UR都市機構

【URのまちづくり最前線】URのまちづくり最前線 第10回

URPRESS 2019 vol.56 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


さっぽろ創世スクエア 札幌市中央区
ここからさらに広がりを!札幌のまちのにぎわい拠点誕生

東西南北に直線道路がクロスする札幌の中心市街地。その基点である大通公園と創成川が交差する「創世1.1.1区」と呼ばれるエリアが生まれ変わり始めている。文化芸術の発信、交流の拠点「さっぽろ創世スクエア」が誕生し、人が集まり始めた。
最新鋭の環境性能・防災性能を備えたハイスペックビルとしても注目されるさっぽろ創世スクエア。

「創世1.1.1区」と書いて、「そうせいさんく」と読む。大通東1丁目、大通西1丁目、北1条西1丁目という3つの1丁目が集まる、札幌中心市街地の基点であるエリアの名称だ。そしてここが札幌中心市街地のまちづくりの舞台である。

2018(平成30)年10月に北1条西1丁目街区に大規模複合施設「さっぽろ創世スクエア」がグランドオープンし、風景が激変した。地上27階、地下4階。低層棟には札幌文化芸術劇場や札幌市図書・情報館といった公共施設や店舗などが入り、高層棟には放送局やオフィスが入居している。外光の入る開放感あふれる建物で、公共施設エリアの随所に椅子やベンチが置かれていて、読書やおしゃべりを楽しむ人たちの姿が見える。平日の夜も仕事帰りの人々でにぎわっている。

「市民から『以前はこのあたりはわざわざ来る場所ではなかったけれど、さっぽろ創世スクエアができて、来たい場所になった』と言われたときは、うれしかったです」

と話すのは、札幌市まちづくり政策局の担当係長・松本智史さん。もともとこのエリアは、札幌市時計台やさっぽろテレビ塔、また地下鉄3線が乗り入れる大通駅にも近い好立地。にもかかわらず駐車場と古いビルがあるのみで、人が訪れる場所ではなかったという。そのため札幌市が中心となり、中心地のにぎわいづくり、魅力向上へ向けて20年以上前から新たなまちづくりを進めてきた。中心地のにぎわいを、創成川の東側にも広げたいとの思いもあった。

業態の異なる地権者の要望を調整して

さっぽろ創世スクエアのプロジェクトには、個人の地権者がいない。札幌市、明治安田生命保険相互会社、パーク二四㈱、北海道テレビ放送㈱、㈱札幌振興公社、㈱朝日新聞社、㈱北海道熱供給公社の7組の権利者の集まりである市街地再開発組合が施行者であり、札幌市も組合員だ。

URは札幌市からコーディネート要請を受け、2005年度からプロジェクトの事務局という重要な業務を担当。勉強会のサポートをはじめ、その後の事業段階に応じてさまざまな手続き、工事発注、契約業務などを行ってきた。

UR札幌都市再生事務所長の金井潤一は「組合員それぞれの要望を踏まえながら全体をまとめるのは大変ですが、うまく調整できたとき、期待に添えたときはホッとし、やりがいを感じます」と話す。

複雑な構造の劇場部分を含む大規模工事に加え、寒冷地特有の厳しい工事環境。東京に本社がある法人組合員も多いなか、URの担当者たちは意見調整や円滑に工事を進めるための調整に尽力してきた。

「複雑な共用部分の構成となったため、その持ち分や管理区分の調整も多岐にわたりました」とURの事業調整課長の大谷 聡は振り返る。

「小さなことでも全員合意で進めてきましたので、調整役のURさんは大変だったと思います。中立的な立場で、法人さんと行政の間をうまくとりもっていただきました。皆さんのおかげでいいものができてよかったです」と札幌市の松本係長は微笑む。

中央のさっぽろ創世スクエアをはさんで、左手(西側)に札幌市時計台などがある。右手の創成川公園の先(東側)にもにぎわいが広がりつつある。
札幌市の職員として、熱い思いをもって、このプロジェクトに6年ほどかかわってきた松本智史さん。

地震のときは地域の防災拠点に

さっぽろ創世スクエアの周囲には歩道状空地や、3つの辻広場を設けている。さらに隣接街区からも通り抜けられる通路を建物内につくったり、図書・情報館や店舗を1、2階に配置して、外からも中の人の様子が壁面のガラス越しに感じられるようにしたのは、ここを拠点に周囲へにぎわいを広げたいという思いの表れだ。

地下には駐車場や駐輪場があり、札幌の人々の重要な交通路である地下歩道へも館内からアクセスできるようになっている。

また地域冷暖房プラントを整備し、コージェネレーションシステムの導入により停電時も電力供給が可能な体制を整えた。昨年9月の北海道胆振東部地震で周囲が停電した際も、このビルは電力の供給が継続できたため、外国人観光客向けの臨時避難所を設置するなど、地域の防災拠点としての役目も果たした。

「創世1.1.1区」のまちづくりのリーディング・プロジェクトとして進められてきた「さっぽろ創世スクエア」。文化芸術の発信地、人々の活動・交流の場が誕生したことで、今後の札幌都心におけるまちづくりへの地元の人たちの期待も大いに高まっている。

道内初の多面舞台、三層バルコニー付き観客席をもつ札幌文化芸術劇場。「文化芸術を発信する新しいホールをつくりたい」という市の思いが実現した。
幅広い年代に利用されている札幌市図書・情報館。実用書中心の充実したラインナップ。市の運営による、貸出はしない課題解決型図書館だ。平日は21時まで開館。
事務局として調整に尽力してきたUR札幌都市再生事務所長の金井潤一(左)と、課長の大谷 聡(右)。さっぽろ創世スクエアは寒冷地仕様で、敷地内も歩道もロードヒーティング設備を整えた。

【妹尾 和子=文、青木 登=撮影】

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