【特集】袖ヶ浦団地(千葉県習志野市):コワーキングスペース
屋内なのに"庭"のような
フレキシブルなスペースがオープン
習志野市の袖ヶ浦(そでがうら)団地の商店街の一角に、今年4月、コワーキングスペースが誕生した。
銀行として親しまれた建物がリノベーションにより生まれ変わったのだ。
「庭」をテーマに、団地と地域、多様な年代の人をつなぎ新しいにぎわいを生む施設として、期待が集まる。
銀行だった建物が身近な居場所に
青々とした人工芝の上に、とんがり屋根のテント、居心地が良さそうなデッキチェア、スタイリッシュなアウトドアグッズ……「え、ここはキャンプ場?」と思えるようなユニークなスペースが、千葉県習志野市の袖ヶ浦団地の商店街の一角にお目見えした。
一面がガラス張りのこの明るいスペース、じつは以前は銀行だった建物。銀行の退店後に空き店舗となっていたが、この4月にコワーキングスペース「Join Spot 袖ヶ浦」として生まれ変わった。
コワーキングとは「Co(共に)」「Working(働く)」をつなげた言葉だ。新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークのオフィス代わりとして注目を集めているが、ほかにもミーティング、オンライン授業やサークル活動など、多くの使い道がある。
建物はURのグループ会社である日本総合住生活(JS)が所有している。JSの菅谷和真(すがやかずま)は、団地のなかにコワーキングスペースを設けた意図について、次のように説明する。
「銀行が退店した後の用途を模索するなか、若い方々も呼び込めて、地域のにぎわいに資する施設とは? と考えてきました。そこで、〝庭”をコンセプトに、テレワークや勉強、ものづくりなどフレキシブルに使えるコワーキングスペースが浮かび上がりました」と話す。
約1年にわたり、団地内外の方に幅広く利用してもらいながら「やってみたい」とか「あったらいいな」といった生の声を拾い、実情に合わせて使い方や過ごし方を変えていく予定だという。
さまざまな人がつながる場所に
袖ヶ浦団地は1967(昭和42)年に誕生。約50年の時を経て、2018年度からURが団地再生事業に着手している。団地の活性化を目指し、建て替えを含めてさまざまな取り組みがスタートしている。
今年の2月には、商店街の再生に関して、URとJSは連携協力の覚書を交換。この施設に関しても、共に協議を進めてきた。
URの権藤 亮は「URは、団地において、多様な世代が生き生きと暮らし、交流できる"ミクストコミュニティ"の実現を目指しています。このスペースが、世代や地域を超えて、さまざまな方が関係を築ける場所になってほしい。それが、団地の魅力になり、価値の向上につながるのではないかと考えています」と話す。
団地活性化の核となる施設に
「Join Spot 袖ヶ浦」のもう1つのコンセプトが「みんなで作り上げていこう」だ。4月19日のオープンに先駆け、4月3日、10日にはワークショップを開催。袖ヶ浦団地をフィールドに団地活性化プロジェクトを行っている千葉工業大学の学生や地域にお住まいの子ども連れ、DIY好きの方などが参加。人工芝を張ったり、ウッドデッキを設置するなどの作業を共に行った。
ワークショップに参加したURの会場圭慶(あいばよしやす)は「学生さんや居住者さんと一緒に作業をすることで、一体感が生まれ、親近感がわきました。こうした活動を続けることで、コミュニティーの活性化や、施設への愛着も生まれるのではないでしょうか」と話す。
「今後もさまざまなワークショップなどを予定しています。ここを拠点に、多彩なキャラクターを発掘し、そういう方々をつなげて、袖ケ浦を盛り上げるメンバーを募って行けたら」とJSの菅谷。
団地と地域活性化の核としての「Join Spot 袖ヶ浦」の今後の展開が楽しみだ。
【阿部民子=文、菅野健児=撮影】
- LINEで送る(別ウィンドウで開きます)
特集バックナンバー
UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]
UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。