【団地最前線17】楽しい防災イベント 立花一丁目団地(東京都墨田区)、岩倉団地(愛知県岩倉市)
いざという時に役立つことを学び ゆるやかなつながりをつくる
災害が起きた時に、地域の人々がつながり、助け合って命を守れるように、URは日頃から防災活動に力を入れています。
2つの団地で開かれた防災イベントの様子をお伝えします。
「防災×ASOBI FES」
立花一丁目団地 東京都墨田区
今年1月31日、東武亀戸線・東あずま駅近くの立花一丁目団地で、「防災×ASOBI FES」が開かれた。団地中央のオープンスペースには、VR防災体験車をはじめ、防災トイレの使い方を楽しく学べる体験、アルファ米の料理を提供するキッチンカーなど、さまざまなブースが設けられていた。遊びもあれこれ用意されている。
会場には老若男女を問わず大勢の人が集まり、なかでも目立つのが子どもたちの姿だ。遊んでいたり、体験している子のほか、主催者とともに手伝っている子もいる。長蛇の列の先で、豚汁とおにぎりを配っているのも子どもたちだ。
そのことに驚いていると、(一社)SSKの秋山 司さんが「子どもたちと“かまどベンチで豚汁を作ってみよう”という話から始まったイベントなのです」と教えてくれた。墨田区の青少年健全育成事業・ジュニアリーダーのOB・OGで構成されるSSKは、立花児童館、URとともに、この日のイベントの主催者。毎月この団地で移動式遊び場「みちあそび」を展開し、子どもの居場所づくりや、遊びを通しての多世代交流を図っている。
遊び場にあるベンチが災害時にかまどとして利用できると知られていないことを受けて、「せっかくなら防災イベントを開き、そこで豚汁を作ってみよう」と、日頃から地域連携で協働している立花児童館、URをはじめ関係者たちで盛り上がり、初回のイベントが開催されたのが2025年。
「防災は日頃からの課題ですし、外国の方を含め、地域の方とゆるやかなつながりをつくっておきたいという自治会さんはじめ関係者の思いもありました」とURの加藤綾子。立花児童館館長の蔵野知子さんは、「子どもたちは地域で育つので、有事の際に助けてもらったり、逆に高齢者の助けにもなるような関係性ができたらいいなと児童館としては以前から考えていました」と思いを語る。
前回関わった人が新たな人を紹介するかたちでブースが増え、今年はその数14に。豚汁とおにぎりは、小学生が調理・配布を手伝った。この団地で地域食堂を定期的に開催している「地域食堂こだち」の本橋章子さんは、「うちの子も参加したのですが、大人に教わりながら一緒に作って、食べた方からおいしかったと褒めてもらえて、とてもうれしかったようです」と話す。
団地内の集会所では、「団地での在宅避難と、身近なものでできる実践防災」と題した講座も開催、URの震災復興事業のポスター展示もした。トータルで約400人が来場。「防災といってもいろいろあるんだと、関心や理解を深めてもらういい機会だったと思います」とURの加藤は振り返った。
たくさんの子どもたちが参加した消火器の使い方訓練。向島消防署の協力で実施。
防災トイレの使い方を楽しく学ぶ体験コーナー。
外国の人のための通訳付きの防災・AED体験も。立花一丁目団地は総戸数1589戸、多世代が暮らす。
SSKの遊び道具が詰め込まれた車。
イベント当日、立花一丁目団地内には、子どもたちの遊び場があちこちに用意されていた。
イベント開催のきっかけになった、かまどベンチ
かまどで子どもたちも一緒に作った豚汁とおにぎりは、参加者から大好評。この経験は役立つに違いない。
地域愛にあふれたチームワーク抜群のメンバー。左からSSKの秋山さん、立花児童館の蔵野さん、地域食堂こだちの本橋さん、URの加藤。防災のはじめの一歩に
岩倉団地 愛知県岩倉市
翌2月1日には名古屋市の北にある岩倉市の岩倉団地で、防災イベントが開かれた。前半は防災講演。事前に住民に配布したURの「地震・水害に向けたそなえのガイドブック〈プレ版〉」にそって、URおよび関連会社の職員等が、災害に備えるために必要なことをわかりやすく説明した。参加した女性は「何から手をつけていいのかわからなかったので参考になった」と話していた。
後半は、NPO法人レスキューストックヤードなどの協力で用意された各コーナーを、参加者がスタンプラリー形式でまわる時間に。揺れた時に、どのように身を守るべきかを紹介する起震机の体験や、地震に強い部屋とはどんな部屋か、ガラス飛散フィルムの貼り方などを具体的に紹介するコーナー、煙の中を避難する体験などがあり、たくさんの人が実際に体験したり質問したり。
自治会による「もちつき」もあり、子どもや外国籍のファミリーの姿もあった。もともと自治会主催で防災イベントを開催するなど防災意識が高い団地だが、近年、ブラジルに加えてベトナムやネパール国籍の方も増えてさらに国際色豊かになっていることも、イベント開催の背景にはあると、URの山田祐輔は説明する。
「外国の方、特に地震のない国から来られた方は、防災といっても何をしたらいいのかわからないと思いますので、この機会に知ってもらえたらという思いがありました。また、何かの時に助け合えるように、地域の方と顔見知りになってもらうことも大事だと思っています」
防災イベントは、いざという時の備えを学ぶ場であり、多文化・多世代交流のきっかけ、はじめの一歩でもあるのだ。
起震机「こなまず号」で、揺れた時にどう身を守るべきかを体験。イベントのキャッチである「知ってみよう! やってみよう! 災害時に役立つ知恵とワザ」をさまざまな形で実践した。
URの「地震・水害に向けたそなえのガイドブック」〈プレ版〉を活用した防災講演には、60名ほどが参加した。
防災講演で説明するURの山田。
地震に強い部屋とはどんな部屋かを紹介するコーナー。手軽にできる工夫のアドバイスなども。
住棟のベランダに設置された隣との境の壁の蹴破り体験。いざという時には、蹴破って避難する。
総戸数2097戸の巨大な岩倉団地。団地内に商店街、診療所、郵便局、飲食店、ドラッグストアなどがある。
もちつき用の米が蒸し上がるのを待つ子どもたち。
地元ブラジル料理店のポン・デ・ケージョ(チーズボール)などをスタンプラリー達成者へのプレゼントに。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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