街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】「IKE・SUNPARK」(東京都豊島区東池袋)

URPRESS 2020 vol.63 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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都会の真ん中に防災公園が誕生
4つの公園を連携させたまちづくりが進む

池袋サンシャインシティのすぐ先に広がる造幣局の広大な跡地。
この都会の一等地に、周辺の皆さんが待ち望んでいた防災公園が誕生した。
URはこの事業に協力、池袋の新たな魅力を創出している。

豊島区の公園で最大の面積を誇る「IKE・SUNPARK」。

公園の中を斜めに遊歩道が伸びている。近隣の方たちの通勤やウォーキングに利用されている。

芝生の広場は近隣の子どもたちの格好の遊び場。地元の人たちからも好評だ。

公園には造幣局時代の記憶がさりげなくあしらわれている。これは当時のマンホールのふたを利用したテーブル。「造」の文字が見える。

公園の入口。巣鴨プリズン時代の排水口の一部をオブジェにしている。

公園の外縁部には防火樹林帯やイチョウ並木を整備。

都心に出現した芝生の公園

芝生の広場を走り回る子どもたちのかたわらを、買い物帰りらしい高齢夫婦がのんびりと歩いていく。ウッドデッキのテーブルでは仕事中の男性がパソコンに向かい、ママたちがおしゃべりを楽しんでいる。広い空の下、おだやかな空気があふれるこの公園にいると、ここが都会の真ん中だということを忘れてしまいそうだ。

今年の7月に広場部分がオープンしたばかりのこの公園「IKE・SUNPARK」は、池袋駅から徒歩15分の位置にある。

JRと私鉄、地下鉄が複数乗り入れている巨大なターミナル駅、池袋。東口から歩いていくと、地上60階建ての複合施設、サンシャインシティがそそり立つ。そのビルの先、かつて造幣局の工場があった3・2ヘクタールの跡地に生まれたのが、「IKE・SUNPARK」だ。

造幣局跡地を一体的に整備する

この公園は地域住民の憩いの場であるだけでなく、防災公園としての機能も備えている。

その誕生は周辺に住む人々の要望から始まった。

「IKE・SUNPARK」周辺には、狭い道路の左右に木造住宅が密集する古くからの住宅地が広がっている。都電荒川線が走り、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しているが、木造住宅密集地は大地震や火災が起きたときに被害が拡大する恐れがある。ここに住む人たちからは、災害のときに一時避難ができる防災公園の整備を望む声が寄せられていた。

「公園の整備を求める声は古くからあり、昭和59(1984)年には、豊島区町会連合会から約10万2000人もの署名とともに、造幣局の跡地を地域に合った防災公園として活用してほしいという意見が出されていました。それらを受けて、区としても、この敷地にぜひとも防災公園を整備したいと計画してきたのです」

豊島区都市整備部で公園計画を担当する小堤正己さんが説明する。

「平成25(2013)年に造幣局の移転が正式に決まり、そこから本格的に跡地の活用を検討し始めました。そこで、これまでも区の公園事業に参加していただいているURさんにお声がけして、ご協力いただくことになったのです」

豊島区の公園計画を担当する小堤さん。
公園をまちづくりに生かしたいと考えている。

URはこれまでも各地で防災公園をつくってきたノウハウがある。平成27年に区とURは基本協定書を締結。

「URの『防災公園街区整備事業』という事業スキームを活用して公園づくり、まちづくりにご協力することになりました」とURでこの事業を担当する手塚慶太が説明する。

「今回は造幣局の跡地と周辺市街地の整備を一体で進めるURの事業手法を用いました。3・2ヘクタールの造幣局の跡地をURが取得し、約1・7ヘクタールを防災公園として整備。残りの土地の3分の2は文化交流機能として教育研究機関を公募し、東京国際大学がキャンパスをつくることが決まりました。残りの3分の1は周辺に広がる木造住宅密集地の改善に活用する計画で、現在は暫定的に区が『としまキッズパーク』などの施設に使用しています」(UR手塚)

前部署では羽田空港跡地の区画整理を担当していたURの手塚。
公園に隣接する東池袋4・5丁目では、都電の線路の周囲に車道を新設する計画が進んでいる。
暫定利用中の一部の土地を利用して、「としまキッズパーク」が9月26日に完成した。

