【特集】多摩ニュータウンTOPICS
TOPICS1 From 多摩ニュータウン貝取団地
地域密着で団地の暮らしを支える
「J Smile FOODS MARKET」
日常の買い物に不便を感じている人に、便利なお買い物環境を提供したい。団地の暮らしをより快適にしたい。そんな思いから、昨年4月、貝取団地商店街の一角に「J Smile FOODS MARKET多摩ニュータウン貝取団地店」が開店した。3年間この地で営業していたスーパーを引き継いでのオープン。経営はURのグループ会社、日本総合住生活(JS)だ。
「JSでは団地の活性化などを目的として、コンビニエンスストアの店舗を経営してきました。さまざまな業態でお客さまの暮らしをさらに便利にしたいという考えから、スーパーの1号店としてオープンしました」と、住生活事業企画部の小山隆志は言う。お客さまはシニアから子育て世代まで幅広い。
「ご高齢のお客さまは、お買い物だけでなくお店の従業員との会話を楽しみにしていらっしゃる方が多いです。従業員も団地に住んでいる人が多いので、地域のことがよくわかっており、お客さまの信頼につながっていると思います」と、君成田(きみなりた)大介店長。
「世間話を楽しみに来られる方と、私たちもできる限りお話しするようにしています。ほとんどの常連さんとは顔見知りです」と従業員の芝崎さんも言う。まさに地域密着。お客さまとの距離が近いのだ。“一番身近なスーパー”として、お客さまから品揃えなどに対する要望をいただくことも多く、可能な限りお応えすることで信頼を積み上げている。
いま、「J Smile FOODS MARKET」が力を入れているのが配達サービスだ。電話やインターネットで注文を受け、お店にある商品をご自宅までお届けする「買物サポートサービス」は、ヤマトグループが運営する暮らしのサポート拠点「ネコサポステーション」との連携で実施。注文受付と配達はネコサポが行う。利用者は徐々に増加し、お店から離れた場所からの利用もあるという。
「今後は、商店街と連携したイベントに参加するなど発信力を強化して、お店をより多くの方に知っていただきたいと思っています」と語る君成田店長。
地域密着スーパーとして、団地に住む人々の暮らしを支えている。
【牧岡幸代=文、青木 登、菅野健児=撮影】
TOPICS2 From 多摩ニュータウン豊ヶ丘団地
ここに来れば人とつながれる
地域に開かれたみんなの居場所「とよよん」
2020年9月。多摩ニュータウン豊ヶ丘団地商店街に「健幸つながるひろば とよよん」がオープンした。社会福祉法人楽友会が、多摩市社会福祉協議会と連携して運営を行うコミュニティースペースだ。団地住民が気軽に立ち寄れるスペースと、楽友会が運営する居宅介護支援事業所の2つが同居した形になっている。多摩市で特別養護老人ホームやデイサービスを運営する楽友会が、新しい拠点として豊ヶ丘団地を選んだ理由を、楽友会の齋藤 誠さんはこう話す。
「私たちは、地域に暮らす皆さんが気軽に困りごとを相談できる場所でありたいと思っています。そのためには顔が見える関係をつくることが大事。団地に暮らす皆さんに最も身近な団地商店街は、理想的な場所なのです」
多世代交流のきっかけをつくりたいと語るのは、多摩市社会福祉協議会の森田一光(かずてる)さんだ。
「団地にお住まいの子育て世代のご夫婦、子どもたち、お年寄りまで、それぞれの世代に関心をもってもらえるイベントや講座を開催しています。参加者の皆さんと話すなかで、いろいろなアイデアを持っている方、さまざまな特技をお持ちの方が多いことがわかってきたので、今後はそういった方たちに協力してもらって、市民が主役の居場所になればと考えています」
イベントなどの手伝いをしてくれるサポーターも定期的に募集。利用者もサポーターも団地に長く住んでいる方が多く、団地に愛着を持って暮らしていることをあらためて知ったという。
「とよよん」の運営には、多摩市とURも協力している。URの鳥山直人は言う。
「団地に住む人と人のつながりを育むために、地域の人に常に開かれた居場所が必要だと考えていました。それは、多摩市が進める、市民が健康で幸せな日々を過ごせる“健幸まちづくり”という取り組みにも貢献できるものになるはず。そう考えて社会福祉協議会に声をかけたことが、とよよん誕生へとつながりました。ここが、住民の皆さんの外出のきっかけとなり、人と人が楽しくつながれる場所になってほしいと願っています」
コロナ禍にあって、イベントの参加人数を調整したり、当初計画していた食をテーマにしたイベントができないなどの制約があるなかでも、「とよよん」を中心とした人の輪は徐々に大きくなってきている。
【牧岡幸代=文、菅野健児=撮影】
TOPICS3 From 多摩ニュータウンファインヒルいなぎ 長峰・杜の一番街
“便利”で“楽しい”
移動販売車がやって来た!
