【復興地探訪 第20回】岩手県宮古市田老地区

幾度もの津波被害を乗り越えた「防災のまち」
大平洋にそびえ立つ奇岩「三王岩(さんのういわ)」や、名産「真崎わかめ」など、三陸の豊かな自然に恵まれた宮古市田老(たろう)地区。
一方で、ここは幾度もの津波被害を乗り越えてきた歴史を持つ「防災のまち」でもある。かつて「万里の長城」と呼ばれた防潮堤は東日本大震災で被害を受けたが、現在は震災遺構などを通して教訓を発信し続けている。津波の記憶を語り継ぎ、海の恵みとともに未来へ歩む、あたたかく活気に満ちたまちだ。
東日本大震災の大津波にさらされた今も、堂々とそびえ立つ「三王岩」。
震災後、田老地区には海抜14.7mの新しい防潮堤が建設された。URの田老地区復興支援
URは2012年に宮古市と協力協定を締結。田老地区内の区画整理事業では旧市街地をかさ上げして新しい宅地を整備し、防災集団移転事業では、高台を切り開いて住宅団地・三王団地を造成した。現在は新しい住宅街が広がっている。
乙部地区の山を切り開いて、海抜40~60mに住宅団地・三王団地を整備した。右手には市営住宅、左手には戸建て住宅が立ち並ぶ。駐在所・消防施設や診療所などもここに移転した。眺望公園から撮影。
旧市街地では2mのかさ上げが行われ、宅地が整備された。「道の駅たろう」には、田老地区の名産品が並ぶ産直「とれたろう」や「善助屋食堂」、観光案内所「たろう潮里ステーション」などの施設が集まっている。
市場の後ろに巨大な防潮堤がそびえる現在の田老漁港。
津波に耐えた三王岩の歩道脇にそびえる「不屈の三王松」。津波と向き合ってきたまちだから学ぶことがあります
この場所にはかつて商店街が広がり、巨大な防潮堤や避難道も整備されていました。しかし、東日本大震災では津波が高さ10メートルの防潮堤を超え、まちを飲み込みました。油断や過信があったのかもしれません。悲劇を繰り返さず、「命を守る避難意識を一緒に学ぼう」と震災翌年から始めた「学ぶ防災」ガイドに、約25万人が参加してくださいました。
もっと多くの皆さんに足を運んでいただき、笑顔で出会える場所にしたい。そんな思いから、年に数回、サッパと呼ぶ小型漁船を売り場にして、地元の新鮮な海産物やグルメが並ぶ「サッパ市」も開催しています。たくさんの学びと海の恵みがある田老へ、ぜひ遊びに来てください!
たろう潮里ステーション
(学ぶ防災ガイド受付)
岩手県宮古市田老2-5-1(道の駅たろう内)
TEL:0193-77-3305
宮古観光文化交流協会 学ぶ防災ガイド 元田久美子さん
津波遺構「たろう観光ホテル」。東日本大震災の津波により6階建ての建物の4階まで浸水し、1・2階は完全に破壊された。津波の破壊力を間近に感じる。
昨年開館した「宮古市災害資料伝承館」。災害の資料や記録の収集と展示を行い、その教訓や記憶を次世代に伝える。
宿泊施設「グリーンピア三陸みやこ」の敷地には、多目的アリーナやテニスコート、流水プールなどのスポーツ施設が充実。震災直後は、この地に仮設住宅や仮設商店街「たろちゃんハウス」が整備されていた。
グリーンピア三陸みやこ
TEL:0193-87-5111
1.田老名物、どんこ唐揚げ丼
善助屋食堂
地元の人たちから長年愛されている食堂。震災後は、テント営業、仮設店舗を経て2016年に「道の駅たろう」の敷地に店舗をオープンした。「どんこ唐揚げ丼」をはじめ、「わかめラーメン」や「温玉めかぶそば」など、“田老愛”たっぷりの海の恵みを味わいたい。
TEL:0193-87-2054
上/わかめを練りこんだ「わかめ麺のつけ麺」(960円)。たれは醤油、味噌、塩味から選べる。下/田老名物「どんこ(エゾイソアイナメ)唐揚げ丼」(1,080円)。身はふっくらで、甘辛のたれが食欲をそそる。
2.復興農地で田老産の蕎麦づくり
はなや蕎麦たろう
震災後、復興農地で大切に育てられている田老産そばを味わえる蕎麦処。1日数量限定で提供される十割蕎麦は、喉ごしのよさが自慢だ。遠方から訪れるファンも多い。かき揚げやちくわ天、揚げ茄子、いなりなど、サイドメニューも充実している。
TEL:0193-87-3750
田老産のそばが食べられる、人気の「そばたろうセット」(1,500円)は、そばいなりやそばだんご、えび天、かき揚げなどが付いた豪華版。3.海の幸が自慢のイタリアン
和La伊
漁師のオーナーシェフが営むアットホームなイタリアン。一推しは、蟹のうまみがソースに溶け込み、トマトの酸味とクリームが調和した「渡り蟹のトマトクリームパスタ」。夏には、新鮮な海の恵みを生かした「イカスミパスタ」もおすすめだ。
TEL:0193-87-5810
人気ナンバーワンの「渡り蟹のトマトクリームパスタ」(1,650円)。この味を求めて、県外からやってくるお客さんも多い。4.誰もがリラックスできる場所
カフェすいか
マグカップやプレート、小物など、すいか雑貨に囲まれた温もりあふれるカフェ。オリジナルのすいかドリンクをはじめ、ホットサンドやガレットなどのランチが楽しめる。誰もがわが家のようにリラックスできる空間になっている。
TEL:080-2820-8811
上/すいかフロート(400円)など、すいかメニューも多数。下/2代目オーナー、オランダ出身のパウルさん。震災復興のボランティアにも参加した。
5.焼き立てのパンを届ける
mocomonA(モコモナ)
三王団地の住宅街にオープンして3年。田老出身の店主が心を込めて焼き上げるパンは、定番の食パンから、地元のお客さんの好みに寄り添った惣菜パンや菓子パンなどバラエティー豊かだ。ほっとするおいしさで、今では町の人気店になっている。
TEL:080-2834-2302
店頭には20種類ほどのパンが並ぶ。湯種製法の食パンは、もちもち食感。6.大正12年創業の老舗
田中菓子舗
百余年の歴史を誇る老舗菓子店。昭和、平成と二度の大津波に遭っても伝統の技と味を守り続ける。うずまき模様の「田老かりんとう」は看板商品。パリパリでやさしい黒糖の甘さが特徴だ。地元の人たちの大切なおやつとして、愛され続けている。
TEL:0193-65-8707
左/黒糖味以外にも、塩こしょう味などバリエーションがある。右/昨年秋に発売された「かりんとうアイス」(1個360円)。かりんとう付き。
1.田老地区の特産品が揃う
道の駅たろう たろう産直組合「とれたろう」
TEL:0193-87-3988
ウニとアワビとクロコンブの炊き込みご飯の素(1,860円)。田老産高級食材と特産品を使った炊き込みご飯の素。
真崎焼き(400円)。たこ焼きのたこの代わりに、田老産「真崎わかめ」のクキが入ったもの。食感がいい。
塩うにおにぎり(290円)。濃厚な味わいの田老産の塩うにのおにぎり。産直「とれたろう」の人気商品。
田老産わかめ(290円)。復興の象徴ともいえる、田老地区の沖合で育つわかめ。肉厚で緑が濃い。
【石井克美=文、菅野健児=撮影】
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