社会課題を、超えていく。 UR都市機構

【URのまちづくり最前線 第34回】大阪城東部地区のまちづくり(大阪市城東区)

  • URPRESS 2026 vol.86 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

人々の挑戦を応援する「ほとりで」は大阪城東部のまちづくりの拠点

昨秋、大阪・森ノ宮駅近くにオープンした地域の交流拠点「ほとりで」。
早くも登録者数が1500人を超えているというこの施設、どのように利用されているのだろうか。

団地のある森之宮で進むまちづくり

「ほとりで」の入口は2カ所。通りに面した入口のガラスにはイベントスケジュールが書かれている。

JR大阪環状線・OsakaMetro森ノ宮駅から徒歩5分のまちなかに、2025(令和7)年10月、大阪公立大学とURが連携して運営する施設「ほとりで」がオープンした。地域資源の再発見やまちづくりのための暮らしと学びの実験フィールドで、このまちに関わる人々の「やってみたい」という想いを受け入れ、サポートする場である。

ほとりで開設の経緯についてURの柏井一成は、この地域の説明からスタート。

「大阪城に近く、URの森之宮団地・森之宮第2団地、森之宮病院などが集まるこの大阪城東部地区は、都市再生緊急整備地域に指定されていて、大阪府・大阪市がまちづくりを進めるエリアです。その一環で昨年9月に大阪公立大学の森之宮キャンパスがオープンしました」

キタの梅田と、ミナミの難波の南北軸を中心に商業が発展してきた大阪。ニシの夢洲(ゆめしま)では大阪・関西万博が開かれ、IR構想が進む。一方、ヒガシの中心がこの大阪城東部地区。そこで、UR西日本支社のオフィス移転に伴って空いたUR森之宮ビルの1階に、まちづくりの拠点「ほとりで」が誕生したのだという。大阪城東部のまちづくりの拠点という重要な役目を担う「ほとりで」には、会議・セミナー・ワークショップ・作業などのためのフォーカスゾーン、交流・情報発信・チャレンジショップ・飲食等のためのアクティブゾーンなどが用意されている。

6月14日には、「昭和レトロキッチン」などの展示、1960年に制作された映画「団地への招待」の上映、「レトロは懐古か?」をテーマにしたトークなどを行う団地イベントが開催された。

この日、「集合住宅キッチンの挑戦」と題して、基調講演をした志岐祐一さんは、長年集合住宅の調査・保存の仕事に携わり、東京赤羽台の「URまちとくらしのミュージアム」にも関わっている方。「ほとりで」の感想を次のように語った。

「まず大阪城のそばに、これだけのスペースがあり、誰でも入りやすいところが魅力的だと思う。来た人が自由にいられて、かつ他の人と適度な距離感が保たれる余白があって、安心して過ごせる。一方で、いろいろなサービスがあり、目が届くような造りにもなっていて、団地にも通じるアドバンテージだと思います」

待ち合わせや休憩に使えるスペースには、利用者による小商いの物販コーナーや、子育て中のママたちが作った、乳幼児が寝転んだり、ハイハイして遊べるスペースもある。
左からURの柏井、日東設計事務所・埼玉大学非常勤講師の志岐さん、大阪公立大学の武田さん。
森ノ宮駅からアクセス便利な場所にある「ほとりで」。入口は2か所ある。
施設内に設置されたカレンダーにはさまざまな予定が書き込まれている。

出会いが自然に生まれ何かを始めたくなる場所

オープンから1年を待たずに「ほとりで」の登録者数は1500人を超え、団地内外の住民や、学生、このエリアで働いている人、通りすがりの人まで幅広く、さまざまな年代の人に利用されている。

学生のサークル活動を含め、同時多発的にいろいろな人に利用されていて、団地外の人が団地のイベントに参加したり、大学以外の人が大学のイベントに参加することも少なくない。

「それを許してくれる、むちゃくちゃな施設なんですよ。相談にのってくれる人はいるけれど、統治する人はいないし、かたいレギュレーションもない」と笑うのは、この日のトークイベントでモデレーターを務めた大阪公立大学大学院農学研究科教授の武田重昭さんだ。

「そこにいる人が醸し出すものが、その場の雰囲気になると思いますが、『計画できないことが生まれる土壌を計画する』という、柏井さんをはじめここにいる人たちの手綱の握り方がとても上手。ここには思いがけない出会いが自然に起こる余白があり、そこで何かが生まれる。学生を含め、来た人が『自分も何かできるかもしれない』と感じている気がします」

それが「ほとりで」が他のリビングラボと異なる点だと武田教授はいう。

実際、親御さんたちが、子どもを見守りながらの飲み会を企画したり、以前からやってみたかったという女性がモーニングサービスを始めたり。仕事を辞めて新たに何か始めたい人が相談に来たりしている。

また、今年8月に「ほとりで」にオープンする「空間美術館—大阪—」の展示作品を、アーティストの千田泰広さんとともに、呼びかけに応じた20〜70代までの10名ほどが制作。このメンバーがアルバイトスタッフとして、今後は美術館の運営にも携わる予定だ。「これをきっかけにアートが身近になったり、隣に住んでいる人が急にアーティストになるって、いいですよね」とURの柏井。

大阪城東部のまちづくりの拠点という重要な役目を担いつつ、ゆるやかに人がつながる「ほとりで」。ここに来れば、何かできるかも、何かが変わるかも、と思える豊かな土壌が育ちつつある。

6月14日のイベント。講演会やセミナーが行えるスペースを活用した映画上映、基調講演やトークイベント、交流会と盛りだくさんの内容だった。
大阪公立大学大学院生活科学研究科の小池志保子教授は、研究対象である長屋についてトークイベントで紹介。
団地愛好家の吉永健一さん(左)と、けんちんさんは、長年の経験をもとに、トークイベントで団地の魅力と可能性について熱く語った。
13のパターンで糸を編んで構成する
団地の「昭和レトロキッチン」展示コーナー。
「URまちづくりヒストリー」も展示されている。

【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】

  • LINEで送る(別ウィンドウで開きます)

URのまちづくり最前線 バックナンバー

UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。

CONTENTS

メニューを閉じる

メニューを閉じる

ページの先頭へ