多摩ニュータウンの東に位置する「ファインヒルいなぎ 長峰・杜(もり)の一番街」。起伏を生かした緑豊かな高台にゆったりとURの住棟が並ぶこの地で、お住まいの方の意向もあり、昨年12月から新たなサービスが始まった。食料品や日用雑貨の移動販売だ。
初日のこの日、知らせを聞いて集まってきたのは、赤ちゃん連れの親子から80代まで幅広い年代の住民の方々。やってきた移動販売車には、お弁当やお菓子、野菜や果物、肉や魚、アイスクリームなどがぎっしり。トイレットペーパーや洗剤など日用品も揃っている。
長峰・杜の一番街の最寄駅は若葉台駅。隣の稲城駅からとそれぞれバスが運行している。景観の豊かさに加え、両駅から新宿まで約30分と都心へアクセスしやすいため、最近は都心からの移住者も増えている人気のエリアだ。ただ、スーパーに行くには、2キロメートルほど離れた丘の下の若葉台駅または稲城駅方面へ出る必要がある。そのため移動販売に集まって来た方からは「こんなサービスを待ち望んでいました」という声をはじめ、「近くでお刺身が買えるのがうれしい」「足が悪いので普段の買い物は家族に頼んでいるけれど、実際に自分で見て選べるのは楽しい」など喜びの声が寄せられた。
この移動販売サービスを行っているのは、以前から多摩市をはじめ丘陵地や買い物に不便な地で移動販売を行っている京王電鉄だ。京王電鉄とURは、沿線および周辺地域において、持続可能な住まい・まちづくりの実現のために連携協定を締結。協力して魅力ある生活拠点の形成に向けて取り組みを進めている。長峰・杜の一番街での移動販売もその一環だ。
「少しでも地域の方のお役に立って、暮らしやすいまちにしていくお手伝いができたらうれしいです」
京王電鉄の千葉敏行さんは、そう言って「商品は約250アイテムを揃えています。その日の朝、京王ストアから積み込みますので、新鮮です」と笑顔で胸を張った。
買い物の利便性を高めるだけでなく、外出の機会や住民同士の会話の機会にもなり、コミュニティー活性化につながる面もある移動販売。実際にこの日も買い物に集まった人同士で「元気だった?」と近況を報告し合ったり、「うちでお茶飲んでいきなさいよ」といった会話が交わされていた。移動販売は週2回。「次回も楽しみ」という声に見送られながら、移動販売車は次の場所に向かった。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
TOPICS4 From 多摩ニュータウンベルコリーヌ南大沢
無印良品の家具でコーディネート提案
コロナ禍で在宅ワークが普及するなか、団地のよさが見直され、郊外のニュータウンに注目が集まっている。住戸の広さに加え、建物の間隔が広くて光や風がよく通り、たくさんの緑や広場がある、といった屋外環境も人気の理由だ。
八王子市の「ベルコリーヌ南大沢」はヨーロピアン・テイストでまとめられたオシャレな団地。最寄りの京王相模原線・南大沢駅周辺にはショッピングモールをはじめアウトレットモールやシネマコンプレックスもあり、暮らしやすいと評判だ。
MUJIとURの取り組みで改修された住戸やキッチン付きの集会所もあるベルコリーヌ南大沢で、新たに無印良品の家具でコーディネートしたモデルルームが誕生した。100平方メートルほどの広さのある住宅を「どこにいてもテレワークができる暮らし」をテーマにコーディネート。3世代での居住も考慮した提案で、全国の団地リノベーションで積み重ねてきた経験や工夫が生かされている。
リノベーションしなくても、家具の選び方や配置で、こんなに雰囲気が変わり、暮らしが豊かになるとは!そんな驚きに満ちたモデルルームだ。
広がりを感じるLDKに
和室と洋室の境の引戸を撤去して、キッチンとのつながりを生み出し、リビングダイニングの一部となるようにして広がりをもたせた。
納戸をワークスペースに
リビングから離れている納戸を、生活音を気にせず仕事ができる空間に。ON/OFFを明確にするため、黒で統一して異なる雰囲気に。
廊下を図書&アートスペースに
壁沿いに本棚を並べることで、キッチンと廊下とリビングをゆるやかにつなげた。壁にはアートを飾って。
バルコニーを有効活用
コンクリートのバルコニーに、ウッドデッキや人工芝を配置。開放感あふれる気持ちよい空間に。アウトドア気分を楽しんだり、テレワークをしたり、幅広く使えるスペースにした。
サンルームのスペースを一室に
LDKとして広く使って有効活用。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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