【団地最前線19】ローソン×KDDI×URが連携。 「ハッピーローソンタウン日野高幡台」誕生 高幡台団地(東京都日野市)
ローソン×KDDI×URが連携
「ハッピーローソンタウン日野高幡台」誕生
8月に高幡台団地内にオープンした店舗が注目を集めている。
住民の「あったらうれしい」サービスが詰まった、有事の際には災害支援拠点ともなる新しい形態のローソンだ。
写真提供:ローソン(*写真はすべて)
お店を拠点としたまちづくり
ハッピーローソンタウン日野高幡台」は市街地を見下ろす高台にあった。
入店してまず驚いたのは、小上がり付きのゆったりとしたイートインスペースがあり、そこで小学生が宿題をしたり、年配の方が休憩していたことだ。広い店内には他のコンビニでは見ないような充実した野菜や精肉、魚の売場があり、さらにAIコンシェルジュの画面や特設ブース、調剤薬局もある。「ハッピーローソンタウン」構想のもと、ローソン、KDDI、 URの連携により誕生した店舗だという。
ローソン開発本部法人ビジネス部部長の榎本貴章さんによれば、「ハッピーローソンタウン」とは、ローソン店舗がコミュニティのハブとなり、世代を超えた人々のリアルなつながりを創出することで、マチの再創生を目指す構想だ。リアルの店舗に、テクノロジーやエンタテインメント要素なども取り入れ、自治体や他企業とも連携しながら、ローソンらしいマチづくりを推進、2030年までに全国100カ所への展開が目標だ。
団地内でのハッピーローソンタウン展開の話を受けて、舞台となったのが高幡台団地だ。既存の「ローソンストア100」を変更・拡張する方向で話が進んだ。
「URはフィールドの提供、ローソンさんは店舗の運営、KDDIさんはテクノロジーを活用したコンテンツの提供という役割のもと、日野市さんの協力を得て取り組んでいます。この店舗が郊外団地のモデルとなり広がっていくように、3者が連携して取り組み、検証を重ねていきます」とURの野村 淳は説明する。
集合住宅地でのハッピーローソンタウンの開店は初めてとあって、事前に住民説明会を開催し、住民の意見を丁寧に聞きながら、地域のニーズに合った店舗づくりを進めてきた。「若い世代も住みたくなるような団地に」という共通の思いもあった。
こちらが「ハッピーローソンタウン日野高幡台」。災害支援拠点でもある。店内は100坪ほどある。
年配の人でも買い物がしやすいように、棚は通常の店舗より低く設定されている。
住民からの要望を受けて生鮮品や精肉・冷凍魚などの品揃えを強化した。
食品スーパー「コモディイイダ」と連携し配送してもらっている。陳列棚は低めに設定。
地域の人たちが制作したアート作品を店内に展示。モチーフは地元の高幡不動尊のあじさい。
「郊外ほどコミュニティの場がないので、集いの場になれば」とローソンの榎本さん。
「団地で育った人が戻ってくるような循環を期待しています」とURの野村。リアル×テクノロジーで平時も有事もサポート
画期的なのは、店内に設置されたリモート接客サービス「Pontaよろず相談所」や「AIサポーター」を通じて、暮らしや通信、インフラ(電気、ガス)、金融サービス、日野市役所などへの問い合わせや相談ができること。
また、「災害支援拠点」としての機能も備えていて、太陽光発電や業務用蓄電池、バッテリーチャージャーなどが用意されているほか、固定回線網が切断された場合でも、Starlink経由で通信が可能。店内のサイネージでは、平時は地域住民への行政情報を、有事の際には災害情報を発信している。
これら住民の「あったらうれしい」というニーズへの対応をテクノロジーの面から支えるのはKDDIだ。
「KDDIは、リアル×テクノロジーで地域の暮らしをよりよくする、という考えのもと、ここが地域住民の暮らしを支える拠点として進化していくこと、地域の共創モデルとなることを目指しています」とKDDIグロース戦略部戦略1グループグループリーダーの益田浩輔さんは説明する。団地で取り組むに際して意識したのは、リアルとテクノロジーをいかに融合させるか。デジタル技術を前面に出すのではなく、人と人とのコミュニケーションを支える存在としてテクノロジーが活用されるように配慮したという。
益田さんと同じグループに所属するコアスタッフの権田圭亮さんは、「コンビニは最も身近なインフラの一つですから、ここを起点にお買い物や防災、行政サービスやコミュニティの形成などを組み合わせることで、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる環境づくりが可能になると思っています」と話す。
店舗がオープンしておよそ2カ月、関係者によれば、以前より、親子連れや若い世代の来店が多くなったという。
「昭和45年に管理開始された高幡台団地は、入居者の高齢化などはあるものの、京王線の高幡不動駅からバスで5分のアクセスしやすい位置にあり、ポテンシャルが高い地域です。3者の取り組みの相乗効果で、若い世代の入居が増えることを期待しています」とURの花枝卓哉。
9月には隣地にオンライン診療受診施設もオープンし、さらに利便性が高まった。必要な商品やサービスがコンパクトにまとまっていて、平時は集いの場になり、有事の際には災害支援拠点にもなる店舗。コンビニという概念を超えた新たな店舗は、住民の暮らしをしっかりサポートし、URが目指すミクストコミュニティの拠点となり始めている。
総席数26席のイートインスペース。絵本が置かれている。イベントが開かれることもある。
ローソンクルーとやりとりできるタブレットをお客様に配布して実証実験中。(*)
レジの近くに設置された3連のデジタルサイネージで必要な情報を発信。(*)
リモートで専門スタッフに予約なしで相談できる「Pontaよろず相談所」。
クオール薬局。在宅医療の相談も可能な調剤薬局。(*)
「複数関係者による相乗効果が生まれていると思います」と話すKDDIの益田さん。
「テクノロジー機能はアップデートしていく予定です」と語るKDDIの権田さん。
「高幡台はまちづくりへの関心が高い住民が多い団地です」と話すURの花枝。【妹尾和子=文、竹居鉄也、菅野健児(人物)=撮影】
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