街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】UR×純真短期大学「食と栄養」「健康」をテーマに、学びを生かして地域のコミュニティーを広げる アーベインルネス若久(わかひさ)(福岡県福岡市)

URPRESS 2022 vol.71 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

SDGsアイコン画像

7年前に建て替え、大規模なリニューアルを行ったアーベインルネス若久。
定期的に開催される純真短期大学とURのコラボ企画イベントは、幅広い世代に好評だ。

子ども&シニアと真夏のスイーツ作り

「夏が旬のフルーツ、わかる人はいますか!?」と質問を投げかけたり、パイナップルやマンゴー、桃に含まれる栄養素について、子どもたちにもわかりやすく説明したりする学生たち。

福岡市南区の閑静な住宅街にあるアーベインルネス若久は、単身者からファミリー、シニア層まで幅広い世代に人気の住宅だ。大規模リニューアルにより団地がモダンな住棟に生まれ変わり、医療や福祉、教育関連施設と連携がとれた住環境が整備されている。

アーベインルネス若久の近くにある純真短期大学とURのコラボ企画がはじまったのは、2014(平成26)年のこと。団地で育てたゴーヤーを活用した取り組みを連携して行えないかと、URから純真短期大学に相談したのがきっかけだったという。

「初めて連携した『育てて食べようゴーヤー収穫祭』では、ゴーヤーを使ったメニュー紹介や、ゴーヤーの栄養素などを学ぶ食育講座を実施しました。学生たちはゴーヤーのレシピ開発のために試作を重ね、団地の皆さんと一緒に試食をして、有意義な異世代交流ができました」と純真短期大学食物栄養学科教授の宅間真佐代先生は当時を振り返る。

コラボ企画は継続的に開催され、コロナ禍でも動画で調理講座と食育講座を配信。今年度は3回のイベントを企画している。

8月最後の土曜日。「夏のフルーツフェスタ」と題した、URと純真短期大学とのコラボ企画が集会所で開催された。子ども向けの「真夏のフルーツゼリー作り!」と、シニア層向けの「真夏の和菓子作り!」の2部構成だ。

会場には「真夏のフルーツゼリー作り!」を担当する、純真短期大学食物栄養学科2年生の6名の学生がスタンバイ。参加者は小学生15名で、お母さんやおばあちゃんと一緒の参加者もいて、会場は和気あいあいとした雰囲気。

学生たちの自己紹介に続き、夏のフルーツについての食育講座が開かれ、続いてゼリー作りの実演後、フルーツゼリー作り体験がスタートした。参加者は皆とても楽しそう。カラフルなフルーツゼリーがほどなく完成。ゼリーが固まるまでの時間は、フルーツクイズで盛り上がった。

「イベントのチラシがポストに入っていて、料理が好きな小2の息子と参加しました」「私が団地に住んでいるので、娘と2人の孫を誘って参加。三世代で楽しめました」と参加者は笑顔がいっぱいだ。

このイベントのリーダー、短大生の石田涼華さんは「子どもたちの反応がよくて、緊張がやわらぎました」と話す。苦労したことを聞くと、「メニューを決めるのがたいへんだった」「小1~小6の子どもたちに合ったクイズの内容を考えるのが難しかった」などとメンバーが答えてくれた。フルーツゼリー作りの手順を説明した桑原美穂さんからは、「もっとうまく説明できたらよかった」と反省の声もあったが、全員が「とても楽しかった!」とのこと。達成感を味わえたようだ。

フルーツゼリーの作り方を説明しながら、実演をする。子どもたちは興味津々。
フルーツゼリー作り体験が始まると、学生は食材やお湯、氷の準備をしたり、各テーブルでサポートしたりする。

「食」で自然に広がる地域のコミュニティー

学長の都築廣久先生は次のように説明する。

「このコラボ企画は、『暮らしと環境』という授業の一環として取り組んでいます。栄養士を目指し、食と栄養、健康について専門的に学習してきた学生たちが、その成果を発表する絶好の機会です。学生たちがテーマを考え、料理の試作、募集のチラシ作りに配布、当日の進行などすべて行っています」

