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【団地最前線3】花見川団地(千葉県千葉市)

URPRESS 2022 vol.70 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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花見川団地 千葉県千葉市

新プロジェクトがスタート
「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」

新たなプロジェクトが立ち上がった。その名は「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」。
MUJI HOUSEとURがそれぞれのノウハウを生かしながら、団地の室内だけでなく、屋外共用部や地域コミュニティー形成まで対象を拡大したプロジェクトだ。活動がスタートしている花見川団地を訪ねた。

室内の改修だけでなく地域の活性化も

「こわしすぎず、つくりすぎない」をコンセプトに、MUJI HOUSEとURが連携し、歴史ある団地を現代の暮らしに合った新たな賃貸住宅として蘇らせるプロジェクト「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」。こちらは2012(平成24)年のスタート以来人気を博し、全国で展開している。

2021年10月に花見川団地で新たにスタートしたのは、このプロジェクトの協業内容を拡大した「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」 。室内だけでなく広場や商店街などの共用部も含むリノベーションや地域コミュニティー形成を連携して行い、「新しい住まいのかたち」を提案する。ソフト・ハード両面に共同で取り組むことで、団地を拠点とする地域の活性化を目指すという、目的も規模も大きなプロジェクトだ。

第1弾の舞台、花見川団地は開発から50年を経た郊外型の大規模団地だ。千葉市も連携してプロジェクトを進めるにあたり、5月26日に千葉市、良品計画、MUJI HOUSE、URの連携協力による花見川団地を拠点とした地域生活圏の活性化に関する4者協定が締結された。

昨年、人口が転入超過となった千葉市。式典で神谷俊一市長は「コロナ禍でライフスタイルの価値観が変化するなかで、変化を受け入れられる新しい価値を花見川団地で提供し、価値を高めていきたい」と語った。また良品計画およびMUJI HOUSEの堂前宣夫社長は、住戸のリノベーションを続けてきたなかで感じているURの団地の魅力を語り「これから何十年も住める素晴らしい環境をつくり、魅力を広げ、地域の皆さんのお役に立ちたい」と。UR東京東・千葉地域本部長の久保木茂文は、強力なパートナーを得て「花見川団地を拠点とした地域生活圏の活性化」に取り組む決意を表明した。

花見川団地リノベーションイメージ図。商店街はアーケードの幌(ほろ)を取り除き、広い空が見える明るい空間に。広場は芝生を整備。施設棟の外壁修繕も行う。
花見川団地リノベーションイメージ図
左から千葉市の神谷市長、UR東京東・千葉地域本部長の久保木、良品計画およびMUJI HOUSEの堂前社長。

商店街と広場に人が滞留できる場を

花見川団地では2023年の完成を目指して、商店街と広場のリノベーションが進められている。事前にMUJI HOUSEとURでアクティビティー調査を実施。商店街が利用される時間帯や、どの年代の人がどんなふうに動いているのかを調べて計画に反映した。

「人が滞留できる場所が少ないと感じたのでストリートファニチャー(家具)と高木を配置し、木陰で休んだり、食事や仕事、おしゃべりなどができる滞留スペースを増やす計画です」とMUJI HOUSEの法人・UR担当リーダー松本雄作さん。

花見川団地では良品計画がメンバーに加わったことで、買い物支援などソフト面でのサービスも拡充している。定期的な出張販売では、住民の要望をできるだけ品揃えにも反映。今後は地域の人を講師にしたワークショップなども開催予定だ。

「地域の人や昔ながらの行事を尊重しながら、新しいことへのトライ&エラーを繰り返し、地域を盛り上げていきたいですね」と良品計画千葉・会津事業部課長の高橋哲さんは話す。

今回のプロジェクトでは千葉市と連携できていることも活動を広げる上で大きなポイントだと関係者は口を揃える。

花見川団地のプロジェクトメンバー。左から良品計画の高橋さん、MUJI HOUSEの松本さん、千葉市の武井さん、URの舘野。連携する4者の力を集結したリノベーションに期待が寄せられている。
最寄りの京成本線・八千代台駅からバスで約8分。5,742戸、約1万人が暮らす花見川団地の商店街。
スーパーや飲食店、郵便局などが集まっている花見川団地の商店街。

団地の外からも人を呼び込みたい

「今住んでおられる方を尊重しながら、新しいものをつくろうとする皆さんの姿勢が印象的です。MUJI×URのリノベーション住戸は若い世代にも好まれると思いますし、市では結婚新生活支援事業を行っていますので、花見川団地への入居も期待しています」と話すのは、千葉市都市局建築部住宅政策課の武井あずささん。団地だけでなく、近くの花島公園や花見川一帯を含めた地域の活性化を目指す今回の取り組み。リノベーション中の商店街も「道の駅のような商店街」として、レジャーで花島公園を訪れる人や花見川沿いのサイクリングコースの利用者にも立ち寄ってもらう仕掛けを考えている。5月下旬〜6月上旬には団地内の将来の移動支援の検討のため自動運転バスの実証実験も実施。団地付近を巡回運行するバスに住民にも体験乗車してもらった。4者が連携すると情報発信力が拡大し、ターゲットも広くなる。

「これまでURの団地を知らなかった若い人たちにも興味をもってもらえるような、昔住んでいた方や今住んでいる方たちに誇りをもってもらえるようなリノベーションを目指しています」とURの舘野智紀。団地のよさを生かしながら価値を磨く、新たな活動が着実に進んでいる。

実証実験で団地付近を巡回した自動運転バス「GACHA(ガチャ)」。
車両はフィンランドの企業が開発し、良品計画がデザインした。体験乗車した人からは「安全運転で快適。速度は思っていたより早かった」という声も。
実証実験で走行中の自動運転バス「GACHA」。

【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】

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