【特集】東日本大震災 復興を支援し、被災地に寄り添ったURの15年
2011年3月11日に発生した東日本大震災から15年。
URは被災した地域にいち早く入り、地元の人々とともに復興事業を推進してきた。
現在も復興事業を支える、災害対応支援部に話を聞いた。
ベテラン職員を派遣して復興計画策定を支援
東北復興マルシェには、昨年夏に「キモチ、あつまるプロジェクト」で福島を訪れた大学生たちも集まった。2月末の週末、東京赤羽台の「URまちとくらしのミュージアム」とラボ41では「震災復興企画展」が開催され、広場では東北復興マルシェが開かれていた。東北や能登の物産が並んだショップには、団地に住む親子連れや、付近の大学生などが足を運び、売り手との会話を楽しむ様子も見られた。
URで震災復興企画展を担当する災害対応支援部の新田 裕は、「来られた方が震災を思い出し、被災した地域に思いを馳せるきっかけになれば、という思いで開催しています」とねらいを話す。
URの災害対応支援部は、東日本大震災の後に生まれた震災復興支援室と災害対応支援室という2つの部署がひとつになって、令和5(2023)年に発足した。
東日本大震災の発災後、URは国土交通省からの要請を受け、3月17日に応急仮設住宅建設支援要員4名を現地に派遣。次いで4月13日、復興計画策定支援要員の派遣を開始した。
東日本大震災は津波による被災地域が広範囲で、多くの市町村が甚大な被害に見舞われた。また、原子力災害という未曽有の被害が生じたこともあり、地元の被災した自治体だけで復興まちづくりを進めることは難しい状況だった。
壊滅状態の市町村に入り、復興計画策定の支援を行ったのは、当時40~50代の、経験を積んだURの技術職員たち。延べ51名にのぼる職員が、岩手、宮城、福島県下に入り、復興計画づくりを技術面からサポートしていった。
今回お話を聞いたUR災害対応支援部の大嶽(左)と新田。URまちとくらしのミュージアムの震災展示の前で。
URまちとくらしのミュージアムのロビーで東北の被災地の写真展示などが行われた。新たな入札方式導入で復興工事を迅速化
東北の沿岸地域一帯が同時に被害を受け、それらの地域でいっせいに復興事業が始まった。被災した人たちが1日も早く安寧な暮らしに戻れるよう、スピードが求められる難しい事業だ。
「そこでURは、新たな入札契約方式『復興CM方式』を導入しました。通常の市街地整備では、設計、工事、マネジメントと段階を踏み、それぞれ発注先を決めていくのですが、これらを一括で発注するのが『復興CM方式』です。マンパワー不足を補い、迅速な復興につなげるねらいがありました」
災害対応支援部の大嶽幸正が、さらに説明を加える。
「URが担当するのは復興市街地整備事業ですが、道路や河川などの復興事業も同時に進んでいます。URは復興工事全体を見ながら、調整も担当。例えば、こちらで出た土砂を、別の場所の盛土で使うといったように、エリア全体の工事が効率よく、効果的に進むよう調整していきました」
しかし、東日本大震災発災直後、東北地方にはURの団地もなく、URの知名度は低かったという。
「現地の役場ではURを知らない人も多く、URって何? からのスタートでした。しかし地道に現場に足を運び、URが行ってきた阪神・淡路大震災での復興支援や、これまでの市街地整備などの知見を提供し、信頼を得ることができました」と新田は振り返る。
高台への住宅移転が完了、海側に商業施設が並ぶ宮城県女川町の中心部。
復興市街地整備は、平成25年度末までに、受託した全22地区で工事に着工。各地で大規模な工事が進んだ。
発災直後、URはUR賃貸住宅約5,000戸を用意し、応急仮設住宅建設用地を提供。
総延長3kmに及ぶベルトコンベアによる土砂運搬を導入し、工期短縮をはかった(岩手県陸前高田市)。
本格的な復興に向け、2県18市町村に技術職員を派遣し、復興計画づくりを技術面からサポートした。URから内外へ知見やノウハウを継承
URは令和3年度、津波被災地域である岩手県、宮城県、福島県の23自治体での事業を完了した。現在は福島県いわき市に東北震災復興支援本部を置き、神奈川の災害対応支援部と連携しながら、原子力災害被災地域である福島県の3町で、復興拠点整備事業支援を行っている。
令和7年までの間に、URが現地に派遣した職員の数は、延べ約3400人にのぼった。この中には、自ら進んで復興に携わりたいと志願した者も少なくない。
「これからの課題は、災害復興事業で得た知見やノウハウを、次の世代に継承していくこと」と新田はいう。そのために災害対応支援部では、社内向けと社外向けの研修を行っている。
社内向けの研修では、被災地の現場を経験した職員から復興事業に関するノウハウ等を継承する取り組みなどを行っている。社外研修は主に自治体向けに「UR防災研修プログラム」を用意。被災建築物応急危険度判定マネジメント研修、東日本大震災復興支援の教訓・知見を学ぶプログラムなどがある。
岩手県釜石市に赴任した経験をもつ大嶽は「ハード面の復興は終わっても、つながり続け、見守り続けたい」と話す。
自身も阪神・淡路大震災で被災した新田は、「日本では、いつどこで大地震が起きてもおかしくない。過去の震災を忘れず、自分ごととして考えてほしい」と強調する。
URは災害復興を事業の大きな柱のひとつと位置付け、これからも被災地とともに歩み、寄り添い続けていく。
岩手県山田町では、復興市街地整備と災害公営住宅整備を並行して進め、山田中央団地が完成した。
平成29年から福島の原子力災害被災地域の支援が本格化。写真は令和元年に完成した大熊町役場新庁舎。
延べ26の被災自治体とURとの間で、復興まちづくりを推進するための覚書、協定などを締結した。東日本大震災でのURの復興支援
<津波被災地域>
- 復興市街地整備 12自治体 1,314ha
- 災害公営住宅整備 17自治体 5,932戸
- 復興計画策定等の技術支援
<原子力災害被災地域>
- 復興拠点整備事業支援 3自治体等 271ha
- 建築物整備事業支援
- 地域再生支援
【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】
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