街に、ルネッサンス UR都市機構

楽しい団地 洋光台団地(横浜市磯子区)

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

洋光台(YOUKOUDAI)団地 横浜市磯子区
まちの交流拠点となる中央広場が完成

8月1日。真夏の日が射し込む洋光台団地では、団地に住む皆さんとともに、中央広場の大規模改修完成を祝う式典が行われていた。

改修された広場は、2層になったデッキでアーケードがつながれ、アーケードをおおう2階の屋根は、山並みのように連なっている。軽やかで開放的な回遊空間は、歩くのが楽しくなりそうだ。広場中央の大階段を上がると、2階デッキから広場を一望することもできる。

また、広場の床の色はやわらかなものに変わり、所々に昔ながらの縁台を思わせる木製の“ダンチファーニチャー”が置かれた。

「地域に開かれ、まわりとつながる広場を目指しました。爽やかな広場になったと思います」と改修を担当した建築家の隈 研吾さんは言う。

中央広場オープニングセレモニーで、テープカットにのぞむ関係者。左から、横浜市技監兼建築局長の坂和伸賢さん、洋光台まちづくり協議会会長の三上勇夫さん、UR理事長の中島正弘、隈研吾さん、佐藤可士和さん。
訪れる人、帰ってくる人をやさしく迎える中央広場。敷地の高低差を生かした2階デッキや、開放的で爽やかな縁側空間が特徴。
広場のあちこちに置かれた木製の縁台“ダンチファーニチャー”では、さっそく親子連れがくつろいでいた。

団地の未来プロジェクトで新しい可能性を探る

横浜市磯子区に1970(昭和45)年に誕生した洋光台団地。JR洋光台駅を中心に、洋光台中央、洋光台北、洋光台西の3団地がつくられ、約1万8000世帯が住む大規模なまちが広がっている。横浜まで電車で約20分と交通の便が良く、今も人気のある団地だが、少子高齢化の波には抗えず、商店街にもかつてのようなにぎわいはなくなってきている。

この洋光台団地の再生と活性化を図ろうと、URは2011年に「ルネッサンスin洋光台」をスタート。隈 研吾さん、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんなど6名の有識者からなる「アドバイザー会議」と、地元関係者や行政との協議の場である「エリア会議」という2つのディスカッションの場を設け、まちの活性化に成果を上げてきた。

さらに15年には、隈さんをディレクターアーキテクト、佐藤さんをプロジェクトディレクターに迎え、「団地の未来プロジェクト」がスタート。各界の方々と意見交換しながら、団地の価値を上げていくためのプロジェクトを進めている。

まず行われたのが住棟の外壁リニューアル。続いて今回の中央広場の改修にとりかかった。

中央広場は洋光台駅から団地に向かうと、最初に通る場所。いわば洋光台団地の顔で、団地に住む人だけでなく、周辺のまちの人々も駅への行き帰りに必ず通る場所だ。

この広場を含めた駅周辺の回遊性を高め、ここを団地だけでなく、周囲に広がるまちの核となる広場にしたい。地元の「洋光台まちづくり協議会」の皆さんの意見も取りいれながら、そのアイデアを隈さんが具体化していったのだ。

新しくできた2階デッキに上がると、それまで住戸だった部分が店舗に改修され、デッキから出入りできるようになっていた。その一角には、それまで1階アーケードにあった「CCラボ」が移転。「CCラボ」は地域のコミュニティー活動スペースで、これまでも高い稼働率を誇り、団地内外から人々が集い、出会う場となっている。

さらに新しく2階デッキには、民間事業者にリーシングを委ねるかたちで「クラフトマルシェ」という工芸作家のショップや工房を誘致。ショップのオープンとあわせて11月24、25日には、中央広場で「洋光台クラフトマルシェ」も開かれる予定だ。

この団地に住み、洋光台まちづくり協議会の会長を務める三上勇夫さんは、「夕方、広場の縁台で家族連れや若い人たちがくつろいでいるのを見て、うれしくなりました。この広場が洋光台の大きな交流拠点になるのでは」と期待を寄せる。URの山下 健も「新しい広場の開放的な雰囲気は、きっと若い人たちの共感を呼ぶと思います。それが、この団地に目を向けるきっかけになればうれしい」と話す。

「団地の未来プロジェクト」は今後も次々と仕掛けを展開予定。16年にアイデアコンペを行った「洋光台北集会所」の改修は、20年に完成予定だ。

「団地には豊かな空間があり、人々が集まって住むことで生まれるパワーがあります。そういった団地のよさを最大化していくことが、団地の未来につながると思っています」

こう話す佐藤さんをはじめプロジェクトにかかわるメンバーには、その未来が見えているのかもしれない。

団地の皆さんなどセレモニーに参加した人たち全員が、団地の未来プロジェクトオリジナルテープでテープカット。
団地マネージャーを務めるURの山下は、「このプロジェクトはこれからさまざまな動きが見えてきます。他の団地の参考になるような成功事例をつくりたい」と話す。
まちづくり協議会の三上会長は、団地在住47年。洋光台連合自治会の会長も兼務し、まちづくり活動に熱心に取り組んでいる。
「団地の未来プロジェクト」のロゴを使った団地のサインツリー

【武田 ちよこ=文、青木 登=撮影】

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