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【団地最前線1】日の里団地(福岡県宗像市)

URPRESS 2020 vol.63 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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住棟活用によるコミュニティー拠点を核とした持続可能なまちづくり

開発から50年の節目を迎える日の里団地で、団地1棟を丸ごと生活利便施設にリノベーションし、団地住民と新住民のコミュニケーション拠点とする再生プロジェクトがスタート。
さっそく新たな再生プロジェクトの現場に向かった。

日の里団地の外観写真

住民が交流する拠点「さとづくり48」としてリノベーションされる48号棟の完成イメージ。

再生地区と地域を結び、誰もが気軽に訪れやすい場所に位置する48号棟。リノベーション前の外観。

50年の歴史を踏まえ次の50年へとつなげる

福岡市と北九州市のほぼ中間に位置し、昭和40年代から団地開発などにより両市のベッドタウンとして発展してきた宗像市。なかでも最大の規模を誇る日の里団地では、これまでもミクストコミュニティの形成を促す「健康寿命サポート住宅」や、「子育てしやすいお部屋」、生活支援アドバイザーの配置、コミュニティー形成に寄与する団地の農場「日の里ファーム」の設置など、さまざまな取り組みが行われてきた。

その日の里団地で、新たにコミュニティー拠点と緑豊かな居住空間を組み合わせたハイブリッド型団地再生である「宗像・日の里モデル」と銘打ったプロジェクトがスタートした。団地再生を図るURと、持続可能なまちづくりを進める宗像市が手を携えて取り組むこのプロジェクトのコンセプトは「サスティナブル・ コミュニティ」。日の里団地の50年に及ぶ歴史を引き継ぎながら、次の50年につなげる事業だ。舞台は、最寄りのJR東郷駅から一番離れた東街区。団地を集約することで生まれた10棟分の敷地だ。

URの小川和朗が、経緯を説明する。
「2018年に地域住民主体のワークショップが開かれました。その場であがった『多世代が集まるような交流拠点になってほしい』、『緑豊かな場所にしてほしい』という多くの人の思いを含んだ条件のもとで10棟のうち4棟を解体撤去し、6棟を残した形で譲受事業者を公募。今年の1月に、住友林業など10社でつくる共同企業体に譲渡先が決定し、3月には宗像市、共同企業体、URで連携協定を締結しました」

プロジェクトに関わるURのメンバー。右から団地マネージャーの小川和朗、スタッフの輿水香里と堀内康博。

団地のなかにブリュワリーも登場

「宗像・日の里モデル」全体の再生イメージ。緑豊かな共通の庭を囲むように64戸の戸建てが点在する「戸建てエリア」と、団地や地域の人も共に集えるコミュニティー拠点「さとづくり48」のある「生活利便施設エリア」で構成される。

戸建てエリアには、子どもがボール投げをしたり、バーベキューもできる共有の庭を造成。子育て世代を呼び込み、住民のコミュニティー形成に役立てる予定(写真はイメージ)。

このプロジェクトでは、敷地を「戸建てエリア」と「生活利便施設エリア」の2つに分けて開発が進められる。「戸建てエリア」では64戸のコミュニティー創発型「サトヤマ」住宅(分譲)を新築する。コンセプトは「里山に暮らす」。緑の木立のなかに、塀や垣根を設けないオープンな住宅が点在する予定。広々とした共有の庭を設け、子どもたちが遊んだり、バーベキューを楽しんだりできるようにする。オープンかつ瀟洒な環境づくりで、コミュニティー形成を図るのがねらいだ。

一方の「生活利便施設エリア」では、6棟のうち1棟(48号棟)を残して丸ごとリノベーション。「さとづくり48」(管理・運営 東邦レオ)と名付けられた棟内の30室には、地域の人が集まれるコミュニティーカフェや大型家具もつくれるDIY工房、保育室のほか、クラフトビールを醸造・販売、飲食もできるブリュワリーなどが入る予定だ。ブリュワリーを発案した東邦レオのディレクター吉田啓助さんに、その意図や目的を聞いた。

「お酒は、コミュニティーづくりの効果的なコンテンツです。なかでもクラフトビールは、フレーバーや味にオリジナリティを出せるので、日の里ならではのものづくりができます。宗像市は大麦の一大生産地でもあるし、イチゴのあまおうをはじめ、イカ、ふぐ、刺身で食べられる穴子といった海産物など、美味しいものの宝庫。地元食材を使ったり、特産物に合うビールをつくったりすることで、地域のアピールにもなると思いました」

「さとづくり48」は、団地の住民と、戸建てに入居する新たな住民、地域の人たちがゆるやかにつながり、多世代交流が促進される核となる。今回のプロジェクトの対象は駅から一番離れたエリアだが、ここが生まれ変わることで、新たな人の動きが生まれ、日の里地区一帯のにぎわいが増すはずだ。

「インターネットの普及だけでなく、直近では新型コロナウイルスの感染拡大など社会環境が変化し、これからの住まいは、生活を楽しむ場へと変わっていくのではないでしょうか。市としては、宗像市に長く住み続けていただくために、URさんはじめ、まちづくりのスペシャリストの皆さんのノウハウをいただきながら、住む人にとって魅力的な持続可能なまちをつくっていきたいと考えています」

と宗像市都市建設部の内田忠治都市再生課長。URの小川も「日の里団地と、同じくURが管理する東郷駅に近い日の里一丁目団地の双方から団地再生に取り組み、地区全体を活性化できたら」と話す。

「さとづくり48」では、既にリノベーション工事がスタート。来春のお花見に合わせたオープンに向けて、ブリュワリーの工事も順調に進んでいる。「戸建てエリア」は、22年4月頃に入居開始の予定。宗像市の、そして全国の団地再生の新たなモデルの誕生が待たれる。

「宗像・日の里モデル」事業で連携する宗像市の内田課長(左)と東邦レオの吉田ディレクター。

最寄り駅はJR東郷駅。駅の近くに高層の日の里一丁目団地(352戸)があり、その東に位置する日の里団地(1257戸)の東街区が今回の団地再生対象地区。西街区には、住民が野菜を育てたり、地域のイベントで直売などをしてコミュニティー形成を図る「日の里ファーム」もある。

1階角部屋に入居するクラフトビールのブリュワリー。醸造・販売だけでなく、その場で出来たてビールを飲める簡単なバースペースも設ける予定。

【阿部民子=文、菅野健児=撮影】

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