。そうやって気分転換することで、仕事とのバランスがとれているのだと思います。

「DIY」も「人」も醍醐味は“組み合わせ”

友人との時間も大切にしています。小学校時代からの仲間もいれば、美術学校やモデル時代の友人、芸能界や裏方の方、OLからサラリーマンまで、性別も年齢も職業もさまざまな人と仲良くしています。友達が多い理由をときどき聞かれますが、いつも自分の気持ちをオープンにして、壁をつくらないことでしょうか。

そしてパーティーなどでは、私、大忙しです(笑)。この人とこの人がつながったら面白いだろうとか、このふたりは気が合うだろうと思う人同士を紹介して。そうやって人と人をつなげるのが大好きなのです。いま気づきましたが、組み合わせによって起こる化学反応が楽しみなのですね、きっと。人間関係もDIYも、組み合わせ次第で考えてもみなかったような反応が起きるから。

団地で学んだコミュニケーション

ご近所の方とのコミュニケーションも大切にしています。普段からごあいさつしたり、ジャガイモを1箱もらったときなど、小さな袋に入れてご近所におすそ分けすることも。日頃からそうやってきっかけをつくっておくと、困ったときもお互いに声をかけやすいと思いますし、いざというときに助け合えるのではないでしょうか。最近は自然災害が多いですが、備蓄する食品やお水なども、家族の分にプラスして少しおすそ分けできるくらいの量をストックするようにしています。

振り返ってみると、人とのコミュニケーションの原点は、小学生の頃にあるのかもしれません。小さい頃に住んでいた家の前に大きな団地があって、よく遊びに行っていました。私は小学校が違ったのですが、子どもなりに考えて人間関係を勉強して、いろいろなグループの子と仲良くしていました。いろんな世界の方と仲良くするのが好きなのは、大人になったいまでも変わりません。

簡単にできるDIYを提案するとしたら……貼ってはがせる壁紙でしょうか。室内の壁のひとつの面に色無地の壁紙を張るだけでも、印象が変わりますし、気分転換になります。家具を好きな色に塗るのもいいですね。もし私が手がけるとしたら、メンズ向けにロフトのようなコーナーを作ってみたり、ファミリー向けにグリーンを多くしたり、女子っぽくパリジェンヌみたいな部屋にしてみたり、場所や住む方を考えながらアイデアはいろいろ出てきます。機会があったら、ぜひチャレンジしてみたいですね!

【阿部民子=構成、菅野健児=撮影】【衣裳/Coomb】

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