【特集】震災復興企画展を開催 能登半島の復興をマルシェで応援(東京都北区 赤羽台)
東京都北区赤羽台のURまちとくらしのミュージアム ラボ41で「震災復興企画展」が開催され、2月1日には出張輪島朝市が、たくさんの人でにぎわった。
実物を展示して見学者にアピール

昨年12月23日から今年の3月31日まで、URまちとくらしのミュージアム(ラボ41)で開かれたUR震災復興企画展は、東日本大震災、阪神・淡路大震災、令和6年能登半島地震の被害の概要と、URの支援状況などを展示・紹介した。
なかでも目を引いたのが、「通行証確認中」と書かれた看板や防護服、子どもたちの靴がそのまま残っている学校の靴箱などの実物の展示だ。これらは福島県双葉町にある「東日本大震災・原子力災害伝承館」に協力を仰ぎ、同館の展示品を貸し出してもらったもの。
企画展を担当したURの新田 裕によると、昨年2月に「URまちとくらしのミュージアム」の地下で「東日本大震災 被災地とともに——URの復興支援のあゆみ」展を開催したときに、実物の展示に大きな反響があったという。
「陸前高田市の奇跡の一本松の丸太や、土砂を運ぶために使われたベルトコンベヤーの模型を展示したところ、実物を初めて見たという方々から、実感がわいた、衝撃を受けたなどの反響がありました。そこで今回の震災復興企画展でも、実物を展示することにしたのです」
その効果は大きかったようだ。
「靴箱に残った靴を見て、上履きのまま慌ただしく避難した子どもたちの姿を想像したのでしょう、涙を流す高齢者もいらっしゃいました」と新田。この企画展にはURまちとくらしのミュージアムの見学者だけでなく、団地に住むファミリーなども多数訪れ、それぞれの胸に大震災の記憶がよみがえったようだった。




防災の機運が高まった阪神・淡路大震災
発災から30年がたった阪神・淡路大震災の展示では、URが行っている密集市街地整備の取り組みについても紹介した。担当したURの新留(しんとめ)正博はこう話す。
「阪神・淡路大震災は、防災まちづくりという考え方を推進するきっかけとなった災害です。今後、起きるであろう大地震で、密集市街地で同じような被害を引き起こさないよう防災意識を高め、安全安心なまちづくりを進めていく。防災を自分ごととして考えてほしいという思いで展示を企画しました」
URが手がける都内の木造密集地域解消の取り組みの展示は、見学者の注目を集めていた。
復興マルシェで能登を応援
昨年1月に発生した令和6年能登半島地震の展示も行った。ミュージアム前の広場では、2月1日に能登半島復興応援マルシェを開催。「出張輪島朝市」の出店と、能登復興を応援するグッズの販売を行った。
輪島からやってきた朝市のメンバーからは、地震だけでなく、9月の豪雨でも大きな痛手を被った話を聞いた。仕事を少しずつ再開しているが、「こういう所に呼んでもらうと、いろいろな人とおしゃべりできるし、気分転換になります」と話してくれた。
隣のブースでは、URスタッフ有志が、「NOTO, NOT ALONE研究所(輪島市)」「のと鉄道(穴水町)」、「REVIVAL NOTO(能登町)」「奥能登国際芸術祭(珠洲市)」「のとのファクトリー(能登町)」の能登復興応援グッズの販売も行った。どこのブースも10時の開店と同時に予想以上にお客さんが来てくれて、多くの商品は売り切れになるほどだった
「能登半島地震発生から1年以上がたち、少しずつ皆さんの記憶が薄れていくことを心配しています。今日のマルシェや展示を通して、現地で頑張っている人たちの活動を伝え、継続的な支援につなげたい」と担当するURの下村 実は言う。
URの新田はこう締めくくった。
「震災展やマルシェの開催を通して、震災の記憶をけっして風化させないこと。そのためにもURではこういった取り組みを継続していくつもりです」


【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】
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