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未来を照らす(16)漫才コンビ サンドウィッチマン

URPRESS 2018 vol.53 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


未来を照らす 16 SpecialInterview Sandwich Man 「シャイだけど懐が深い東北の人たちを僕らはずっと見守っていく」

仙台にある高校の同級生がコンビを組んで生まれたサンドウィッチマンさん。
テレビやラジオで笑いをふりまく一方、東日本大震災に遭遇した者として、また東北出身の芸人として、積極的に東北の支援活動を継続して行っている。
その活動の根底に流れる思いとは? 東北への愛にあふれたインタビューをお届けします。

漫才コンビ サンドウィッチマン

サンドウィッチマン
仙台商業高校ラグビー部時代からの友人である伊達みきおと富澤たけしが、1998年に結成した漫才コンビ。2007年M-1グランプリで優勝し大ブレイク。テレビ、ラジオで活躍する一方、ライブ活動を大事にしており、毎年、全国ツアーを行っている。
2011年3月11日、気仙沼市でテレビ番組の撮影中に被災し避難。翌日、東京に戻るとすぐに支援活動を開始し、16日に「東北魂義援金」を設立。現在も定期的に東北を訪れ、現地との強い絆を深めている。

東北を楽しんでもらう活動を継続

サンドウィッチマンのお二人は、東日本大震災直後から救援や復興活動を続けられていますね。つい先日も東北に行かれたとか?
  • 【富澤たけし】(以下、富澤) 毎年3月にファンの方々と東北バスツアーを行っていて、今年は岩手県の大船渡市に行ってきました。みなさんに東北で楽しんでもらい、いまの東北の様子を知ってもらって、その人がまた友達に話したり、家族を連れてプライベートで行ってもらえたらいいなと思っています。
  • 【伊達みきお】(以下、伊達) みなさん喜んでくださるので、僕らも楽しんでやっていますね。
  • 【富澤】 この間は釜石で来年行われるラグビーワールドカップの会場となる、釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムの建設現場を見てきました。まだ工事中なんでちょっと心配になって、作業してる人に「間に合いますか?」と聞いたら、苦笑いしてました。まぁ、最悪の場合、ボールだけ立てられれば何とかなるかって(笑)。
  • 【伊達】 仙台では、もう10年以上テレビの番組をやっているんで、月に1回は必ず行ってますし、プライベートでも福島に遊びに行ったりしています。
    気仙沼では「磯屋水産」という魚屋さんや、「MAST HANP」というかばん屋さんなど、行きつけの店がいくつもあります。じつはこのかばん屋さん、震災の日の午前中に立ち寄ってた店なんですよ。注文して夕方取りに来ますと言ってたら、震災になって……、3月下旬に見に行くと店は跡形もない。心配していたんですが、お店の人は無事で、いまは店を再開したので、毎年ここでかばんを買うことにしています。そうやってお金を落とすことが、何よりかなと思うんです。

幼い頃に暮らしたコミュニティーが理想

お二人とも宮城県ご出身ですが、小さい頃はどうでしたか?
  • 【伊達】 僕は子どもの頃、仙台の鶴ヶ谷団地や黒松団地に住んでいたこともあります。団地には友達もたくさんいて、よく一緒に遊んでいました。
  • 【富澤】 団地は友達の家が近いのがいいなと思いますね。昔、ピザ屋でアルバイトしてたんで、階段の昇り降りで大変な思いをしましたけど(笑)。
  • 【伊達】 子どもの頃は親父の転勤で、団地も含めて引っ越しが多くて、小学校も3つ変わりました。友達ができたと思うと転校なんで、人見知りをしないようになったり、そういう意味では鍛えられたかなと。いまだにそれぞれの小学校の友達と深いつきあいがありますし、友達が3倍になったのはよかったですね。
  • 【富澤】 僕は子どもの頃は社宅に住んでいたんですが、通りの人と挨拶してましたし、みんな顔見知りで安全でしたね。いまは自分が子どもの頃に育ってきた環境とは違うから、自分の子どもを育てるのにも戸惑いがあります。そういう意味では、団地のように住んでいる人の顔が見えるところは理想ですね。
伊達みきおさん

