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未来を照らす(6)子育てとヴァイオリン 高嶋ちさ子さん

URPRESS 2014 vol.43 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


未来を照らす(6)
「子育てヴァイオリン どちらも全力投球で走り続ける」

親しみやすい音楽をたくさんの人に届けたいと、積極的にコンサート活動を展開するヴァイオリニストの高嶋ちさ子さん。
ふたりの男の子の母として、子育てにも全力投球です。
お子さんのシッターさんに70歳を超えたベテラン女性をお願いするなど、幅広い世代のコミュニケーションを大切にしたいと語る高嶋さんに、子育てやお仕事、音楽のお話を伺いました。

ヴァイオリニスト 高島ちさ子さん

たかしま・ちさこ
6歳からヴァイオリンを始め、これまでに徳永二男、江藤俊哉、ショーコ・アキ・アールの各氏に師事。桐朋学園大学を経て、1994年アメリカのイェール大学音楽学部大学院修士課程を修了。同年、マイアミのニュー・ワールド・シンフォニーに入団。
1995年にCDデビュー。
97年より拠点を日本に移し、本格的に音楽活動を始める。
97年に始めた「めざましクラシックス」は、現在まで通算230回を超える人気コンサートに。
ほかにも常にお客さま目線で企画した楽しいコンサートを数多く企画・プロデュースしている。
今年7月にはデビュー20周年を記念したアルバム「Strings on Fire」を発表した。

ふたりの男の子の子育て真っ最中

20th Anniversary 高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト「Brillante」(10/10サントリーホール)。 20th Anniversary 高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト 「Brillante」(10/10サントリーホール)。

小学校3年生と幼稚園の年長、ふたりの男の子の子育て真っ最中です。おもしろいことに、兄弟でも全然性格が違います。長男はおっとりとしていて、パパにそっくり。次男は私に似て負けず嫌いで、何をするのも早い。こんなに両親の性格が一人ずつにはっきり出るとは思いませんでした。

子育てに関して、いちばん大切にしていることは、何事にも全力投球で一生懸命やる子に育てたい、ということですね。

つい先日、長男の運動会があり、徒競走で3位になったんです。私は小さい頃から駆けっこで負けたことがなかったから、悔しくて1週間立ち直れないくらい落ち込みました。夫は、「一生懸命やったんだから、負けてもいいじゃないか」と言うんですけど、私に言わせれば、運動会で一生懸命やるのは当たり前。その日に向かって走り込むなど、準備に全力投球したかが問題なんです。

それで、その日の夜、長男とふたりで食事をしながら「何事も一生懸命やらないから、こういう結果になった。それに対して、あなたはどうするの?」と聞いたんです。そうしたら「秋の駅伝大会に向けて、明日から早起きして走る」と。今も毎日、約束を守って走っています。

夫婦で互いに長男、次男の性格がよくわかるから、長男型の主人からは、「一生懸命生きることや、志や目標を持つことの大切さは、君に逢うまで誰にも教えてもらわなかった。だからこそ、そのことを諦めずに長男に言い続けてほしい」と言われています。来週は次男の運動会。彼は私に似てぶっちぎりで足が早いので(笑)、ちょっと楽しみにしています。

子育てと仕事の両立は考える時間をもたないこと

シャチが大好きな長男のために書き下ろした曲「オーシャン・ブルー」を演奏、「鴨川シーワールド」でシャチと共演。

今は仕事のない日は6時半に起きて、7時に長男を送り出してから、1時間ヴァイオリンの練習。9時に次男を幼稚園に送り届けて、幼稚園の役員活動などをして午後2時にお迎え。その後は、子どもたちの習い事の送迎に買い物、食事の支度や勉強を見たりして、9時に子どもたちの消灯。それから2時間ヴァイオリンの練習をして、1時間だけ好きな映画などをタブレットで見て、午前1時に就寝という生活です。

子育てと仕事を両立するコツですか? 考える時間を持たないことですね。ぼーっとすることもないですし、少しでも空き時間があったら何をするかを常に考えています。

でも、最近は仕事と子育ての切り替えに意外に手こずっています。母からは「子どもには、目をかけるとき、手をかけなければいけないときがある。過保護はいけないけれど、見張ることは大事」と言われてきました。それだけに、どんなに忙しくても、子どもが学校から帰ってきた状態や、持って帰ったものを見たり、日記をチェックするなど必死でやっています。大変ですが、「こうして親も人間として成長していくんだ」と母には言われています。

将来は、人の役に立つ人になってもらうのが希望

私自身の子ども時代はといえば、運動も勉強もできる兄に対して、私は父に似てせっかちでおてんば。母はどう育てていいかわからなくて、八卦見(はっけみ)に何軒行ったかわからないほど苦労したそうです。でも、どの占い師さんからも、「この子は人の言うことは聞かないけれど、どうにでも生きていける」と言われたとか(笑)。

当時は、祖母と母が私の育て方についてよく会議を開いていて、「ちさ子は性格がキツイから、結婚してもすぐ家を出されるだろう。出されてもひとりで生きていけるよう、手に職をつけないといけない」と話していたのをよく覚えています(笑)。

