街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】木造密集市街地改善の取り組み(東京都豊島区)

URPRESS 2021 vol.67 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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木密エリアを安全なまちへ
都会のど真ん中で進む拠点づくり

東京・池袋駅から徒歩約15分。地上60階建てのビルの向こうに、木造住宅が密集した東池袋四・五丁目地区が広がっている。
URは住民の暮らしと安全を守るため、豊島区とともにこのエリアの密集改善に取り組んでいる。

大地震や火災から区民を守る

2020(令和2)年7月、東京都豊島区東池袋の造幣局跡地に、広大な防災公園「IKE・SUN PARK」(としまみどりの防災公園)が完成した。カフェなどが併設された芝生の公園は、地元だけでなく、遠方からも親子連れがやってくる人気スポットだ。URは豊島区とともに、この防災公園づくりを担当した。今回は、この公園に隣接して広がる東池袋四・五丁目地区で進む木造密集市街地改善の取り組みを紹介しよう。

災害のときに一時避難できる防災公園の整備を望む地域の人々の声が、造幣局跡地に「IKE・SUNPARK」を誕生させた。

木造密集市街地は「木密(もくみつ)」とも呼ばれる。この一帯は戦災に遭わなかったため、戦前からの木造住宅が多い。この「木密」エリアはノスタルジックな雰囲気がある半面、大地震や火災が起きると被害が甚大となる危険性が高い。加えて道幅が狭いために消防車が入れず、消火作業が滞って大災害となる恐れもある。

そこで豊島区とまちづくりに関する協定を結んだURは、この地区の不燃化を進める事業に区とともに取り組んでいる。

木密解消協力者の住まいを用意

この豊島区による木密改善の取り組みは、1983(昭和58)年にスタート。昨今相次ぐ大震災を受け、さらにその強化が急務となっている。

具体的には、この地区内に道幅6m以上の防災生活道路を通し、消防車による消火活動を可能にする。老朽化した住宅を除却して、防災性の高い住宅への建て替えを促進するといった取り組みが、地道に進められている。

今年7月、この一角に、真新しい集合住宅「コンフォール東池袋」(全20戸)が完成した。これは豊島区からの要請を受け、URが建てた「従前居住者用賃貸住宅」。木密改善事業に協力した方々の受け皿となる賃貸住宅だ。

担当したURの関 和則は「高齢を理由に次の住まいが借りられずに困窮するような方を出さないために、豊島区が必要な分の部屋を借りられる仕組みになっています」と説明する。

豊島区都市整備部地域まちづくり担当部長の増子嘉英さんは、「URさんは長期にわたってこの事業に取り組んでいただける信頼できるパートナー。都市再生やまちづくりコーディネートのノウハウを生かし、まちづくりは円滑に進んでいます」と評価する。

7月末に完成した従前居住者用賃貸住宅「コンフォール東池袋」は、安心してこの地区に住み続けられるよう準備された集合住宅。
単身者向けの1Kの画像
単身者向けの1Kに備え付けられた棚の画像
単身者向けの1Kが中心だ。
中央に見える白い建物が「コンフォール東池袋」。周囲の家並の密集ぶりがよくわかる。
都電荒川線に沿って車道を広げる補助81号線が完成すると、沿道の不燃化が一気に進む。

まちづくりの拠点「ひがいけポンド」誕生

今年10月には「IKE・SUN PARK」の南側に広がる木密エリア「造幣局南地区」に、新しいまちづくりの拠点も誕生した。URが土地と建物を取得した3階建てのビルが、その拠点「ひがいけポンド」だ。

運営を担うのは20代後半から30代前半の3人のメンバー。森正祐紀さんと伊藤彩良さん夫妻は、「このまちの当事者になろう」と、ビルから徒歩5分の集合住宅に転居して、この地区で暮らし始めたという。

「気負うことなく誰もがここに立ち寄り、何気なく会話をして、なんとなく憩える場所。このまちの暮らしになじんだ、そんな場所を目指したい」と森正さんと伊藤さん。

「おやつを食べながらおしゃべりしたり、まちの人々が暮らしを楽しむ拠点となれば」と、もう一人のメンバー・湯浅友絵さんも言う。

「ひがいけポンド」の3階にデスクを置くURの関はこう話す。「ここに住む人たちと、こんなまちになるといいなと夢を共有しながら、まちづくりを進めていきたい。安全で、皆に愛されるまちになることを願っています」

URは豊島区や若いメンバーたちとともに、安全なまちづくりに向かって一歩ずつ進んでいく。

「IKE・SUNPARK」と道路1本隔てた場所に生まれた「ひがいけポンド」。一部を吹き抜けにした開放的な造りで、公園帰りの人たちが気軽に立ち寄れる場所を目指している。運営を担当する左から森正さん、伊藤さん、湯浅さん。
豊島区の増子さんは、「ひがいけポンドがまちの人々とのコミュニケーションのきっかけになることを期待しています」と話す。
「まちの安全性を高め、どれだけ魅力あるまちにできるか、そこにやりがいがある」と話すURの関。

【武田ちよこ=文、菅野健児、青木 登=撮影】


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