街に、ルネッサンス UR都市機構

URのまちづくり最前線 第9回

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


うめきたプロジェクト大阪市北区
圧倒的な「みどり」で人々をつなぎ「イノベーション」を起こす舞台に

JR大阪駅北側の大規模開発「うめきたプロジェクト」。
URはまちづくりのコーディネーターとして、このプロジェクトに計画段階から参加している。
先行開発区域の「グランフロント大阪」のオープンから5年。
この夏、2期区域の開発事業者が決定し、プロジェクトは新たなステージに突入した。
「グランフロント大阪」側から望む「うめきた」2期区域。左側がJR大阪駅。

「グランフロント大阪ができて大阪駅の北側は大きく変わった」

旧国鉄の梅田貨物駅だった、かつてのこの地を知る人々はそう口を揃える。「うめきた」の愛称でおなじみとなったこの駅前エリアの先行開発区域「グランフロント大阪」は、260を超えるショップをはじめオフィスやホテル、分譲マンションで構成される。2013(平成25)年のオープン以来、関西でも屈指の人気スポットとなり、平日でもいくつもの飲食店に順番待ちの列ができる。

「グランフロント大阪」の特徴は、500メートルに及ぶイチョウ並木やせせらぎの道、複数のガーデンなど豊かな植生が敷地内に配置されていること。加えて、起業支援や企業の育成に力を入れていて、研究機関や企業、クリエーターなどと来館者の交流施設「ナレッジキャピタル」を備え、頻繁にイベントを開催していること。ナレッジキャピタルを通じて事業規模を拡大し、国内外から注目される企業も誕生している。

都心の開発では異例の「みどり」が出会いを生む

期待が高まる残りの2期区域17ヘクタールも、先行開発区域の流れを継承し、さらに発展させる方針で、「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」をまちづくりの目標に掲げている。新産業創出機能を果たすイノベーション支援機関や国際集客・交流の拠点となるコンベンション施設、オフィスやマンションなどもつくられる計画だ。なかでも話題を集めているのが、防災機能を備えた4・5ヘクタールに及ぶ都市公園をはじめ、植栽など「みどり」のスペースが8ヘクタールに及ぶこと。これは甲子園球場2つ分、「グランフロント大阪」の敷地(7ヘクタール)を上回る広さだ。

都心ターミナル立地、商業エリアとしては異例のこの大胆な計画について、大阪市都市計画局企画振興部うめきた整備担当の國下大樹氏は説明する。

「圧倒的なみどりを配置してまちの象徴とし、ふだん出会わない人たちをつなぐ場にしたいという思いがあります。子どもからお年寄りまで世代を超えて集えて、散歩やスポーツ、イベントが楽しめる。企業が試作品をこの地に集まる人たちに使ってもらい、その結果をさらなる開発に活かすような仕組みも検討しています」

憩いの場であるだけでなく、情報の発信や共有、マーケティングの場ともなり、分野を超えたイノベーションを起こす拠点となることを目指しているのだ。

中央の空間が「うめきた」2期区域。その右手奥に見えるのが「グランフロント大阪」。右端は大阪ステーションシティ(JR大阪駅)。
1万人規模のイベントも可能となる、みどりあふれる2期区域の完成イメージ図。
三菱地所を代表とするグループが開発を担当する。

URは細かな配慮から包括コーディネートまで

URは大阪市からの要請を受け、2002年から、うめきたプロジェクトに正式に参加。道路・広場などのインフラ整備や都市公園の整備、民間開発の誘導などを進めている。

前述の國下氏は、多岐にわたるURの仕事に非常に助けられていると語る。 「旧貨物駅の土地をURさんが先行取得し、みどりの管理を含めた条件を指定して開発事業者のコンペを行うという手法をはじめ、行政的な手続きから細かな現場管理、制度づくりまで、URさんなしでは実現しないまちづくり。経験豊かな事業者としての手腕に驚きました」

いったん土地の所有者となって民間企業に譲渡するという方式をとる最大の目的は、個々の乱開発を回避し、統一感をもったまちづくりを実現するため。それが質の高いまちにつながるからだ。

包括的にコーディネートしながら、細かなことまで配慮する。

それはURの身上だが、うめきたのような大規模なプロジェクトで関係機関が多い場合、膨大な打ち合わせや手続きが必要になる。
「皆さんお忙しいなかで、どういう仕組みでどのようにしたら、それぞれが納得したかたちでスムーズに進められるのか、常に模索しています」

と話すURのうめきた担当の林 孝光は、自身の大手町や渋谷の都市再生事業での経験、また虎ノ門などURが手がける他地域のプロジェクト情報を共有し、業務に活かしている。

敷地内には、大阪を南北に結び、関西国際空港に直通の特急が停車する新駅も2023年に開業予定で、利便性がさらに高まる。うめきた2期区域の先行まちびらきは翌24年夏の予定だ。

時代に応じた都市機能を集積しながら、「みどり」と共に成長するまち。人と人をつなぐ「うめきた」は、関西の未来を切り開く拠点としても期待されている。

2期区域完成後、家族で遊びに来るのを楽しみにしていると話す大阪市の國下大樹氏。
うめきたプロジェクトを担当するURの林 孝光。台風時には泊まり込みで現場確認に当たった。

【妹尾 和子=文、青木 登=撮影】

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