【特集】団地の敷地内で焚き火ができる ユニークなアウトドアショップ 火とアウトドアの専門iLbf みさと団地(埼玉県三郷市)
URで2番目に多い戸数を誇るみさと団地の商店街には、全国からお客さんがやってくる火に特化したユニークなアウトドアショップがある。
ほかにはないアウトドアグッズの店
以前、団地の貸し農園だったスペースを借りて「焚火暖地」をオープン。利用者はここで焚き火をしたり、バーベキューをしたり、購入したテントなどのギアを実際に試すこともできる。JR武蔵野線の新三郷駅を降りると、駅前にはIKEAやららぽーとといった大型商業施設が立ち並んでいる。この駅前一帯は週末になると近隣から買い物に来る客でにぎわうが、じつはこの先に広がるURのみさと団地にも、ここを目指して全国からお客さんがやってくる“知る人ぞ知る”アウトドアショップがあるのをご存じだろうか。みさと団地南商店街にある「iLbf(イルビフ)」だ。
「I love the bonfire」(私は焚き火が好き)の頭文字から取った店名が示す通り、ここは「火」に特化したユニークなアウトドアショップ。オーナーの堀之内健一朗さんがこの店を始めたのは、今から10年前のことだ。
サラリーマン生活に疲れ、仕事を辞めた堀之内さんは、もともと好きだったアウトドアを楽しみ、パラグライダーやキャンプをして過ごすことが増えていった。そんな時間のなか、屋外でバーベキューをしたり、焚き火を囲んだりするとき、火に癒やされることに気がついたという。
「火には、周囲を照らし、温もりを与え、食材を料理するという3つの役割があり、そこには道具が発達する余地があります。火に特化した店を始めたら、面白いだろうと考えました」
みさと団地は総戸数約6730戸。商店街も3カ所ある。「iLbf」があるのは南商店街「グレンタ」。ここの104から106号室を借りている。
面白いものが見つかりそうな「iLbf」の店構え。人のつながりがある団地商店街で出店
その店をどこで始めるかと考えたとき、都内から三郷市のUR団地に転居していた堀之内さんにとって、団地の中にある商店街は最初から候補に上がっていたという。
「ここを見に来たとき、緑が多く、人が行き交う団地商店街の雰囲気がいっぺんで気に入りました。新しくここで商売を始める人を支援するURのチャレンジスペースという制度もありがたく、こまかなことは走りながら考えようと、すぐに契約しました」
店を始めたばかりの頃、珍しいブランドのクーラーボックスを店のインスタグラムに載せたところ、これが見事にバズった。アンテナの高い人たちがこの店に注目し、こだわりのある人たちが店にやってくるようになったのだ。それからは「こういう物を置いたら」という彼らのアドバイスを聞きながら、火に特化したこだわりのアウトドアグッズを増やしていった。「そこからいい循環が生まれてきました」と堀之内さんは振り返る。
やがて店舗を拡張。現在は隣り合う3物件を借りている。
ただ見ているだけでも楽しい、こだわりの商品が並ぶ店内。
アウトドアで使える調理器具もそろっている。
さまざまな樹種の薪も扱っている。
「焚火暖地」で火をおこし、焚き火を楽しむ。団地の中に焚き火ができる場所を
昨年4月からは、団地の一角に「焚火暖地」をオープンさせた。ここは以前、貸し農園だった場所。メタセコイアの大木に囲まれた気持ちのいい芝生の広場で、焚き火やバーベキューを楽しみ、購入したアウトドアグッズが試せる場所となっている。
「都会では焚き火ができないので、ここに手ぶらで来て、薪を選び、火をおこして、焚き火を囲んで時間を過ごす方がいます。また、団地内では花火は禁止ですが、焚火暖地ではOKなので、夏には団地の子どもたちが花火を楽しむこともあります。団地の皆さんが家族のお祝いのときなどに、ここでバーベキューパーティを開くようなご利用も多いです」
堀之内さんは団地とのつながりを大切にしたいと、団地自治会にも入会している。URや三郷市などとともに防災イベントを行ったり、ボーイスカウトの活動に協力することもある。
「団地には人の暮らしがあり、生活している人の顔が見える安心感があります。それにURの団地は管理がしっかりしているので、その点も安心です」
団地商店街の一店舗に10年間で延べ10万人以上が訪れ、全国から人を呼び込むことで、地域に大きな経済波及効果を生み出してきた。
そんな店の前で堀之内さんはこう話す。
「アウトドアグッズというのは、さまざまなニーズに合わせて工夫した道具が次々と出てきます。この店で、そういう道具の面白さや、アウトドアライフの楽しさを体験したお客さんが喜んでくれるのを見るときが、至福の時間です」
みさと団地内にある「焚火暖地」の入口。メタセコイアの大木に囲まれた気持ちのいい空間が広がっている。
「アウトドアを経験したことのない人が、ここで出会い、体験して、喜んでくれる姿を見るとき、この仕事を始めてよかったと思います」と話す堀之内さん。iLbf
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埼玉県三郷市彦成4-4-17
みさと団地南商店街104
TEL:048-951-4949
【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】
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