URのノウハウを生かした防災公園が誕生

「IKE・SUNPARK」は周辺住民の一時避難場所という位置づけだ。被災した人々はまずここに避難してから、近隣の救援センターに移る。その後、この公園は救援物資の運搬と集積基地として機能する。

URはこれまで手掛けた防災公園のノウハウをこの公園に注ぎ込んだ。下水管が破損してもトイレが使えるように地下ピットを造り、緊急時にトイレの洗浄水にする井戸も設置。ヘリポートとして使えるよう芝生用耐圧基盤を整備した。隣地に誘致する大学にも帰宅困難者の受け入れを要請するとともに、備蓄倉庫も準備してもらう。

「区だけではわからない防災公園に関する深い知識と経験を各所に生かしてもらいました」と小堤さんはできあがった公園に満足気だ。

4つの公園を連携させ新しい文化を発信

今回の「IKE・SUNPARK」は、初めて設計・施工から公園の管理運営までを一体にしたコンソーシアムの形で事業者を公募した。公園完成後の管理を見据えた設計を期待してのことだ。

その結果、芝生の広場を人々が自由に利用できるすっきりとした公園のプランが採用された。現在は「KOTO-PORT」という移動式のキャビンを置き、そこで軽い飲食や物販を行っている。また、管理棟の建物には12月にカフェもオープンする予定だ。

豊島区とURがこうしたコンソーシアムの形式にこだわったのには理由がある。区が地元の人たちと説明会やワークショップなどを重ねて地元の要望を汲みとっていくなかで、防災公園を整備するだけでなく、公園を活用したまちづくりへと計画が広がっていったからだ。

「区では、池袋駅をはさんで点在する池袋西口公園、中池袋公園、南池袋公園と、このIKE・SUNPARKの4つの公園を相互に連携させて、4公園を生かしたまちづくりを進める計画を立案しました。その実現のためにも民間の力を生かして事業を進めていこうということになり、URさんとともにコンソーシアムでの公募へと進みました」と豊島区の小堤さんは説明する。

豊島区は持続発展都市を目指し、具体的な取り組みとして国際アート・カルチャー都市構想を掲げている。その実現の一歩として、4つの公園をアート・カルチャーハブと位置づけ、ここを拠点に人やモノが行き来して、文化を発信していくまちを構想。各事業者に公園の活用方法も提案してもらった。

「IKE・SUNPARK」も新型コロナウイルスの影響でさまざまな事業開始が遅れてしまったが、カフェが完成して公園が本格的にオープンする12月からは、毎週末ここで農産物や豊島区の名店を集めたマルシェを開催する予定だ。池袋駅周辺を回るミニバス「IKE BUS」がこれら4つの公園をつなぐ足になる。

地元の熱い要望を受けてできた「IKE・SUNPARK」。「地元の人たちからは大変喜ばれています。整備した甲斐がありました」と小堤さんは顔をほころばせる。今後、4公園が連携してどのようなカルチャーが発信されるのか楽しみだ。

飲食や物販などの小さなお店「KOTO-PORT」。スタートアップに活用してほしいとの思いがある。
管理棟の建物には、カフェが12月中旬にオープン予定。
池袋駅からサンシャインシティをはじめ4つの公園を結んで走る「IKE BUS」。赤い車体がかわいい電気バスだ。
「IKE・SUNPARK」の入る池袋駅周辺の地図

周辺をより安全なまちへ区とともに汗をかく

一方、URは防災公園の整備だけでなく、防災公園に隣接する東池袋四・五丁目地区の不燃化促進事業を豊島区とともに進めている。ここでは東京都と豊島区が都電荒川線の線路に沿って新たな道路をつくる事業を推進中。URは密集市街地の整備改善のために用地を取得するほか、取得した土地を活用して事業協力者のための賃貸集合住宅を整備している。

豊島区は東京23区の中で、区民一人あたりの公園面積がもっとも少ないという記録を持っている。今回完成した「IKE・SUNPARK」は豊島区で一番広い公園だ。地域の人々とともに、さらに安全なまちを目指して、URの取り組みはまだまだ続く。

【武田ちよこ=文、青木 登=撮影】

動画

IKE SUNPARK(ドローン動画)

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