【URのまちづくり最前線 第15回】北袋町一丁目地区・さいたま新都心公園(さいたま市大宮区)
さいたま新都心の
サスティナブルな都市開発
“北袋(きたぶくろ)”という地名に馴染みがなくとも、“さいたま新都心駅の南東側”と聞けば、おおよその位置がイメージできる人は増えるだろう。
その北袋(きたぶくろ)町一丁目地区が生まれ変わり、住居や企業ビルが集まる市街地と、防災機能を備えた魅力的な公園が誕生した。
地域の人に喜ばれる研究所の跡地利用を
大宮駅の南側、旧国鉄の大宮操車場跡地にURの土地区画整理事業により「さいたま新都心」というまちが誕生したのは2000(平成12)年のこと。さいたま新都心駅がつくられ、その西側に政府系機関(合同庁舎)が大手町から移転した。さいたまスーパーアリーナなどの施設もオープンし、多くの人が集まるエリアに発展した。そのにぎわいが今、駅の南東側の北袋(きたぶくろ)町一丁目地区にも広がっている。
駅から約5分、そのエリアに入って感じたのは空の広さ、開放感だ。南北にゆったりとした道路が設けられ、その脇に公園やバスターミナルが整備され、企業の本社ビルや大型マンションの建設が進められている。この一帯はかつて三菱マテリアルの研究開発部門の主要拠点があった場所だ。
時を経て、さいたま新都心のサスティナブルな発展につながることを目指し、この地でさいたま新都心の新たな顔をつくろうという「北袋町一丁目地区の都市開発」の機運が高まる。そこで三菱マテリアルから跡地(12・7ヘクタール)利用のコーディネート要請を受けたURは、さいたま市とともに2014年に三者協議会を立ち上げ、市が「さいたま新都心ビジョン」で掲げた「広域的な都市活動の拠点機能の集積」「にぎわいあふれるまちづくり」などの実現に向けて検討・計画を進め、三菱マテリアルとURで土地区画整理事業に着手。併せてURはこの地区の代表的な事業となる「さいたま新都心公園」を防災公園街区整備事業で整備し、2018年度までに完了した。
研究所移転から通算20年、生まれ変わった土地の様子を見て、実に感慨深いと語るのは三菱マテリアル総務部の西野良雄不動産グループ長だ。
「大規模な土地開発の経験やノウハウをもっていませんでしたので、我々だけでは絶対になしえませんでした。供用開始となった道路や公園は、近隣にお住まいの方だけでなく、地域の皆さんに喜んでいただけるものになったと思います。さいたま市さん、URさんはじめ関係者のご支援、ご尽力に感謝しています」
防災機能と景観デザインの両立
朝は散歩を楽しむ人々、昼間は芝生で遊ぶ親子、夕方は学生たち……と、完成以来、幅広い年代に利用されている「さいたま新都心公園」。災害時には広域的な防災活動の拠点となるため、随所に工夫や配慮がなされている。仮設トイレ用マンホールは20基、停電時も電力を供給できるソーラー照明とバッテリーも配置。緊急時には重車両が入れる特殊な芝の構造、道路から段差のないフラットなデザインなども取り入れた。
さいたま市都市公園課の下村勝己課長によれば、市では以前から災害に強いまちづくりに力を入れてきたが、東日本大震災を経て市民からも公園に防災機能を求める要望が高まっているという。
「まちが熟成していくなかで、これだけのオープン空間があるのは市にとって防災面からも重要です。目の前のマンションの入居が始まり、園内でのイベントが増えれば、さらににぎわっていくことでしょう」と下村課長は期待を寄せる。
URの調整役の芦野光憲は、今回のプロジェクトには4つのポイントがあったと考えている。(1)目標達成に向けて三者の役割が明確化され、着実に実行されたこと。結果として人やモノの往来がしやすいまちとなり、防災機能も強化されたこと。(2)景観面では、下村課長からご指摘があった「既に開発されている『さいたま新都心のデザインガイドライン』に即して公共施設や建築が行われたこと」に加えて、さいたま新都心公園の隣地の三菱マテリアルや造幣局とのデッキデザインの統一化を図るなどの工夫がなされたこと。(3)防火樹林帯を整備し、地域の方に寄り添い「昔からある桜の木を残してほしい」などの要望を汲み入れながら、防災機能と優れた景観をあわせもった公園をつくり、地域の方に喜んでもらえたこと。(4)交通拠点となるバスターミナルや、さまざまなイベント会場ともなる、さいたま新都心公園などをベースに、今後の発展がさらに望めることだ。
さらにうれしいニュースも届いた。さいたま新都心公園が、優れた建設事業に与えられる「平成30年度全建賞【都市部門】」を受賞したのだ。評価されたのは、スペースの確保が難しい都市部の限られた面積のなかで、地域に必要な防災機能を備えつつ、良好な景観形成に努め、地域の方に愛されるオープンスペースを確保している点だ。
公園を拠点に今後どんな交流が展開されるのか。そのアイデアや可能性を語る人たちの目が輝いている。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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