離れてみて、あらためて東北の良さを実感

富澤たけしさん
いまは東京に移られて、故郷のよさを逆に感じられるのではないですか?
  • 【伊達】 その通りですね。すごく感じます。
  • 【富澤】 震災があったせいで、余計にそう感じますし、東北が好きになりましたね。ふるさとっていいものがいっぱいあるなと思うし。ブログでそういう東北のいいものを知らせて、買ってもらいたい、来てもらいたいという気持ちが震災後、特に強くなりました。
  • 【伊達】 僕ら、たまたま震災の日に気仙沼の海沿いでテレビの撮影をしていたんです。高台にすぐ避難して助かったんですが、あの光景を目の当たりにした人間は、そういないと思うんですよね。しかも地元があんなダメージをくらったわけですから。
    じつは東北出身の芸人はほとんどいないんです。だから被害にあった人たちも僕らのことを応援してくれてたんだろうなと思うと、恩返しじゃないですけど、生き残った人間としてずっとつきあっていこう、できる限りのことをやれたらという気持ちですね。
  • 【富澤】 東北の人はシャイだし、アピールするのが得意じゃなくて、「いいから、いいから」と遠慮しちゃう人が多いんですよ。
  • 【伊達】 すごくつらくても言わないですよね。「私は両親がいなくなったけど、友達は家族全員いなくなったから、あの人の前では泣けない」なんて話をいっぱい聞いて。いやいや、それもつらいなぁと思いながらね。

震災から7年たって思うこと

震災から7年たちましたが、いまの様子をどうご覧になりますか。
  • 【伊達】 復興遅いね、という声を聞くじゃないですか。そう言う人に限って、何も知らないんですよね。僕らが見る限り、いつ行っても朝早くから夜遅くまで、一生懸命作業してる人がいる。土地のかさ上げにしたって、もう一回最初から地面をつくるのがこんなに大変なことなんだって。山を削って、ダンプカーで少しずつ土を運んで、固めて、そこに建物を建てるんですから。あれ見ちゃうと、それは時間かかるだろうなと思いますね。僕は逆に復興は早いと思います。頑張ってますよ。
  • 【富澤】 場所によって復興の進み具合が違うなというのは感じます。でも、津波が来たら、まず逃げる。そのための安全な場所、安全なまちづくりが大事なのかなと思いますね。
  • 【伊達】 気仙沼も住宅がいっぱい建って、鹿折(ししおり)の災害公営住宅も避難しやすいように階段が広かったり、いいものができてるなと思います。URさんもそうですが、新しいまちをつくるにあたって、震災前のまちを知らない人たちが日本中からたくさん来てくれて、いろんな案を出してくれる。僕らもそういう人たちといっぱい話をしましたけれど、住民票を移してまで来てくれる人がたくさんいるのは心強かったですね。まだ県外ナンバーのトラックや車もよく走っていますし、たくさんの方に協力してもらっているんだなと、行くたびに思いますね。
これからの復興に必要なものは何でしょう。
  • 【伊達】 何でしょうね……、生きていくなかで友達は絶対必要ですから、そういう仲間をつくりやすい環境のある住宅が望ましいんじゃないかな。 この間もこんなことを聞きました。気仙沼の魚屋さんで2階をコミュニティー広場として開放している所があるんですが、そこでよく一緒に話をする人が、じつは同じ復興住宅の隣の人だったって。それまですぐ隣の部屋にいるのに、知らなかったそうなんです。だからそうやって集う場があって、友達づくりができるといいですよね。
  • 【富澤】 女川は若い人が中心になって復興が進んでいますが、聞いたらまだ大きなスーパーがないんですね。大船渡もそうで、観光客に向けてはある程度整ったけれど、住んでいる人たちの生活がまだ不便だと。特に年配の人は買い物が大変ですよね。
  • 【伊達】 この地域は漁師町で、職人気質の人も多く、頑固な人たちも多いんですよ(笑)。でも、根はいい人たちで、いちど懐に入ると、ものすごく深くつきあってくれる。だからずっと見放さないでほしいし、僕らもずっと見守っていきたいですね。
東北で頑張っている方々にメッセージがありましたらお願いします。
  • 【伊達】 7年前の3月11日に東日本大震災が起きてから1カ月くらい、日本中が同じ方向を向いていた気がするんですよね。みんなで助け合おう、防災意識を高めようって。いまも日本中でいろんな災害が起きていますが、何かあったら助けにいこうという優しい気持ちの人がすごく増えている気がするし、そうであってほしいなと思います。
    現地で作業している方や住んでいる方は本当に大変でしょうけど、周りにも一生懸命自分の身になって頑張ってくれている人がいる。そういう人たちに頼れるときは頼って、頑張ってほしいなと思います。
  • 【富澤】 頑張んなきゃいけないというのを背負い過ぎず、休み休み、前を向いてほしいですね。
気仙沼市に救援物資を届ける(2011年4月)。
大船渡市でチャリティライブを開催(2013年)。
「東北魂義援金」設立の記者会見。同義援金にこれまで集まった金額は4億円を超え、被災した各県に届けられている。 写真提供/(株)グレープカンパニー(東北の2点も)

【阿部民子=構成、青木 登=撮影】

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