街に、ルネッサンス UR都市機構

URのまちづくり最前線 第8回

 URPRESS 2018 vol.54 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

江古田の杜 東京都中野区
多世代が育む“循環型”のまち

地下鉄大江戸線の新江古田駅から徒歩約10分。
国家公務員宿舎の跡地である4.4ヘクタールの緑豊かなエリアに誕生した「江古田の杜(えごたのもり)」。
ここでURは持続可能な多世代交流型のまちづくりに挑戦している。
北側の「江古田の森公園」とつながるように広がる「江古田の杜」(手前中央)。高層階からは新宿の高層ビル群も望める。

エリアマネジメントで持続可能なまちを

見上げれば20メートルを超すユリノキやサクラの大木、足元には多種多様な草花。敷地内にはカブトムシが潜んでいそうな雑木林のような空間もある。池袋や新宿から約5キロという立地ながら、「ここってホントに東京?」と声をあげてしまうような豊かな緑に包まれた心地よい空間。その敷地内に春から入居が始まった分譲マンションのほか、ファミリー向けの賃貸マンションや学生寮、サービス付き高齢者向け住宅などが建設中で、病院まで集まっている。それが江古田の杜だ。環境の良さに加え、ライフステージの変化に合わせて循環型の住み替えを可能とするバリエーション豊かな住宅やサービス、医療機関が揃うとあって、注目を集めるニュースポットでもある。

この地を2008年に取得して以来、再開発にあたり地元中野区と話し合いを重ねてきたUR。十分な避難路や周辺の緑と調和した環境の確保をはじめ、子育て世代を呼び込むファミリー向け住宅の建設、さらには区の北部で不足している小児初期救急診療、病児・病後児保育の施設導入といったかなりハードルが高いものも含め、地域の要望に応えるため尽力し続けてきた。

「その実現のために公募で選ばれたのが総合東京病院さんと積水ハウスさんで、江古田の杜プロジェクトを支える重要なパートナーです」とURの白井 伸は説明する。江古田の杜プロジェクトの特徴であり、URがこだわったのは、エリアマネジメント活動が継続的に行われる体制を整えること。

民間企業に土地を引き渡した後もURが関わり続け、住宅事業を統括する積水ハウス、さらに総合東京病院の三者で「江古田三丁目地区まちづくり協議会」を結成した。このように官民一体となってまちづくりで協働しているのは珍しい。「多世代により育まれる持続可能な地域をつくる」というコンセプトのもと、それぞれ得意分野でノウハウやアイデアを出し合いながら一体感のあるコミュニティーづくりに力を注いでいるのだ。

目指しているのは、学生や若年ファミリー世帯から、サポートが必要になっても安心・快適な暮らしを望む高齢者まで、多様な世代が愛着をもって住み続けられるまち、交流しやすいまちづくり。その実現が地域の価値を持続的に高めることは間違いない。

総戸数531戸の分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」(左)のすぐ横に、総合東京病院の新棟(右)が建つ。賃貸住宅の敷地内には医療従事者用のマンションもあり、災害時にも迅速な対応が可能
手前にリブインラボ、その奥に学生寮や家庭用燃料電池エネファームを設置したサービス付き高齢者住宅を建設中。
右手奥の白い建物が10月から入居開始予定の賃貸マンション。
敷地内のどの木を残すかはもちろん、どの枝を残すかまで事前に協議するほど植生にこだわった。
「小児初期救急診療に対応できる医療機関も入り、地域の方に安心安全なまちを提供できました」と話すURの白井。

子どもから高齢者まで多世代交流でにぎわいを

住宅に先駆けて2017年4月には、小児初期救急等の機能を備えた総合東京病院の新棟がオープン。同院の渡邉貞義院長は、「小児→急性期→回復期→施設介護→在宅介護まで、一貫して対応できる地域の中核的医療機関の役割を果たすことを目指している」と語る。

その心強い言葉と響き合うように、サービス付き高齢者向け住宅や介護付き有料老人ホームの建設が進められ、今後、認可保育所や学童クラブの開所も予定されている。これら住宅や付帯施設の計画から管理運営までを担当している積水ハウスの開発事業部部長 宮島一仁氏は、江古田の杜には同社が長年かけて培ってきたノウハウが凝縮されているという。

「URさんが目指す“多世代交流を目的としたコミュニティーの醸成”に賛同し、我々が都市の再開発で手がけてきた多世代交流型の企画を江古田の杜ではひとつの街区のなかに集中して入れています。周辺地域の方が利用できる施設もあり、交流の機会は多くなるでしょう」

なかでも10月にオープン予定の「リブインラボ」はその象徴。一般の人も利用できるレストランも入るコミュニティー拠点で、子育て支援イベントや世代間交流イベント、健康講座やサークル活動などが行われる交流施設になる。

病院がすぐ近くにある安心感に加え、周辺地域の人も含め多世代が集まることで交流が広がり、子どもの見守りにもなり、にぎわいが生まれるという効果も見込まれる。それによって、住民のまちへの愛着や長く住みたいという気持ちにつながるのが理想だ。その実現が簡単なことではないのは心得つつ、「多世代が共に暮らす循環型のまちづくり」のモデルとなる日を夢見て励む関係者たち。秋以降のまちびらきに向けて住宅や施設が完成間近となるなか、「江古田の杜プロジェクト」の今後の展開に期待が高まる。

「行政と民間の調整や町内会との橋渡しなど、URさんの対応はきめ細かい」と話す渡邉院長。
「世代やライフステージに即した多彩な住宅とサービスを用意しました」と積水ハウスの宮島部長。

【妹尾 和子=文、青木 登=撮影】

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