【特集】日本最大級の高速バスターミナル完成に向けて第3期始動 バスターミナル東京八重洲の整備(東京都中央区)
再開発が進む東京駅・八重洲エリア。URはこのエリアの地下で
大規模な「バスターミナル東京八重洲」の整備を担当している。
順次開業するバスターミナルの最終章となる第3期がいよいよ8月に着工した。
シックで快適な地下バスターミナル
「バスターミナル東京八重洲」の第1期エリアが開業したのは、2022(令和4)年9月。翌23年3月には、その地上に45階建ての「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープンした。
開業から2年を経て、現在バスターミナル東京八重洲では、1日およそ500便のバスが発着している。運営事業を担うのは京王電鉄バスだ。同社事業部課長補佐の渡辺耕祐さんは「朝昼は千葉・房総方面を中心に通勤・通学やレジャーのお客さまが多く、概ね21時以降は旅行やライブ、イベントなどに夜行バスで向かう長距離移動のお客さまが目立ちます」と話す。
また、このバスターミナルの特徴として「黒を基調としたシックな空間、スタイリッシュでわかりやすいサインなど、これまでのバスターミナルにはない雰囲気があります」とも。バスターミナルのイメージを覆すと話題になったデザイン空間の影響か、静かに過ごす利用者が多く、落ち着いた雰囲気だ。トイレや空調が完備され、雨天や炎暑でも安心・快適に利用できることも利用者に喜ばれている。
「近くに飲食店が集まる八重洲地下街がありますし、バスターミナルにコンビニも入っていますので、食事の手配の心配をせずにバスに乗れるのも魅力です」
そう話すのは、学生時代から高速バスをよく利用しているURの東裕花里だ。この事業の担当になって1年半。現在、東京ミッドタウン八重洲の東側で工事が進む第2期の東地区(八重洲一丁目東B地区)、西側の第3期の中地区(八重洲二丁目中地区)に携わっている。
URが関わることで3エリアを一体的に
そもそも東京駅前の地下にバスターミナルを整備することになった背景には、東京駅周辺にバス停が散らばっていて乗り場がわかりづらかったことや、バスの路上駐車による渋滞、乗降者の歩道での待機・車道横断などが問題になっていたことがある。
そのため再開発にあたり、URは参加組合員としてバスターミナルの床を取得、事業ごとに協議しながらバスターミナルを段階的かつ一体的に整備している。公益性はあるが、収益性は低いバスターミナル整備にURが携わることで、3地区バラバラに開発されることを防ぐためだ。
「再開発事業地区それぞれに異なる関係者がいて、事業フェーズも異なり、決めなければならないことがたくさんあります。大変ですが、先行する地区での学びを次の地区に生かすこともでき、やりがいがあります」と東は話す。
東京の玄関口として交通のアクセス拠点に
第2期は25年度、第3期は28年度に竣工予定。3カ所すべてのバスターミナルが完成すれば合計で20バース(乗降場)を備える国内最大級の高速バスターミナルになる。東京ミッドタウン八重洲、八重洲地下街、京橋エドグランと地下通路で接続し、東京駅・京橋駅から地下通路でアクセスが可能。新幹線をはじめ鉄道との乗り換えがスムーズになり、国際都市東京の玄関口として、観光地や地方都市へのアクセス拠点となる。
「国内外からの視察も多く、注目の集まる仕事です。手がける案件が多くて目まぐるしい日々ですが、後々に残る仕事というプライドを持って頑張っています。路上で発着しているバスがスムーズにターミナルに移行できるように、お客さま・バス会社にとってプラスになるように配慮していきたい」
と話す渡辺さん。バスの発着をしっかり請け負うことにより、旅行や帰省、またライブなどイベントへの移動手段の利便性を向上させ、経済や文化を下支えしたいという思いも抱いている。
高速バスの運行が中心のバスターミナルだが、観光バス・貸切バスの発着も可能。今後は研修や修学旅行、劇場ツアーなどの受け入れ体制も整えていく予定。多様なニーズに応えるとともに、地の利を生かした提案を積極的に行っていく。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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