団地や地域の方々とふれ合って、学校ではできない学びを体験し、地域貢献の大切さを肌で感じることができると都築学長はいう。

「2020年9月に、純真短期大学とURは連携協定を結びました。そのメリットは、地域ににぎわいをもたらすことに加えて、『食』をテーマにコミュニティーが広がることです。イベント実施後、ホームページやSNSなどで両者で情報発信も行っています」と話すのは、このイベントを担当するUR九州支社の飯塚 勉。

長年住み続けるシニア層と新しく住み始めたファミリー層が、「食」のイベントをきっかけに自然につながる。「ミクストコミュニティー」の可能性を感じるイベントだった。

2015年に生まれ変わったアーベインルネス若久。全5棟370戸。明るい日差しが差し込む開放的な住空間になっている。
午前中は、子どもたちを対象にした「真夏のフルーツゼリー作り!」。会場は笑顔に包まれていた。
完成したパイナップルと桃、ベリー、ナタデココを使ったカラフルなフルーツゼリー。
お母さんと一緒に丁寧にゼリー液を作る参加者。ソーダ味のゼラチンを使用している。
集会所の入口に置かれている「食育ポスター」は、役立つ情報が満載だ。大切な内容が一目で分かるように工夫されている。
午後はシニア層向けの「真夏の和菓子作り!」。練り菓子とフルーツ大福作りのほか、栄養講座も行われて、盛りだくさんの体験会に。
「夏のフルーツフェスタ」の午後の部は、60歳以上の方を対象にした「真夏の和菓子作り!」。
完成した夏のフルーツ大福と練りきり。参加者もでき上がりに大満足!
URと純真短期大学とのコラボ企画イベント「夏のフルーツフェスタ」に参加したメンバー。前列中央・都築学長、2列目左端・宅間教授、3列目左からURの飯塚、西村生活支援アドバイザー、3列目右から酒井、小川。

【石井克美=文、菅野健児=撮影】


【特集】多世代交流の「場」づくりへ 大学と連携してトライを続ける あけぼの団地×札幌市立大学

札幌市南区にあるあけぼの団地は、高齢化が進むなか、団地再生事業も進行中。
世代間のコミュニティーを維持・活性化しようと札幌市立大学のメンバーたちが模索しながら活動している。

【特集】左近山の魅力を発信! 大学生が地域の架け橋に 左近山団地×横浜国立大学

学部や学年の枠を超えて、大学生が、さらには卒業生も加わり、さまざまな地域交流活動を展開している団地がある。
横浜市西部、旭区の左近山団地だ。
ここでの横浜国立大学の学生たちの活動に注目が集まっている。

【特集】団地に住んで、地域を盛り上げるイベントを企画 高蔵寺ニュータウン×中部大学

来年で誕生から55年を迎える高蔵寺ニュータウン。団地に新たな活力を吹き込むと期待されるのが、ニュータウン内の団地に住む地元・中部大学の学生たちだ。
コロナ禍にめげず、地域に貢献できる活動を模索している。

【特集】若い感性とコラボしたテーマのある部屋で、新たな層にアピール 洛西福西公園団地×京都女子大学

学生が考えたプランで、実際に団地の部屋をリノベーション。
テーマのある部屋に共感した若い世代が入居する。
そんな団地活性化を目指して行われている、京都女子大学との画期的な取り組みをご紹介しよう。

【特集】灯をつくってナイトピクニック 大学生の発想と行動が感動を呼ぶ! 武庫川団地×武庫川女子大学

阪神電鉄で長年活躍した車両「赤胴車(あかどうしゃ)」が、武庫川団地内の広場に設置されて1周年となる今年7月。
「みんなでつくった灯で赤胴車を飾り、ナイトピクニックをしよう」という大学生発案のイベントが開催され、反響を呼んだ。

【特集】「食と栄養」「健康」をテーマに、学びを生かして地域のコミュニティーを広げる アーベインルネス若久×純真短期大学

7年前に建て替え、大規模なリニューアルを行ったアーベインルネス若久。
定期的に開催される純真短期大学とURのコラボ企画イベントは、幅広い世代に好評だ。
  • LINEで送る(別ウィンドウで開きます)

特集バックナンバー

UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

UR都市機構の情報誌[ユーアールプレス]の定期購読は無料です。
冊子は、URの営業センター、賃貸ショップ、本社、支社の窓口などで配布しています。

CONTENTS

メニューを閉じる

メニューを閉じる

ページの先頭へ