街に、ルネッサンス UR都市機構

復興の「今」を見に来て!第14回Part1

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


復興の「今」を見に来て!第14回Part1 - まちの将来に希望を託して!新門脇地区で竣工式典開催 宮城県石巻市宮城県の和太鼓グループ「鼓風(こふう)」の演奏で幕開けした「石巻市新門脇地区竣工式典」。くすだま割りに合わせて、地元の人たちも風船を飛ばしてお祝いした。

石巻市
まちの将来に希望を託して!
新門脇地区で竣工式典開催

竣工式を終えて握手する亀山 紘市長(左)とURの椿 真吾(右)。

石巻市の南側に位置し、石巻湾に向かって広がる新門脇(かどのわき)地区。日和(ひより)山のふもとに広がるこの一帯は東日本大震災の津波とその後の火災により市内でも特に打撃が大きかったエリアだ。

URでは2012(平成24)年1月に石巻市役所に職員を派遣、翌年には正式に市と協力協定を締結。高盛土道路や避難路、宅地の盛土、復興住宅や公園の建設など、新門脇地区の安全・安心な暮らしの基盤をトータルで整備してきた。

そしてこのたびURが関わった23・7ヘクタールすべての復興市街地整備事業の工事が完了。8月18日に「石巻市新門脇地区竣工式典」が開催された。式典で石巻の亀山 紘市長は、地域の方たちの思いがかたちになったまちの竣工への喜びを語り、日和山からこの地区を眺めるたびに、着実に復興が進む様子を力強く感じていると話した。UR宮城・福島震災復興支援本部長の椿 真吾からは事業経過を説明し、経緯をまとめた事業誌を石巻市とかどのわき町内会に贈呈。市と町内会からはURに感謝状が贈られた。

侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を重ねながら

式典後、かどのわき中央公園は町内会主催の夏祭りの会場となり、子どもたちによるタイムカプセルの埋蔵や盆踊りなどが行われた。焼きそばやかき氷などもふるまわれ、青空の下に広がるのは、老若男女がなごやかに集う光景。その様子に目をやりながら、「やっとここまでこぎつけました」と表情をやわらげていたのは、かどのわき町内会の本間英一会長だ。

「まだ空き地もありますが、20年、30年後にどんなまちになっているのか楽しみです。URさんのおかげで、この地区は早く工事が進んだのでありがたい」

本間会長のその言葉を感慨深く受け止めていたのは、UR石巻復興支援事務所長の松原弘明だ。新門脇のまちづくりは、地権者から土地を一時お借りして、道路や宅地の一体的な整備を行った上で、それぞれに完成した宅地をお返しするという流れ。その計画、交渉も大変だったが、まちの整備の進め方については協議会で侃々諤々の議論を重ねてきた。

「地域の方からは“とにかく早くまちをつくって安全に住める場所を確保して”と言われました。まちづくりの経験がある我々は、計画がかたまれば、その後はある程度進んでいくことがわかります。けれど今になって思えば、地域の方は計画段階ではどんなまちになるか想像できず、不安だったでしょうね」

と松原は振り返る。理解の差もあって地域の方から時に厳しい言葉をかけられることもあったが、UR職員は被災された一人ひとりの生活再建の要望に可能な限り応えるべく事業を組み立ててきた。また公共スペースについても、公園に地元中学生の意見を取り入れたり、日和山への避難ルートを増やしたり、地域の人たちの要望の実現に尽力してきた。

伝統ある宿場町の基本のつくりを継承しつつ、災害時の安全も踏まえて、広く通りやすい道路や公園を整備した新門脇地区。2棟の復興公営住宅を含め計画戸数は約400戸。
町内会では、子どもも参加できるイベントを増やしている。夏まつりではタイムカプセルを埋蔵。取り出すのは震災から20年後の2031年の予定。
コミュニティーづくりにも力を注いでいる新門脇地区。「高齢者が多いので、毎週の体操教室のほかイベントを頻繁に開催して、地域の人が交流する機会をつくっています。震災後、みんなで助け合うようになって絆が深まりました」と民生委員の遠藤佳子さん。URが整備した復興住宅の集会所は当初小部屋の計画だったが、大勢で使える大部屋に変更してもらえてありがたかったという。
URには市との調整役にもなってもらい助かったと話す、かどのわき町内会の本間英一会長。式典では関係者への感謝と、まちの未来への期待を込めて「この街で」を歌った。

赴任地が第二の故郷

「地域の方や職員さんとも仲良くなって、喜んでもらえて、7年間楽しかったです」と語るURの松原弘明。

地域の方からかけられる言葉が、「早くしてくれ」から「待っています」に変化したのは、工事に着手し、スケジュールどおり進むのが目に見えるようになってから。その後は信頼して任せてくれるようになったという。

「反省点はたくさんありますが、事業当初から最後まで関わることができ、限られた時間のなかでやれることはやったので、達成感はあります」

と清々しい表情で語る松原。竣工式は終えたが、2019年3月まで事務的な手続きなど気の抜けない業務が続く。7年前、関西から東北に赴任したとき、家族が共に仙台に引っ越してくれたことで、復興の仕事に落ちついて専念できたという。当時、小学3年生だった長女は高校1年生になった。

慣れ親しみ、交友関係が深まった石巻は、今や大事な第二の故郷。まちの変遷をこの先も見守り続けていく。

【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】

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