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【団地最前線18】新入社員研修とコラボ、「ささえあい」を広げていく 花畑団地(東京都足立区)

  • URPRESS 2026 vol.86 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

【団地最前線18】新入社員研修とコラボ、「ささえあい」を広げていく 花畑団地(東京都足立区)

新入社員研修とコラボ、「ささえあい」を広げていく

日頃から、団地内外と顔の見える関係づくりを進めている花畑団地。
この取り組みと企業の新入社員研修がコラボして、にぎやかに団地カフェがオープンした。

団地集会所が笑顔あふれるカフェに

4月の金曜の昼下がり。花畑団地の東集会所が、おしゃべりの花が咲くにぎやかなカフェに変身した。この一日限りの「花畑ささえあいカフェ」で接客をしているのは、朝日新聞社に今春入社した社員たち。これは同社の新入社員研修を兼ねたイベントだ。テーブル上を飾りつけ、飲み物やスイーツを用意。外のテラスには足湯コーナーを設け、団地の皆さんに取材してつくる「花畑新聞」を準備する人たちもいる。

カフェのお客さんは花畑団地に住む人たちで、高齢の方が多い。彼らがテーブルに着くや、すぐに新入社員が隣に座って声をかける。団地の皆さんは、孫のような年代の彼らとのおしゃべりに目を細め、あちこちで笑い声も上がっていた。

朝日新聞社の新入社員研修の受け入れは、昨年に続いて2回目だ。新聞社から足立区のボランティアセンターに相談があり、この団地で進められている「花畑ささえあいプロジェクト」が先進的な取り組みであると注目され、研修受け入れに至ったと聞く。

「花畑ささえあいプロジェクトを、メディアに勤める人に知ってもらうこと。そして、多くの人とつながりをつくってもらうことが目的です」とURでこの事業を担当する宮﨑 遼が説明する。

左から、花畑ささえあいプロジェクトを担当するURの宮﨑、朝日新聞社の研修に参加した白石さんと酒井さん、URの望月。白石さんは経理、酒井さんは新聞販売店を管轄する部署に配属される。
23区内とは思えないほど緑が豊かな花畑団地。1964年に入居開始、約1600世帯が暮らす大型団地だ。

防災は、顔の見える関係づくりから

花畑ささえあいプロジェクトは、URといのちとぶんか社が事務局となり、花畑団地自治会や近隣の16事業所が参画して、2022年8月にスタートした。

「この活動の大きな目的のひとつは、災害時に地域の人々が助け合える関係をつくること。そのために日頃からイベントなどを開催して、地域の中に顔の見える関係を増やす活動をしています」とURの望月浩史はいう。

プロジェクトのメンバーは、定期的に集まって防災を学んだり、地区の課題を話し合ったりしながら、イベントを立案。地域食堂や食育教室、コンサートなど、みんなが集まれるコンテンツを花畑団地で展開している。

この日のカフェのお菓子は、メンバーである近隣の生活介護事業所でつくられたもの。同じくメンバーである花はたリハビリテーション病院が健康チェック&体力測定コーナーを設け、足立区社会福祉協議会が防災・減災クイズを実施。花畑を中心に活動するおうち食育協会が、賞味期限の近い食品を安価で販売するブースをつくり、フラダンスやハンドベルのステージは、地域サークルが担当した。

花畑団地自治会も冬のもちつき大会、夏の夕涼み会、安否確認訓練など活動は活発だ。団地周辺の人々も巻き込んで、たくさんの顔見知りをつくり、いざというときに助け合える関係づくりが地道に続けられている。

団地近隣にある花はたリハビリテーション病院からは、理学療法士や作業療法士が参加。血圧や酸素飽和度、筋力のチェックや、立ち座りテストなどを行い、参加者から気になることを聞いてアドバイスしていた。
地区の社協(社会福祉協議会)もささえあいプロジェクトのメンバーだ。今回は足湯の講習と、防災・減災クイズを担当。
団地の皆さんに聞いた話を小さなコラムにまとめてつくる「花畑新聞」。完成したものは、後日冊子にして集会所に置かれる。
被災者の心のケアにも有効な足湯を体験してもらった。もちろん提供するのは、講習を受けた朝日新聞社のメンバー。
フラダンスサークルの舞台もあり、カフェは一気に華やかな雰囲気に。
ハンドベルが軽やかな音色を響かせた。

若い世代に団地の魅力をPR

今回、研修に参加した朝日新聞社の酒井壮大さんと白石 光さんに話を聞いた。2人とも祖母や友人が団地に住んでいるので、なじみがあったが、「ここまでコミュニティ活動が活発なことは知りませんでした」と口をそろえた。

「普段からつながりをつくるために、団地でいろいろな活動をしていることを初めて知り、驚きました」と酒井さん。白石さんは「団地には高齢者をはじめ幅広い世代が住んでおり、まさに多様性の集まり。これから社会で働く我々に、必要な視点をもらいました」と話す。

研修の初日には、花畑ささえあいプロジェクトに参画している近隣の特別養護老人ホームや保育園などの事業所を見学し、団地内の視察も行われた。新入社員からは、「部屋がきれいで驚いた」「緑や花が多くて、住み心地がよさそう」「住んでみたい」など、団地に好意的な感想が多く聞かれたそうだ。

「花畑団地は若い世代の入居者を増やしたいと思っているのですが、彼らの意見を聞き、地域資源が豊かな団地の魅力を、もっと若い世代にPRする必要があると気づかされました」とURの望月は苦笑する。

URの宮﨑は、「昨年、この新入社員研修に参加された方が、その後、ここで行われたささえあい食堂に2回、顔を出してくれました。このようにつながりがさらに広がっていくことを期待しています」と話す。

小さな活動の継続が、もしもの時に大きな力を発揮する。団地はその中心にふさわしい場となるだろう。

カフェのテーブルでは、朝日新聞社の新入社員がカフェのお客さんとおしゃべり。参加者はみな笑顔で、満足した様子だった。

【武田ちよ子=文、菅野健児=撮影】

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