【特集】関西の発展をけん引する「みどり」あふれる都市空間が誕生する(大阪府大阪市)
大阪駅の北側に隣接する旧国鉄梅田貨物駅跡地の再開発「うめきたプロジェクト」の2期区域の工事が進んでいる。
圧倒的な「みどり」に包まれた、その巨大なまちの全貌が明らかになってきた。
ターミナル直結の世界最大級の都市公園
2013(平成25)年に誕生したグランフロント大阪。大阪駅に直結して南北に並んだ4棟の超高層ビルには、オフィスや商業施設、ホテル、分譲住宅などが入り、年間5000万もの人が訪れる、関西を代表する人気エリアとして定着した。
現在、このグランフロント大阪の西側で、うめきた2期区域の工事が始まっている。南北に延びる貨物駅跡地を中心にした約24ヘクタールの2期区域に、約4・5ヘクタールの広大な都市公園等と、民間が開発する超高層ビル等が建ち上がる計画だ。
「民間事業者からの提案を受けて2期区域が目指すのは、『みどり』と『イノベーション』の融合による豊かな未来生活 Osaka MIDORI LIFEです。公民連携の取り組みにより、『みどり』と融合した生命力あふれる都市空間や、イノベーション活動の起点となる施設、市民や企業などさまざまな人々が新しい活動にチャレンジできる場や仕組みをつくり、創造的なライフモデルをここから発信していきます」
こう説明するのはUR西日本支社でこの事業を担当する南谷 敬(さとし)。
なんといっても注目されるのが「みどり」の空間で、公園としてまとまった「みどり」があるだけでなく、建物の屋上緑化など、建築物と一体化して約8ヘクタールの「みどり」がつくられる計画だ。これは大阪駅のような大規模ターミナルに直結する公園として世界最大級になる。
「〈『みどり』と『イノベーション』の融合拠点〉という目標には、ここにしかない『みどり』のある新たな都市景観をつくりだすと同時に、『みどり』を活用しながら、関西の大学・研究機関をはじめ、世界の人、技術が集まり新しい産業が生まれるイノベーションのハブ拠点にしたい、という思いが込められています」と大阪都市計画局の入谷(いりたに)琢哉参事が説明する。
この目標は国、大阪府、大阪市、関西経済界等が一丸となってまとめたもので、関西のさらなる発展をけん引する重要なプロジェクトと位置付けている。
交通インフラの整備も同時に進められており、JR東海道線支線が地下化され、大阪駅に接続する新駅の工事も進む。関西空港行きの特急がこの駅に乗り入れる予定で、大阪駅から関空までの所要時間が約20分も短縮されることになる。この新駅は来年春に開業予定だ。
関係者をまとめスムーズに工事を進める
大阪市からの要請を受けて2002年からうめきたプロジェクトに参加しているURは、2期区域でも道路・広場などのインフラ整備、都市公園の整備、民間開発の誘導、関係する各機関のコーディネートを担当している。
「先行まちびらきは万博の前、24年の夏頃を予定しており、基盤整備は27年までに完成させる予定です。限られた工事スペースの中で、多数の事業が複雑に重なりながら動き始めています。どの事業がどういう状況にあり、どこがいつオープンする予定なのか。URは多数の関係者の進捗などを調整しながら、『全体解』を導きだす努力をしています」とURの南谷はコーディネート役に意欲を燃やす。
実証実験空間で先行トライアルを実施
2期工事区域の西の端にある「うめきた外庭SQUARE」を見学した。すでに開業しているグランフロント大阪の超高層ビルや、工事現場の様子を眺めながら、芝生の庭でくつろげるオープンスペースだ。
ここはURが所有地を利活用して2023年3月までの1000日限定でつくった実証実験空間です。未来のまちづくりに向けた実証実験を行い、これからできる公園の先行トライアルの場として活用しています」と南谷が説明する。
これから生まれる新しいまちのプロモーションや、周辺のにぎわいを生むためのイベントなども開催していく予定だ。
「うめきた外庭SQUARE」で2期区域の工事を見つめる大阪都市計画局の入谷さんと南谷。2人とも、業務の大変さはもちろんあるが、「これほど大きな仕事に携われる喜びが大きい」と笑顔で話す。
みどりにあふれる新しいまちの誕生を、楽しみに待ちたい。
【武田ちよこ=文、菅野健児、青木 登=撮影】
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