UR都市機構

楽しい団地 花見川団地(千葉市花見川区)

URPRESS 2019 vol.56 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


花見川団地 千葉市花見川区
団地に生まれた「LDK」が、内外から人を呼ぶ

日本各地で進む少子高齢化。約7500世帯、1万2000人が暮らす花見川団地も、誕生から50年を経た現在、高齢化とともにひとり暮らしの世帯が多世代にわたって増えている。

URが地域医療福祉拠点化に取り組んでいる同団地は、多様な世代の方々に末永く住んでもらうことを目指しているが、そのためにも団地を活性化し、団地の価値を向上させたい。そんな時、URと千葉市が団地に住む65歳以上の方々に行ったアンケート調査などで、2つのキーワードが浮かび上がる。それが「食」と「つなぐ」だ。URの宇う内ない大樹が説明する。

「誰かと食事をする機会が多い人、友達と会う頻度が高い人ほど、幸福度が高いという相関関係がわかりました。また、お一人で食事をする孤食の増加も見えてきました。一方で、共働きによる子どもの孤食や、若者世代が地域とのつながりを持たなくなってきていることも課題です。それらを解消するために、誰もが必要とする『食』と『つなぐ』をテーマにした拠点整備を進め、多世代交流を図ろうと考えたのです」

さっそく商店街振興組合、団地自治会などと連携しながら、商店街の空き店舗に、キッチン付きのレンタル・コミュニティースペースをつくることにした。企画したのは、宇内をはじめとする当時URの千葉エリアを担当していた7人の若手職員たち。打ち合わせを重ね、コンセプトから内装などの細かな仕様までアイデアを出し合った。

「はなみがわLDK+」の前に集合した、左から、LDK+の管理運営を担う㈱フォーシーカンパニーの大津真人さん、中屋フルーツの大澤幸治さん、「くまで舎」の清水由香さんと母の由美子さん、URの宇内。
UR千葉エリアの担当で、LDK+を企画した若手メンバー。左から峯友由季、苫米地貴廣、瀬下純平、赤堀圭佑、宇内大樹。ほか福田盛樹、北村沙織らが、内装からPRイベントまで企画実施した。
車が通らず、安心して買い物ができる団地商店街。LDK+から発展して新たな店が生まれる可能性は高い。

「今日は何の店かな」と団地の人々が楽しみに

18年2月、商店街の中ほどに「はなみがわLDK+プラス」がオープンした。「LDK」という名前には、「みんなのリビングダイニング空間でありたい」という思いを込めた。

スケルトン状態の1階店舗にキッチンを整備し、正面の壁面は黒板塗料で仕上げ、子育てママにも優しい畳敷きの小上がりもつくった。住居だった2階は床をフローリングに変え、さまざまな用途に使えるスペースに。1・2階あわせて約100㎡。ここを1時間500円(水道光熱費込)の利用料で貸し出し、毎日さまざまな出店者に活用してもらう。子ども食堂のような非営利の団地貢献活動は利用料を無料とし、持続的な活動になるよう支援している。

「いきなり店を開くのはちょっと、という方が、トライアル出店できる場所も目指しています。ここでまず店のファンをつくり、やがて商店街に店を構えてもらうのが理想です」と宇内。

始めてみると、スペースの使われ方はさまざま。昨年12月のスケジュールを見ると、1日はクリスマスマーケット、2日は「花の子食堂」(子ども食堂+学習支援活動)、5日は団地に住む女性が店主の女性限定のリンパエステ、18~22日はカフェと古道具の「くまで舎」が営業という具合で、子どもの誕生日会といった個人利用もできる。これらの予約の受付など管理運営は、㈱フォーシーカンパニーの大津真人さんが担当する。

利用者数は増加し、10月には400人近くに。これはレジを通した人数なので、実際にはもっと多くの方が足を運んでいる。年代も30~40代を中心に高齢者までと幅広く、団地の外から訪れる方もいた。

カフェ巡りのお客さんが団地外からもやってくるという「くまで舎」の清水由香さん。母のつくるドライフラワーを千葉県内の手作りマーケットに出店していたが、知り合いのUR職員からここを紹介され、すぐに申し込んだという。

「いつか団地でお店を始めてみたいと思っていたので、願ってもないチャンスでした。今は月のうち10日ほどここに出店して、どういうお客さんが来てくれるのかを見ています」と話す。

このくまで舎で出される人気スイーツには、隣の「中屋フルーツ」の果物が使われている。「中屋フルーツ」のご主人、3代目になる大澤幸治さんは、団地商店街振興組合の副理事長を務め、LDK+の日々の運営管理にも協力している。

「LDK+にはいろんな出店があるので、今日はどんな店かなと皆さん楽しみにしています。それが商店街に足を運ぶきっかけにもなっている。『くまで舎』のお客さんがうちの店にも寄ってくれるなど、LDK+ができてから、商店街の回遊性が高まったように思います」と、この取り組みを評価する。

LDK+の担当者である宇内は、団地の人々のコミュニティーづくりをもっと進めたいと考えている。そのひとつとして、昨年LDK+で開いたのが、「ふるさとでつながろう会」。同郷の知り合いをつくり、孤立を防ぐのが目的だ。

花見川団地に生まれた小さなLDKが、人々に新たな刺激を与えはじめた。

今日はカフェと古道具の「くまで舎」が出店。店主の清水由香さんは、月の半分は派遣社員として企業に勤めているそうだ。店内ではお正月飾りをつくるワークショップが開かれていた。
メニューや催しをわかりやすくお知らせできるように、壁面を黒板塗料で仕上げた店内。
「くまで舎」人気のスイーツには、お隣の「中屋フルーツ」の上質な果物がふんだんに使われている。牛乳や卵を同じ商店街のスーパーで調達することもある。
質のよい果物と野菜を扱う「中屋フルーツ」。商店街では自転車送迎サービスや御用聞きサービスなど、団地に住む高齢者の買い物支援に乗り出している。
民生委員でもあり、団地商店街で定食屋を営む女性が仲間と始めた「花の子食堂」。「はなみがわLDK+」で月1回開かれ、毎回たくさんの親子連れや子どもたち、高齢者でにぎわっている。
「花の子食堂」の日は、2階で大学生が宿題などの勉強を見てくれる。こちらだけの利用も可能。

【武田 ちよこ=文、菅野 健児=撮影】

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