私は運動が飛び抜けてできたこともあって、運動選手になりたかったんですが、当時は運動選手の寿命は20歳くらいまでという風潮だったので、却下。また、昔から口から生まれたような子だったので、祖母は弁護士になれ、とも言っていました。でも、びっくりするくらい勉強ができなかったので諦めて、そのなかでは一番才能がなかったと思われる(笑)、ヴァイオリンの道を選んで今に至っています。

私は6歳からヴァイオリンを習い始めましたが、私の子どもには絶対早くスタートさせたいと思い、ふたりとも幼少期からチェロを習わせました。残念ながら、長男は音楽が好きじゃないことがわかり、4歳で断念。逆に、次男は歌心もあるし、見ている人、聴いている人を引きつける演奏をするんです。母からは、「親バカを通り越して、バカ親」と言われてますけど(笑)。でも、ニンジンをぶら下げないと練習をしないので、一緒に弾いたり、コンサートを開いたり……。CDで親子共演したのも、世の中のみなさんに聞いてください、というより、息子のため、という部分も大きいですね(笑)。

将来は、最低限自立してほしいし、欲をいえば人の役に立つ仕事についてほしい。海の生物、特にシャチが好きな長男は、水族館の館長さんになりたいと言ってたんですが、理科や生物が好きなこともあって、私の洗脳の成果か(笑)、最近は「病気で困っている人のために、薬を作る人になりたい」と言い出しました。次男は、チェロは親の言いなりでやっていると思っているようで、「ケーキ屋さんになって、ママだけタダにしてあげる」(笑)って言っています。

年配者と子どもが支えあうコミュニティーが理想

今年、私は音楽活動20周年を迎えました。今はソロ活動のほか、女性だけのヴァイオリン・アンサンブル「12人のヴァイオリニスト」や、男性とのピアノクインテット「男組」などの活動もしています。

いつも目指しているのは、音楽にあまり詳しくない方にも、「あー、この曲知ってる!」と楽しんでいただけるようなコンサートづくりです。

私が持っているストラディバリウスは1736年製ですが、こうした名器は個人が所有するものではなくて、引き継いでいくもの。それだけに、大切に扱わなくてはいけないし、その音色の美しさを皆さんに知ってもらう責任もあります。そのために、5分以内で終わる曲や、皆さんが知っている曲を選び、「ヴァイオリンってこんなにきれいな音色なのね」と思って帰っていただけるようなコンサートを企画しています。

仕事があるときは、子どもはシッターさんに見ていただいていますが、わが家のシッターさんはおふたりとも70歳を超えています。私自身が祖母から教わることがすごく多かっただけに、子どもが生まれたら絶対おばあちゃん子にしたかったのですが、うちの両親は自分のことに忙しいタイプ。そこで考えたのが、年配のシッターさんにお願いすることでした。

おかげさまで、子どもたちはシッターさんから昔話や戦争の話を聞いたり、反対にパソコンを教えてあげたりと、労る気持ちのある子どもに育っています。私が幼い頃も、朝早く学校に行くときには、近所のおじいちゃんおばあちゃんが声をかけてくださるなど、年配の方による見守りが自然とできていました。今はお元気な高齢者が多いから、そういう方にもっと活躍していただいて、働くママのために団地で元教師の方などにお教室を開いていただいたり、子どもを見ていただいたりと、地域で互いに支え合えるコミュニティーができると理想的ですよね。

今は子育てで手一杯なところもありますが、コンサートをつくるのは大好き。お金のかからない演出をモットーに、「高嶋さんプロデュースのコンサートは楽しいから行こう!」と言っていただけるようなコンサートを、これからもつくって、音楽の魅力を皆さんにお伝えしていきたいと思っています。

New Album

最新アルバム「STRINGS ON FIRE」
最新アルバム「STRINGS ON FIRE」 - 大人気漫画「NARUTO ナルト」の作者岸本斉史氏による描き下ろしスペシャルジャケット

最新アルバム「STRINGS ON FIRE」
大人気漫画「NARUTO ナルト」の作者岸本斉史氏による描き下ろしスペシャルジャケットも。

Concert Information

高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト「Brillante」

2015年12月4日(金) 愛知県芸術劇場コンサートホール(愛知県)
2015年12月6日(日) 札幌コンサートホールKitara大ホール(北海道)
2015年12月16日(水) ひたちなか市文化会館(茨城県)

高嶋ちさ子 ピアノクインテット「Strings on Fire」

2015年11月22日(日) 広島フェニックスホール(広島県)
2015年11月23日(月・祝) ハーモニーホールふくい(福井県)
2015年11月28日(土) たつの市総合文化会館 アクアホール(兵庫県)
2015年11月29日(日) 前橋市民文化会館 大ホール(群馬県)
2015年12月5日(土) 文化パルク城陽(京都府)
2015年12月19日(土) 青梅市民会館(東京都)
2015年12月20日(日) 黒崎ひびしんホール(福岡県)

【阿部民子 = 構成、佐藤慎吾 = 撮影、加藤雄介(ラ・ドンナ)= メイク、小笠原靖子 = スタイリスト】

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