【復興地探訪 第15回】新潟県糸魚川市

大火から復興した日本海沿いのまちへ
新潟県の最西端に位置し、南は長野県、西は富山県と接する糸魚川市。フォッサマグナの断層があり、日本列島の東西の境界であるこのまちは、日本随一のヒスイの産地でもある。3000メートル級の北アルプスの山々からの雪どけ水が日本海の深部に流れ込む地形で、好漁場に恵まれ、なかでも能生漁港は、県内屈指の漁獲量を誇る。 中心市街地の約4ヘクタールが焼失した糸魚川駅北大火から約8年、復興するまちを訪ねた。
通称ヒスイ海岸。海の透明度の高さも魅力の糸魚川海岸。
(C)(一社)糸魚川市観光協会
糸魚川駅までは、北陸新幹線で東京から約2時間。
夕日をイメージした造りの日本海展望台。糸魚川駅から徒歩5分ほど。URの糸魚川市支援
糸魚川駅北大火が起きたのは、2016(平成28)年12月22日。強い南風による飛び火で、被害は4ヘクタールに及んだ。URは糸魚川市に職員を派遣し、復興まちづくりをサポート。被災エリアでは道路が拡幅され、糸魚川らしいまちなみの再生と、災害に強い安全・安心なまちづくりが行われてきた。
大火の後もこの地に残りたい人の意向をもとに建てられた集合住宅。
雪国の伝統である、歩行者を雪や雨から守る雁木(がんぎ)を再生したまちなみ。
道路が拡張され、防災機能が高まった糸魚川駅北側のまち。
1.人々がつながり、伝える場
駅北広場キターレ
大火後の敷地再編事業で市が取得した土地に2020年にオープンした「駅北広場キターレ」は、「つくる・つながる・はぐくむ」をコンセプトとした施設。3つのエリアに分かれていて、イベント会場にもなるホールは、ふだんはフリースペースとして、勉強や待ち合わせなどに利用する人が集う。その奥には、大火の記憶を伝承する展示スペース、シェアキッチンが整備され、コンセプトどおり、にぎわい創出と交流の場になっている。地下には200トンの防火水槽が設置されている。
TEL:025-556-8200
(左上)マルシェなどイベントの会場にもなるキターレの屋外広場。(左下・右)訪れた日はシェアキッチンで「絲と糸」が営業していた。プリンアフォガード650円とカフェラテ600円。
2.こだわりのそばとつゆを堪能
そば処 泉家
大火後、いち早く再開した地元の人気そば店。大火前とほぼ同じ雰囲気に再建された店内で、こだわりの国産最上級石臼挽きそば粉を用いたそばが食べられる。手打ちそばは数に限りがあるので、予約がおすすめだ。
TEL:025-552-0238
人気のせいろのほか、天ざるや鴨せいろなどもある。
大工仕事の粋を感じる
造りのそば屋。3.糸魚川を代表する料亭
鶴来家(つるぎや)
創業200年を越える老舗日本料理店。大火で全焼したが再建された。日本海を臨む落ち着いた部屋で、ゆったりと地元の山海の恵み中心の手の込んだ料理が堪能できる。初夏まで、標高の高い山々で育つ山菜を味わえるのもうれしい。
TEL:025-552-2233
ランチの「季節のミニ懐石」6,600円(サービス料込み)。季節の五種盛りからデザートまで、職人技が光る品々が提供される。4.1650年創業の老舗蔵元
加賀の井酒造
江戸時代、加賀藩の参勤交代の宿場町であった糸魚川。その折に本陣が敷かれた、歴史ある酒蔵。軟水で造られることの多い新潟県では稀な、自社の中硬水の井戸水で造る酒は、芯の通った力強い味。
TEL:025-552-0047
酒米は新潟県の五百万石が中心。商品は店頭で購入可能。予約すれば試飲もできる。5.B級グルメ「ブラック焼きそば」
月徳飯店
地元の山海の幸を使用したメニューが豊富な中華料理店。地元産のイカスミをからめた中華麺をベースに、市内の各店がオリジナルの具材や味付けで提供する「糸魚川ブラック焼きそば」の考案店でもある。
TEL:025-552-0496
「糸魚川ブラック焼きそば」はスープとおつまみ豆板醤付きで950円。6.卵が主役の洋菓子店
フェルエッグ
自家養鶏場の新鮮な卵を使ったお菓子が人気の洋菓子店。驚くのはそのバリエーションの豊かさで、クッキーやシフォンケーキ、カステラからプリンやロールケーキまで、フレーバーの異なるものが並び、選ぶのに迷う!
TEL:025-550-6680
新鮮で良質な卵を使った洋菓子が揃う。最寄駅は「えちご押上ひすい海岸」。7.漁師直営店が集結!
道の駅マリンドリーム能生
能生漁港の近くにある、日本海の新鮮な海の幸が集まる「道の駅」。鮮魚センター、かにや横丁、飲食店いずれも漁師直営店で、新鮮かつ豊富な品揃えが魅力だ。夏場限定の岩ガキ目当てに訪れる人も多い。イベント情報はHPで確認を!
TEL:025-566-3456
食事処「海鮮丼・定食 凪」の本日の海鮮丼。塩辛と漬物、味噌汁が付いて2,300円。石探しと食べ歩きを楽しんで
糸魚川は海も山も近くにあり、夏は海水浴、冬はスキーが楽しめます。日本海に面した海岸は「じゃり浜」と呼ばれる石が多い海岸。全国から大勢の人がヒスイを探しに訪れますが、ヒスイ以外にも稀少な石があり、海岸にある石の種類は日本一とも言われています。
また、日本海でとれる新鮮な海産物も魅力で、なかでも紅ズワイガニは、他の地域と違って3月に漁が解禁となり、12月まで味わえます。
最近は、防災関係の視察に訪れる方も増えています。時間がのんびり流れる復興したまちで、石探しや食べ歩きを楽しんでいただきたいですね。観光協会では石探しのツアーや定期観光バスツアーを開催しています。詳細はHPでご確認ください。
(一社)糸魚川市観光協会
TEL:025-555-7344
(一社)糸魚川市観光協会
縄井美里さん
石探しツアーで訪れることの多い親不知(おやしらず)海岸。
(C)(一社)糸魚川市観光協会【妹尾和子=文、青木 登=撮影】
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