【特集】国内最大級の高速バスターミナル 第2期エリア(地下A)がオープン バスターミナル東京八重洲整備事業(東京都中央区)
東京駅前の地下で、「バスターミナル東京八重洲」の整備が進められている。
今年3月、地下Aが開業し、ますます利便性が高まっている。
交通結節点となる大規模なバスターミナル
東京駅の目の前で整備中の「バスターミナル東京八重洲」の位置図。3月に北側の地下A(2期:TOFROM YAESU TOWERの地下)が開業。地下Aは仙台や新潟など東北方面、中央の地下B(1期:東京ミッドタウン八重洲の地下)は房総方面を中心に四国方面のバスが発着。加えて、名古屋、京阪神方面の高速バスは地下A・Bともに乗り入れがある。東京駅前(八重洲口)の地下で大規模なバスターミナルの整備が進められていることをご存じだろうか。「バスターミナル東京八重洲」を3期に分けて整備する事業で、2022(令和4)年9月に第1期エリア(地下B)が東京ミッドタウン八重洲の地下にオープン。今年3月20日に第2期エリア(地下A)がオープンした。今秋、商業施設が開業する「TOFROM YAESU TOWER」の地下に位置し、地下B同様、天候に左右されず、空調のきいた空間で快適にバスの乗降ができると利用者に喜ばれている。
乗降用バースは、地下Bの6バースに今回7バースが加わり、合計13バースに。首都圏と全国各地を結ぶ交通結節点としての機能が強化された。
そもそも「バスターミナル東京八重洲」が整備されることになった背景には、東京駅周辺の路上に高速バスや空港連絡バスなどの停留所が散らばっていて、鉄道との乗り換えが不便であること、また路上でバスを待ったり、乗降したりすることが、車両や歩行者の通行の妨げになっているという課題があった。
それを受けて、学識経験者、国土交通省、東京都、中央区、警視庁、バス協会等とURによる「東京駅前・八重洲バスターミナル整備推進委員会」が2015年に設置され、国際都市東京の玄関口として多様な機能を集積し、空港や地方都市との交通結節機能の強化を図ることが明確に掲げられ、事業がスタートした。
東京駅前の市街地再開発事業で、地下部分にバスターミナルを整備し、路上で発着するバス停を集約するという計画だが、そのためには、3地区の市街地再開発事業にまたがる大規模な整備(20バース)が必要。URは、中央区の要請に基づき、各再開発事業の参加組合員として協力。各再開発組合から段階的にバスターミナルの床を取得することで、3エリアを一体的に整備することが可能になる。
地下Aの開業に先立ち、3月19日には開業式典が行われた。
バスターミナル東京八重洲の地下A。2階建てバス・連節バスでも走行可能なスペースが確保されている。災害時には、臨時輸送バスの発着拠点になる。わかりやすく、居心地の良い環境に
東京駅からヤエチカ(八重洲地下街)経由で直接アクセスできて便利な「バスターミナル東京八重洲」。バスターミナルの運営事業者である京王電鉄バスはURの強力なパートナーだ。京王電鉄バス事業部課長の椎谷英明さんは「安全で快適な待合空間の創出、そして初めて利用する人も迷わずに移動できるような案内サインにも配慮しました」と話す。
地下Aは、バスターミナルを1周するように旅客エリアが整備されていて、その空間と車路を隔てるサッシのガラス面は、日本の四季折々の風景写真で彩られている。また、スーツケースを持ち込んで利用できる広いトイレや、スキー板やスノーボードが入るサイズのコインロッカーなど、高速バスの利用者に配慮した設計に。
一方、利用するバス会社の使いやすさも十分に考慮した。京王電鉄バスと(株)Will Smartが共同開発した、クラウドサービス上で案内表示や構内放送などを統合管理する「スマートターミナルシステム」の導入により、スムーズかつ効率的な運営が実現し、バス会社や運転手の負担軽減につながっている。
100席を超える座席を備える待合スペース。車路からの排気ガスの侵入を抑制する設計になっている。
車路と旅客エリアを隔てる壁は、写真家・長尾岬生氏が撮りおろした日本の風景写真で構成。
日本の四季折々のさまざまな風景をおさめた写真が利用者を迎える、バスターミナル東京八重洲。
「今後はツアーや一時利用のバスも増やしていきたいです」と話す京王電鉄バスの椎谷さん。
発車時刻や乗り場、アクセスなどの表示をわかりやすくする工夫があちこちに。スケジュールと関係者の調整役に
さまざまな都市再生事業を手がけているURだが、バスターミナルの整備は初めての経験。長期にわたる事業にあって、URはスケジュールや計画の調整など、まとめ役を担っている。この事業を担当するURの勝山紗希は「関係者の打ち合わせを2週に1回行っています。すぐに決まらないこともありますが、同じ方向を向いて動けるよう丁寧に進めることを心がけています」と話す。それを受けて京王電鉄バス事業部主任の木山 貴さんは、「多くの事業者が関わるなか、URさんはそれぞれの要望の間に挟まれてご苦労が多いと思いますが、まちづくりのプロとして調整してくださり、心強い伴走者です」とコメント。また同社の椎谷さんは、「そもそもURさんがいなければ、東京駅前の一等地の確保はできず、この地でバスターミナルの整備はできませんでした」と。
今回の地下Aの開業により、路上にあった停留所の移行がほぼ完了した。とはいえ、地下にあるため、まだ存在を知らない人も多い。
「ここからバスに乗って仕事帰りに温泉に行くこともできます。快適で便利な施設ですので、多くの人に知ってもらえるようPRしていきたいと思います」とURの山岸亮太は話す。
全体の完成となる第3期(地下C)のオープンは29年の予定。国内最大級の高速バスターミナルの誕生へ向けて、今も事業が続く。
「利用者の利便性向上に資するプロジェクトに携われてやりがいを感じています」と話すURの勝山。
京王電鉄バスの木山さん。「私どもの経験、現場の声を生かしたバスターミナルになりました」
URの山岸。「第3期エリアの完成に向けて、引き続き調整を進めています」【妹尾和子=文、青木 登=撮影】
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