【特集】ハード・ソフト両面で支える 未来につながる復興まちづくり(福島県浪江町)
2017(平成29)年に一部地域の避難指示が解除された浪江町。
さまざまな復興・再生の取り組みが続くなか、JR浪江駅周辺の工事が目に見える形で進み始めている。
基盤整備、建設工事が進む浪江駅周辺
整備が続く浪江駅周辺。駅の東側(向かって右)は今後、建設工事が本格化する。駅の西側は、駅周辺整備事業と福島国際研究教育機構「F-REI」(エフレイ)施設整備と時期を合わせて一体的に整備予定。東日本大震災前には200軒近くの飲食店があり、福島浜通り中北部のにぎわいの中心地でもあった浪江町。一部地域の避難指示が解除されて以降、災害公営住宅や小・中学校・こども園の整備、道の駅の建設、スーパーマーケットの誘致など、生活環境の整備や産業振興のための整備が進められてきた。
2022(令和4)年6月に公表された「浪江駅周辺グランドデザイン基本計画」に基づいて、町の玄関である浪江駅周辺の基盤整備工事がスタート。今年1月、整備した宅地の最初の引き渡しが行われた。いよいよ整備された宅地上で、建築工事が始まる。浪江駅周辺地区には、交流施設や商業施設、公営住宅・民間住宅、地域活性化施設が整備される計画。駅から東側の商業施設までつながるダイナミックな大屋根(なみえルーフ)がシンボルとなって、まちににぎわいを生み出す予定だ。駅の東西を結ぶ自由通路も整備される。
浪江駅の東側に2028年に完成予定の「なみえルーフ」のイメージ。駅から商業施設までつながるダイナミックな大屋根で、隈研吾氏、伊東順二氏らが手がけるグランドデザインの象徴。関係機関のさまざまな意向を調整する
浪江町の復興支援を続けているURは、浪江町が進める「浪江駅周辺整備事業」の事業執行管理と、道路や電線共同溝等のインフラ整備(基盤工事)を浪江町から受託して行っている。町が今後実施する建築施設工事に向けた宅地整備に加え、安全・安心なまちづくりを目指して、電線類の地中化や段差の少ないフラットな道路整備・ラウンドアバウトの整備なども進めていく予定だ。基盤工事を担当するURの廣瀬悠人は入社2年目(取材時)。西日本豪雨の被災経験があり、復興支援を志願してやってきた。約12 haという浪江駅周辺事業の規模の大きさにやりがいを感じながらも、仕事の大変さを実感する日々だと話す。
「URがまちづくりの関係者間の調整役を担っていますが、関係者それぞれに意向があり、その調整の難しさを感じています。とはいえ、いいまちをつくりたいという思いは皆さん一緒なので、その思いを大事にしながら事業を進めていくことを心がけています」
自身の知識や技術を高め、関係者とより深い話ができるようになることが目標と廣瀬は話す。
URの西岡(左)と廣瀬(右)。浪江町での仕事は、「一人の裁量が大きく、アイデアを生かしてもらえる機会が多い」という。まちの人に寄り添いまちににぎわいを
同じく入社2年目の西岡遼也は、地方のまちづくりを学び、まちに貢献したいとの思いを抱いて入社し、地域再生課で浪江町のソフト面の支援を担当している。来て驚いたのは、町民の活動の多さとその熱量だという。浪江町の現在の居住者は約2350人。このうち約35%が移住者で、震災前からの町民の方も、移住者もともに地域活動に積極的に取り組んでいる。
URは浪江町で、地域再生支援の一貫として、情報発信・交流スペース「なみいえ」を運営し、町内で行われる日々のさまざまな活動・イベントを一覧で確認できるよう、イベントカレンダーを運営している。
イベントとしては、立上げ時からURが関わっており今年で5回目を迎えた「キャンドルナイト」や、震災前に開催されていて、昨年、町民が中心となって復活した「ストリートミュージックフェスタ」などがある。また、昨年11月に開催された「なみえ十日市祭」には約180のブースが並び、2日間で約3万5千人が来場。15年ぶりに震災前のメイン商店街「新町通り」での開催が復活し、大盛況だった。
十日市祭の当日、URは浪江駅周辺整備事業に関する展示ブースを出展し、模型を用いたり、クイズやパズル形式でラウンドアバウトや整備予定施設の配置などをわかりやすく紹介した。駅前に整備予定のラウンドアバウトは、信号がなくても機能する環状交差点。
「ラウンドアバウトを見たことがないので不安」というまちの人の声を受けて、URが作成している「浪江駅周辺整備事業まちづくりニュース」でもラウンドアバウトについて紹介し、町民の方々に配布した。
日頃から、まちの人に寄り添うことを心がけているUR職員。若手職員がローテーションで、週1回浪江町役場内のデスクで仕事することも、役場の方々との情報交換やリアルな声を聞くことに役立っている。そのほか「城攻め」と称する浪江町の史跡などの清掃活動にも毎回参加している。
震災前を知る町民の希望を受けて、今年の夏に盆踊りや神楽、子ども神輿を復活させるためのプロジェクトも動き始めている。URの西岡が心を砕いているのは、町の文化・歴史や新たに立ち上がった活動を継続していくための仕組みづくり。
「せっかくの取り組みを無理なく続けていけるように、予算やスケジュールの立て方、告知方法や安全面の配慮などを、きちんと示して支援したいです」
つくられたものがまちの人の役に立ち、末永く利用されるように——。それはハード・ソフトにかかわらず、復興支援に携わるUR職員が心に留めている共通の思いである。
今年3月に行われたキャンドルナイト。
浪江町商工会と運営委員会の共催で2025年11月に開催された「なみえ十日市祭」。15年ぶりの新町通りでの開催で、まちが沸いた。
復活音楽イベントとして、2025年7月に開催された「浪江駅発!ストリートミュージックフェスタ」。震災で閉校となった町内9つの小中学校と、新設された、なみえ創世小中学校の校歌を歌う特別企画も。
浪江町でURが運営する、情報発信・交流スペース「なみいえ」。
「なみいえ」内に設置されているイベントカレンダー「なみ☆カレ」。
URの浪江事務所が作成している「浪江駅周辺整備事業まちづくりニュース」。工事の進捗などを紹介する。【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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