街に、ルネッサンス UR都市機構

【復興地探訪 第10回】岩手県陸前高田市

URPRESS 2024 vol.76 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

 SDGsアイコン画像

復興地探訪 生まれ変わった「まち」へ行ってみよう! その10 陸前高田市 岩手県 自然、暮らし、歴史を知る観光拠点が続々オープン

自然、暮らし、歴史を知る観光拠点が続々オープン

岩手県の南東部に位置する陸前高田市は、大規模な復興事業が終わり、2019年に「高田松原津波復興祈念公園」が整備され、「東日本大震災津波伝承館」や「道の駅高田松原」がオープン。新たにかさ上げされた場所には「陸前高田発酵パークCAMOCY」や「陸前高田市立博物館」も開館して、まちなかに賑わいが戻ってきた。

JR東日本の大船渡線BRT(バス高速輸送システム)の陸前高田駅。震災前は大船渡線の鉄道の駅だった。青木 登=撮影
「高田松原津波復興祈念公園」内には、5つの震災遺構がある。写真は、奇跡の一本松と陸前高田ユースホステル。
高田松原津波復興祈念公園内には、「東日本大震災津波伝承館」と「道の駅高田松原」がある。
観光案内所と「はぴなろカフェ」が入る交流施設「まちの縁側」。

URの陸前高田市支援

2014年に完成した4棟120戸の下和野団地。コミュニティーがつくりやすいように、住棟をつなぐ回廊を2階に設け、屋内外に設置したミニコモンスペースは、居住者の交流の場になっている。

URは陸前高田市と2012年3月に「東日本大震災に係る陸前高田市復興事業の推進に関する協力協定」を締結した。高田・今泉地区で高台や中心市街地の整備を実施。市が進める高台移転、かさ上げによるコンパクトな市街地づくり、避難路の整備、防災啓発など、多重防御による減災まちづくりを推進した。災害公営住宅整備事業は2016年度に完了し、市内6カ所269戸の災害公営住宅の引き渡しを終えた。

1.明治38年創業のぶどう農園

神田葡萄園

ジュースやワインを製造する、100年以上の歴史をもつ葡萄園。震災で大きな被害を受けたが、中断していたワイン造りを2015年からスタートさせた。

TEL:0192-55-2222

リアスワイン「ルージュ」。エレガントな果実味が楽しめる。

2.まちの名物になった担々麺

中華食堂熊谷

1947年創業の中華料理屋さん。震災1年後に仮設店舗で営業を始め、地元の人やボランティアの人たちの食事処として愛されてきた。スープにこだわった白と黒のごまベース2種の担々麺は、まちの名物だ。

TEL:0192-55-2813

担々麺は、白はこってり、黒は香ばしくてあっさり味だ(白、黒各800円)。「中華麺」や「マーボー飯」などもおいしい。

3.地元三陸産の旬の魚介類を堪能

旬味旬彩 鮨まつ田

2020年に陸前高田出身の店主が地元に戻り開業した鮨屋。マグロや穴子、かき、イシカゲ貝、アワビなど三陸海岸で獲れる魚介類はどれも新鮮。一品料理もおすすめ。

TEL:0192-22-7839

(上)旬の地物の海産物をネタにした握りは絶品だ。ランチの握りは1,680円~(写真は「牡丹」3,680円)。
(下)希少な食材、岩姫サーモンとヤマメの「黄金イクラ」を丼にした「岩姫ゴールド」(2,980円)は、1日限定10食。

4.うまみが詰まったかき

かき小屋 広田湾

広田湾で育ったかきを食べるなら「かき小屋 広田湾」で。かき漁師が営む店なので、鮮度は抜群。蒸しがきは、身はプリプリで、磯の香りとうまみがぎゅっと詰まっている。

TEL:090-8784-2114

かきづくしの「かき満喫御膳」(上/1,452円)。蒸しがきとかきご飯、かき汁などが付いている。「かきグラタン」(右下/726円)は女性に人気だ。

5.復興と地方再生プロジェクト

サロンドロワイヤル タカタ本店

「ピーカンナッツで産業を興したい」という思いから、2年前にオープンした高級チョコレート店。東京大学と陸前高田市との産学官連携でプロジェクトを推進する。ピーカンナッツも試験栽培中。

TEL:0192-22-9191

お土産に人気の限定パッケージ。地元出身の画家・田﨑飛鳥さんの絵が使用されている。

6.お土産にうまい地酒を

器・和雑貨・地酒 いわ井

江戸時代から続く老舗「いわ井」。飾り職人の店から造り酒屋になり、現在は地酒をはじめ、和雑貨などのお土産品を販売する。まちの情報を積極的に発信している。

TEL:0192-55-2912

陸前高田産の米と伏流水で仕込んだ酔仙酒造の「多賀多」はお土産におすすめ。

7.発酵調味料で食材をおいしく

発酵食堂やぎさわ

2020年に誕生した「陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー)」内には6つの店舗が並ぶ。八木澤商店が営む「発酵食堂やぎさわ」では、地元の魚や肉と自社の味噌やしょうゆ、麹を使った滋味深い定食が味わえる。

TEL:080-2345-5162

おすすめは「塩麹シャケのはらこ飯」(上/1,860円)や「豚ロースのもろみ焼きご飯」(右下/1,300円)。おひつご飯、汁物、お茶漬け用の出汁などが付いている。
陸前高田市の簡易マップ

海をテーマにした博物館が11年の歳月を経て開館しました!

全国の博物館や専門機関、市民の皆さまの支援を受け、「陸前高田市立博物館」は2023年11月に開館しました。東日本大震災で被災した「旧市立博物館」と「海と貝のミュージアム」を統合し、陸前高田の自然・歴史・文化を震災の記憶とともに未来へ伝える博物館になっています。被災した資料は約56万点、そのうち46万点をレスキューし、33万点を再生しました。現在7,300点が展示されていますが、そのうち9割が震災前から展示されていた貴重な資料です。今後は陸前高田の魅力を伝える企画展も予定しています。ぜひ、お立ち寄りください。

陸前高田市立博物館館長 松坂泰盛さん

陸前高田市立博物館
TEL:0192-54-4224
営業時間:9~17時(最終入館/16時30分)
料金:無料

博物館の見どころを説明をしてくれた松坂館長。「貝たちの部屋」にて。
博物館の屋上にある展望デッキからは、陸前高田のまちや広田湾を一望できる。
国の重要有形民俗文化財に指定された陸前高田の漁撈用具の展示。
陸前高田市立博物館の「奇跡の海 三陸」コーナー。魚の王国と呼ばれる三陸の海で確認された、約500種類の魚たちがイラストで展示されている。

【石井克美=文、菅野健児=撮影】

  • LINEで送る(別ウィンドウで開きます)

復興地探訪 バックナンバー

UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。

CONTENTS

メニューを閉じる

メニューを閉じる

ページの先頭へ