【楽しい団地】平城第2団地 奈良県奈良市
「つながるマルシェ」で、団地からまちへ魅力広がる
よく晴れた5月の日曜日。奈良県にある平城(へいじょう)第2団地の広場で「つながるマルシェ」が開催され、たくさんの人々が集まった。このマルシェ、いったい何がつながるのか?

バラエティーに富んだ出店が魅力
10時のオープン前からたくさんの人が並び、期待の高さがうかがえた「つながるマルシェ」。コロナ禍でイベント開催がむずかしい時期が続いたこともあり、久しぶりの催しに、平城第2団地にお住まいの人だけでなく、近くの団地や近隣の沿線からも親子連れやカップルなど、たくさんの人がやってきた。
この日、団地の広場に出店したブースはさまざま。パンやコーヒー、雑貨といったお店をはじめ、採れたて野菜の販売コーナーもある。その中にはURの都市再生事業でかかわりのある岡山県津山市と高知県黒潮町のブースもあり、地元の加工品などの特産品が人気を呼んでいた。
この日のもうひとつの目玉は、URと包括連携協定を結んでいる近畿日本鉄道のブース。近鉄グッズを販売する店には鉄道ファンが集まった。グループ会社の近鉄リテーリングは豚まんやクラフトビールの店を出し、近鉄沿線の観光地・三重県鳥羽市は特産の干物などを試食販売。行列ができる店もあり、お客さんを呼び込む元気な声が、広場いっぱいにあふれていた。
訪れた人たちからは「いろんな地域の店があって楽しい」「子どもも喜んでいます」「2回目の開催を待ってます」などの声が聞かれ、大好評だった。


地域の魅力を掘り起こし発信する
このマルシェの仕掛人の一人、URの佐藤信二は、開催の目的をこう話す。
「今日のイベントは、UR西日本支社が進めている『つなぐ・つながるプロジェクト』のひとつです。URではさまざまな業務を通して、地方公共団体とのつながりが生まれていますが、その連携にURの資産を合わせることで、何かできるのではないかと考えました。
例えばURには団地という資産があり、この団地には今日の広場のような豊かな空間があります。そこを利用して地方公共団体などと一緒に何かできないか。そこから地域の活性化や地方の応援、エリアの価値向上などにつながらないかと考えています」
そこに今回は、URと包括連携協定を結んでいる近鉄も参加した。
「この団地は私ども近鉄の高の原駅から徒歩10分ほどの場所にあります。イベントに来られた方々が、このエリアに興味を持ち、ここに住みたい、ここで働きたいと思ってもらえれば、それが移住・定住促進になります。目指す方向が一緒のURさんとは、2021年2月に包括連携協定を結んでさまざまなことに取り組んでおり、今日の催しもその一つです」
近畿日本鉄道企画推進部の柳原正夫さんはこう話す。
今後、人口が減少していくなか、地方のまちが元気であり続けるにはどうしたらよいか。そのための一つの取り組みとして、地方のまちや団地の魅力を掘り起こし、さまざまな機会を通してたくさんの人にアピールする。それが移住・定住の促進につながり、まちの活性化につながるという、両者の思いは重なっている。





つながる力が団地やまちを元気に
平城第2団地があるのは、URが開発し50年の歴史を歩んできた平城・相楽(そうらく)ニュータウン。ここは学研都市として開発されたまちで、高の原駅を囲むように10のUR賃貸住宅が点在している。
平城第2団地内は、車道と歩道が完全に分離され、訪れた5月は成長した木々の新緑がまぶしく輝いていた。豊かな緑の中に団地の建物が点在して、その環境のよさは折り紙付き。
ここは長年住み続ける人も多く、コロナ前までは近隣からもたくさんの人を集めて夏祭りを開催していたという。
今回のつながるマルシェには、もちろん団地自治会も参加。自治会の皆さんにとっても、期待以上のイベントになったようだ。
団地と企業、日本各地をつなぐこうした地道な取り組みが、これからの地方活性化への一歩になると確信した。


【武田ちよこ=文、青木 登=撮影】
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