【団地最前線8】団地商店街に地域活動拠点をオープン 霧が丘グリーンタウン(神奈川県横浜市)

団地商店街に地域活動拠点をオープン
団地の一角のカフェが、地域活動の拠点として多世代多文化交流の中心になっている。そんな活動の様子を伺いに、霧が丘グリーンタウンを訪れた。
団地商店街に活動拠点をオープン

「始まりは保育園のママ友たちの助け合いなんですよ」
霧が丘グリーンタウン商店街に今年1月にオープンしたコミュニティカフェ「ぷらっとkiricafe」(以下、キリカフェ)で、ここを運営するNPO法人霧が丘ぷらっとほーむの代表理事、根岸あすみさんはこう話す。
「ママ友同士で子どもを預かる小さな助け合いをする仲間が生まれ、その仲間を増やしたいと活動を始めました。やがてシニアのグループや、インドの人たちとの多文化交流を進める人など、この地域で活動するいくつものグループと知り合いになりました。そのグループが月に一度集まって、情報交換する会を開くようになり、『みんなが集まれる活動拠点がほしいね』という話になったんです」
URウェルフェア推進課の向野(こうの)亜希子が言葉をつなぐ。
「日々の業務の中で高齢者や子育て世帯、外国の方などがその地域に長く住み続けるためには、人と人とのつながりが大事であると感じていました。また、地域のコミュニティ拠点が多くの方々の交流を生み、地域の力でいきいきとしたまちが創られていく姿を見てきました。以前から霧が丘での活動は、URの思いと親和性があると感じていましたが、根岸さんからの相談をきっかけに、私たちも活動を応援することにしました」
根岸さんたちの活動団体は昨年4月、NPO法人霧が丘ぷらっとほーむを立ち上げ、ヨコハマ市民まち普請事業コンテスト※を満点で通過。活動資金を得て、地域活動の拠点となるキリカフェをオープンさせた。
※ヨコハマ市民まち普請事業 地域の課題解決や魅力向上のための施設整備に対して支援・助成を行う横浜市の事業。






多世代向けのプログラムを展開

キリカフェの壁は、地元小学生たちが授業の一環で塗ったもの。店内にある子ども向けの木製の遊具は、DIYの得意な高齢者の手作りだ。ここで行う活動は、通常のカフェ業務以外に大きく4つある。まず高齢者向けには、介護予防のためのプログラムを行う「ぷらっとroom」。子どもたちには、放課後に学習支援を行う「ぷらっとSTUDY」があり、「語学教室」には、インド人向けの日本語教室と、日本の子ども向けにインド人が教える英語教室がある。大人たちに人気があるのは、月に一度カフェに集まり、地域で活躍する人からお話を聞いて懇談する「車座トーク」だ。
これらの活動には団地内外のさまざまな人が関わっており、カフェのキッチンメンバーだけで二十数名、フロアスタッフには80代の方やインドの方もいる。
困っている人を助け支え合う社会に

キリカフェがある霧が丘グリーンタウンは、1981(昭和56)年に管理が始まった大型団地。数年前、近隣にインド系インターナショナルスクールが開校してから、子どもを持つインド人家族が多く住むようになった。だが、生活習慣の違いに戸惑うこともあるという。
NPOの事務局長でKIC国際交流部門の野場孝司さんは、団地に住むインドの方たち向けにゴミの出し方や日本語講座を開くなどの活動を通して、インド人をはじめとする外国の人たちと日本人が共生できる社会を目指している。
「キリカフェでは採れたて野菜の販売もしているのですが、パクチーなどインド料理に使う野菜も揃っているので、フラッとインドの女性が来ることがあるんです。あるときそんな女性の一人から、日本の小学校に子どもを入れたいが、どうすればいいのかわからない、という相談を受け、みんなで書類の書き方から教えてあげたことがありました。このカフェがあることで、確実に交流が生まれています」
根岸さんはカフェというフラッグを立てることが大切だったという。
「根底にあるのは、困っている人を助けたいという思いです。ママ友の中の小さな世界から、地域で助け合う仕組みに広がり、気づいたら素晴らしい人たちがたくさん集まっていました。ここには昭和の日本にあった助け合いや、ご近所付き合いのような関係が生まれています。誰かが旗を立てれば、そこを目指して人は集まるんですね」
今後は子どもをはじめ地域の人たちが集まって一緒にごはんを食べる会や、お父さんの子育て参画をもっと進める活動もやってみたいと目を輝かせる根岸さん。霧が丘グリーンタウンに、気持ちのいい風が吹き始めている。
ぷらっとkiricafe
TEL:045-489-9405(NPO法人霧が丘ぷらっとほーむ)
営業時間:月、火、木、金曜9時30分~16時、土曜7~9時
【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】
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