【特集】世界に誇る「みどり」あふれる「イノベーション」の拠点が誕生 うめきた2期地区開発プロジェクト(大阪府大阪市)
「大阪都心の最後の一等地」といわれるJR大阪駅北側の大規模開発「うめきたプロジェクト」。
URは20年以上前からこのプロジェクトに総合的に関わっている。
9月に2期区域「グラングリーン大阪」の先行まちびらきが行われた。
都心の一等地に広大な公園が誕生
9月6日、JR大阪駅の北側で「グラングリーン大阪」が先行まちびらきした。「うめきた公園」を中心に、オープニングセレモニーやスペシャルライブなどのイベントが開かれ、大勢の人が集まっていた。イベント目当ての人だけでなく、広い空の下、水遊びをする子どもたちや、芝生広場で思い思いに過ごす人たちもたくさんいて、みんなうれしそうな表情。大都会のオアシスともいえる、この開放感あふれる「みどり」いっぱいの空間の完成を喜んでいるのが伝わってくる。
グラングリーン大阪は、大阪駅の北側に隣接する旧国鉄梅田貨物駅の広大な跡地を再開発する「うめきたプロジェクト」の2期区域だ。1期の「グランフロント大阪」は2013(平成25)年の完成から11年を経て、今や年間約5000万人が訪れる場になっている。
URは、まちづくりのプロデューサーとして、このうめきたプロジェクトに計画段階から参加。大阪府、大阪市、関西経済界、民間開発事業者や地権者と連携しながら、道路や広場などの整備事業、防災機能もあわせもつ都市公園整備事業、民間開発誘導のための土地の一時保有などを担当し、総合的にプロジェクトに関わっている。
8ヘクタールに及ぶ「みどり」の空間
グラングリーン大阪(17ヘクタール)は3エリアで構成される。「うめきた公園」エリアを挟むように南北のエリアに超高層ビルが建設され、ホテルや商業施設、オフィス、MICE施設、分譲住宅などが完成予定だ。
コンセプトは「『みどり』と『イノベーション』の融合」による「豊かな未来生活Osaka MIDORI LIFE」。世界の人々を惹きつける「みどり」の大地が、世界をリードする「イノベーション」の拠点となることを目指している。
驚くのはその実現のために用意される「みどり」の規模。防災機能を備えた4・5ヘクタールに及ぶ「うめきた公園」は、大規模なターミナル駅に直結する都市公園としては世界最大級。さらに建物の屋上緑化などを含め、全体で約8ヘクタールの「みどり」がつくられる計画だ。これはグランフロント大阪の敷地(7ヘクタール)を超える。
ここから関西全体を盛り上げていく
コンセプトの実現は、一体的な整備、統一感をもったまちづくりなしにはあり得ない。URが広大な土地を先行取得して一時的に所有者となったのも、みどりの管理を含めた条件を指定して開発事業者のコンペを行い民間企業に譲渡するなど、個々の乱開発を回避して統一感をもったまちにするためだ。
「一大事業ですが、いい人といいものをつくっていきたいとの思いで、設計や工事などのパートナーと協調して進めてきました。パースに描かれたイメージが現実となり感慨深く、作業員さん含め関わってくれた皆さんがよかったと思ってくれていたらうれしいです」
そう語るのは、事業調整を担当するURの西博和。三菱地所を代表企業とする開発事業者9社をはじめ、行政や民間含め関係者は多岐にわたる。
長年このプロジェクトの事業計画に関わっているURの岡田純は、「8ヘクタールの『みどり』をどうするか。公民連携で、スケジュールどおりに進めるのはプレッシャーでした。今回の先行まちびらきは通過点ではありますが、来年は大阪・関西万博も開催されますし、関西全体を盛り上げていくきっかけになれば」と話す。
うめきた公園全体の完成は26年度、全体まちびらきは27年度に予定されている。引き続き、安全確保に努めながらより慎重な工事、そしてねばり強く着実に関係者調整を進めていくべく、2人とも気を引き締めている。
国際競争力の強化や防災性向上、環境負荷の低減、近未来技術の社会実験など、大阪の魅力を高めるまちづくりが公民連携で続くうめきたエリア。唯一無二のこの場所が、多くの人の憩いの場となるだけでなく、新たな発想や出会いを引き出す場となることは間違いないだろう。
【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】
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