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【団地最前線13】人と人とをゆるやかにつなぐ コミュニティ拠点「Hintmation」が誕生(東京都北区)

URPRESS 2024 vol.78 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


【団地最前線13】ヌーヴェル赤羽台 人と人とをゆるやかにつなぐ コミュニティ拠点「Hintmation」が誕生(東京都北区市)

人と人とをゆるやかにつなぐコミュニティ拠点「Hintmation」が誕生

気軽に仲間作りや楽しいイベントの相談をしたり、友人とフラッと立ち寄ってコーヒーやランチを楽しめる場所。
団地の暮らしを思い思いに楽しむための新しいコミュニティ拠点のオープンを祝うイベントは、多くの人でにぎわった。

餅つき大会で拠点をお披露目

心地よい晴天に恵まれた5月18日。JR赤羽駅から徒歩約8分の「ヌーヴェル赤羽台」では、朝10時半から子ども連れの長い行列ができていた。先頭にはかわいらしい石臼が設置され、子どもたちが小さな杵で一心に餅をついている。

「楽しかった!」と笑顔で話す5歳の女の子のお母さんは「こういうイベントがあると家族で楽しめていいですね」と話す。ついた餅は、イチゴやあんなどで自由にアレンジでき、子どもから大人まで大喜びだ。

椅子に座って餅を食べていた89歳と88歳の仲よしシニアは、建て替え前の赤羽台団地入居開始時から住んでいるとか。

「この団地は緑が多くて、二人でよく散歩しているからすごく健康です。こういうイベントがあると、お子さんにもいいわね。学校も幼稚園も近いし、保育園もあって、子育てにも最高じゃないかしら」

5月18日のオープニングイベントでは、10時半の開始時間前から長い行列ができた。
つきたての餅は、イチゴやカラフルなあんなどのトッピングで自由にアレンジできるとあって、大人から子どもまで大喜び。
小さな子どもでも安心な、コンパクトな臼と杵でペッタンペッタン餅つき。

気軽に立ち寄ってヒントをもらう

イベントが行われていたのは、ヌーヴェル赤羽台15号棟の1階にある「Hintmation」(ヒントメーション)だ。ここは4月26日にオープンした多機能型コミュニティ拠点。団地を管理するURは、2022(令和4)年からグループ会社であるURコミュニティ、日本総合住生活と、ヌーヴェル赤羽台の建て替えで生まれた土地に移転してきた東洋大学福祉社会デザイン学部と協定を締結。“ゆるやかに人と人がつながる暮らし”を目指し、持続可能なコミュニティ形成とその拠点づくりの共同研究を進めてきた。「Hintmation」はその研究の一環で、コミュニティ形成に必要な場として開設。赤羽台での暮らしを楽しむヒントをもらったり、あげたり、一緒に考える場所にと、ヒントとインフォメーションをかけて命名された。

「この団地は建て替え前から居住されている方や新たな入居者に加え、敷地内の保育園や介護施設、隣接する小学校や大学など多様な方々が行き交います。そんな環境のなかでちょっと挨拶したり、顔見知りになることで、何かのときに助け合える、ゆるやかなコミュニティづくりのベースになればと開設しました。今日のイベントは、どんな場所かを知っていただくお披露目の意味を込めて行いました」と話すのは、URの石垣曜子だ。

拠点内には、コーヒースタンドとシェアスペースがあり、クラフトビールやコーヒー、ランチなどを提供。サービス内容を検討する日本総合住生活の大淵 賢は「さまざまな団地でブルワリーやシェアラウンジなどを手がけ、居住者や地域の輪をつくってきました。そのノウハウを生かし、団地の活性化を追求していきたい」と話す。

拠点内では、埼玉の新鮮野菜の店頭販売も。無農薬、無化学肥料で育てられた旬の野菜は、人気も上々。
カラフルなフラワーショップは、茅ヶ崎市からの出店。プラカップに花を入れて、肩から提げたり、コーヒーのように持ち歩いたりできるアイデアが楽しい。
「Hintmation」前の通路は、車も通らず広々。屋外グッズもあり、子どもたちが自由に遊んでいた。グッズ類は、今後も日常的に使える予定。(左)「リサイクルコンポストと菜園プロジェクト」では、厨房で出た生ゴミをリサイクルコンポストで堆肥化。敷地内にある菜園で利用し、将来的には栽培した野菜をコーヒースタンドで提供する予定。(右)

ここを拠点に地域に開かれた団地に

URの石垣が「最強メンバー」と称する「Hintmation」スタッフたち。前列左から、URコミュニティ山田、URの石垣、日本総合住生活の大淵、後列左から、URコミュニティ平出、Yuinchu小野代表。

この拠点の大きな特徴が、「ヒントさん」の存在だ。URコミュニティの山田智之が、その意義を説明する。

「ここにいらした方と直に触れあって、グループづくりやイベント開催のほか、日常的な活動の相談を受けたり、申し込みの窓口となるのがヒントさんです。誰もがフラッと立ち寄れる、居心地いい場所になるお手伝いをしたいですね」

興味深いのは、東洋大学の参画だ。学生たちはこれまでも地域のお祭りなどに積極的に参加。今後もデザインワークショップなどを開催して地域を盛り上げていく予定だという。福祉社会デザイン学部教授の水村容子学部長に話を聞いた。

「団地内にはいろいろな学びの材料があり、学生たちは地域活動のお手伝いなどを通して課題を探求し、自分たちの専門性を高めていくことができます。URさんにはこうした場を提供していただき、感謝しています」

共同研究パートナーとして拠点内でコーヒースタンドとシェアスペースを運営するYuinchu代表の小野正視さんは「お仕事している方からママ友グループまで、多様な方にご利用いただいています。コミュニティ拠点のコーヒースタンドという特殊性を意識しながら、にぎわいも演出していきたい」と語る。

「先日は北区の社協の方が、サークルの情報を持ってきてくださいました。そういう方々とも連携しながら、日々何かしら面白いことをやっている場所にしていければ」と、URコミュニティの平出雅美。新たな拠点は、団地だけでなく地域のコミュニティづくりにも、貴重なヒントをもたらしてくれることだろう。

【阿部民子=文、菅野健児=撮影】

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